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遠野物語拾遺211

时间: 2019-08-26    进入日语论坛
核心提示:二一一 これは田の浜福次郎という人の直話である。この人の若い頃、山の荒《あら》畦《く》畳《たた》みに行った。当時山に悪い
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 二一一 これは田の浜福次郎という人の直話である。この人の若い頃、山の荒《あら》畦《く》畳《たた》みに行った。当時山に悪い熊がいたが、これを見かけしだいに人々が責めこざして、ますます性質が獰《どう》猛《もう》になっていた。ある日のこと、いきなりこの熊が小柴立ちの中から現われて襲いかかった。その勢いにひるんで、思わず大木の幹に攀《よ》じ登ると、熊も後から登って来た。いよいよ上の枝、上の枝と登って行けば、熊もまた追って来る。とうとう、せんかたなく度胸をきめ、足場のよい枝を求めて踏み止まり、腰の鉈《なた》を抜き取って、登り来る熊の頭を、ただ一割りと斬りつけた。ところが、手もとが狂って傍らの枝をしたたか切った。幸いそのはずみに、熊はどっと下におちて行った。しかし今度は木の根元に坐ったまま、少しも動かずに張り番をしている。木の上の者にはこれをどうするわけにもゆかず、気をもんでいるうちに早くも夕方になり、あたりが暗くなるにつれて、自分も生きた心持はない。その時ふと考えたのは、いかに執念深い獣だとは言え、朝からこの時刻まで少しの身動きもせずにいるのはおかしい。何か理由があるのだろうと。試みに小枝を折って投げ落としてみたが、熊は元のまま微動だにしない。これでやや気が楽になって、今度はかなり太い枝を切って投げ下し、熊の頭に打ちつけてみたが、やはり結果は前と同じであった。これこそおかしいと思い、大声を出して熊のばかなどと罵《ののし》ったが、それでも少しも感ぜぬ様子である。いよいよ度胸を据えて、おそるおそる幹から降りて行って見ると、熊は死んでいた。不思議に思って、その屍体を転がしてよく見ると、尻の穴から太い木の切っちょぎが突《つ》き刺さって腸《はらわた》まで貫いていた。これは木から落ちた時に刺さったものであったという。うそのような、しかし本当にあった話である。
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