日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

落語百選15

时间: 2019-09-15    进入日语论坛
核心提示:蟇《がま》の油むかしは、神社の境内や縁日、人のにぎわう場所には、いろいろな物売りがでていて、口上をのべたり、芸当を披露し
(单词翻译:双击或拖选)
 
蟇《がま》の油

むかしは、神社の境内や縁日、人のにぎわう場所には、いろいろな物売りがでていて、口上をのべたり、芸当を披露したりして、人を集めていました。なかでの大立物は、なんといっても蟇《がま》の油売りだったようで……これは立師《たてし》といって、仲間ではかなりはば[#「はば」に傍点]のきいたもので、黒紋付きの着物に袴《はかま》をはき、白鉢巻、白|襷《だすき》なんていう格好で、蟇の干《ひ》からびたのを台の上へのせて、わきの箱のなかには、蟇の膏薬《こうやく》が入っている。蛤《はまぐり》の貝がらが積み上げてあって、横を見ると、なつめ[#「なつめ」に傍点]があり、大刀がある。
「さあさ、お立ちあい、ご用とお急ぎのない方は、ゆっくりと聞いておいで、遠目《とおめ》山越し笠のうち、ものの文色《あいろ》と理方《りかた》がわからぬ。山寺の鐘は、ごうごうと鳴ると言えども、童児|来《きた》って鐘に撞木《しゆもく》をあてざれば、鐘が鳴るやら撞木が鳴るやら、とんとその音色《ねいろ》がわからぬが道理。だがお立ちあい、てまえ持ちいだしたるなつめ[#「なつめ」に傍点]のなかには、一寸八分の唐子《からこ》ぜんまいの人形。人形の細工人はあまたありと言えども、京都にては守随《しゆずい》、大坂おもてにおいては竹田縫之介《たけだぬいのすけ》、近江の大椽藤原《だいじようふじわら》の朝臣《あそん》。てまえ持ちいだしたるは、近江のつもり細工。咽喉《のんど》には八枚の歯車を仕掛け、背なかには十二枚のこはぜを仕掛け、大道へなつめ[#「なつめ」に傍点]を据え置くときは、天の光と地の湿りをうけ、陰陽合体して、なつめ[#「なつめ」に傍点]のふたをぱっととる。つかつかすすむが、虎の小ばしり、虎ばしり、すずめ駒鳥、駒がえし、孔雀《くじやく》、霊鳥の舞い、人形の芸当は十二通りある。だが、しかし、お立ちあい、投げ銭や放り銭はお断わりだ。てまえ、大道に未熟な渡世をいたすといえど、投げ銭や放り銭はもらわないよ。では、なにを稼業《かぎよう》にいたすかと言えば、てまえ持ちいだしたるは、これにある蟇蝉噪四六《ひきせんそうしろく》の蟇の油だ。そういう蟇は、おのれのうちの縁の下や流しの下にもいると言うお方があるが、それは俗にいうおたまがえる、ひきがえると言って、薬力《やくりき》と効能の足しにはならん。てまえ持ちいだしたるは、四六の蟇だ。四六、五六はどこでわかる。前足の指が四本、あと足の指が六本、これを名付けて四六の蟇。この蟇の棲《す》めるところは、これよりはるーか北にあたる、筑波山の麓《ふもと》にて、おんばこ[#「おんばこ」に傍点]という露草を食らう。この蟇のとれるのは、五月に八月に十月、これを名付けて五八十《ごはつそう》は四六の蟇だ、お立ちあい。この蟇の油をとるには、四方に鏡を立て、下に金網をしき、そのなかに蟇を追い込む。蟇は、おのれの姿が鏡に写るのを見ておのれとおどろき、たらーり、たらりと脂汗をながす。これを下の金網にてすきとり、柳の小枝をもって、三七二十一日のあいだ、とろーり、とろりと煮つめたるがこの蟇の油だ。赤いは辰砂椰子《しんしややし》の油、テレメンテエカにマンテエカ、金創《きんそう》には切り傷、効能は、出痔《でじ》、いぼ痔、はしり痔、よこね、がんがさ、そのほか、はれものいっさいに効《き》く。いつもは、一貝《ひとかい》で百文だが、こんにちは、披露《ひろめ》のため、小貝をそえ、二貝《ふたかい》で百文だ。まあ、ちょっとお待ち。蟇の効能はそればかりかというと、まだある。切れ物の切れ味をとめるという。てまえ持ちいだしたるは、鈍刀《どんとう》たりと言えど、先が斬れて、元が斬れぬ、なかばが斬れぬと言うのではない。ごらんのとおり、抜けば玉散る氷の刃《やいば》だ、お立ちあい。お目の前にて白紙を一枚切ってお目にかける。さ、一枚の紙が二枚に切れる。二枚が四枚、四枚が八枚、八枚が十六枚十六枚が三十二枚。春は三月落花のかたち、比良《ひら》の暮雪《ぼせつ》は雪ふりのかたちだ、お立ちあい。かほどに切れる業物《わざもの》でも、差《さし》うら差《さし》おもてへ蟇の油をぬるときは、白紙一枚容易に切れぬ。このとおり、叩《たた》いて切れない、引いて切れない。拭《ふ》きとるときはどうかと、鉄の一寸板もまっ二つ。さわったばかりでこのくらい切れる。だがお立ちあい、こんな傷はなんの造作《ぞうさ》もない。蟇の油をひとつけつけるときは、痛みが去って血がぴたりととまる……」
というような口上を言って売っている。
この蟇の油売り。景気がいいってんで、居酒屋で一杯やり、いい心持ちでふらふら戻ってくると、まだ人通りがあるし、時刻も早いから、もうひと商《あきな》いしようと欲を出したが、なにしろ酔っぱらってるから、うまくいかない……。
「さあ、お立ちあい……ご用とお急ぎの方は……いや、ご用とお急ぎでない方は、ゆっくりと聞いておいで。いいかい……遠目山越し笠の……そと……いや、笠のうちだ……ものの文色《あいろ》と理方《りかた》がわからない。山寺の鐘はこうこう……あれっ、口ンなかから鰯《いわし》の骨が出てきやがった。どうも鰯の骨は歯へはさまっていけねえや……さてお立ちあい、てまえ持ちいだしたるは、鰯……いや、鰯ではない……えーと……蟇蝉噪《ひきせんそう》一六の蟇……一六じゃなかった。そうそう、四六、四六の蟇だ。四六、五六はどこでわかる。前足が二本で、あと足が八本だ……」
「なに言ってやんでえ。八本ありゃあ、蛸《たこ》じゃあねえか」
「その蛸で一杯やって……いや、よけいなことを言いなさんな……この蟇の棲《す》めるところは、これからはるーか……東にあたる高尾山のふもと……」
「おいおい、いつもは、はるか北で、筑波山てえじゃあねえか」
「あっ、そうだったか。まあ、どっちでもかまわねえ。山にはちがいねえんだから……で、とにかくこれは蟇だよ。そこでだ、この蟇の油の効能は、金創《きんそう》には切り傷、出痔、いぼ痔、よこね、がんがさ、そのほか、はれものいっさいに効く。ああ、効くんだよ……いつもは、二貝で百文だが、こんにちは、披露《ひろめ》のために一貝で百文だよ、お立ちあい」
「それじゃあ、あべこべじゃあねえか」
「まあ、だまってお聞き。蟇の油の効能はまだある。切れ物の切れ味をとめるよ。てまえ持ちいだしたるは、鈍刀たりといえども……とにかくよく斬れるよ。お目の前にて白紙を切ってお目にかける……あーあ……」
「あくびなんかしてねえで、さっさとやれっ」
「いや、これは失礼……お立ちあい、一枚が二枚になる。二枚が四枚……四枚が五枚……六枚……七枚……なに? よくわからねえ? そうだろう、おれにだってわからねえんだ。まあ、とにかくこまかに切れる。なあ、お立ちあい……春は八月、いや、三月、三月は弥生で、比良《ひら》の暮雪は雪ふりのかたちだ……なあ、きれいだろう?……このくらい切れる業物でも、差うら差おもてへ蟇の油をひとつけつけるときは、白紙一枚容易に切れない。このとおり、ぱっと切れ味がとまる。さあ、この刀で、腕をこう叩いて切れない。どうだ、おどろいたか? なあ、お立ちあい、引いて切れ、いや、えへん、えへん……お立ちあい、切れないはずなのに、切れちまったが、どういうわけだろう?」
「そんなこと知るもんか」
「いや、おどろくことはない。このくらいの傷はなんの造作もない。さ、このとおり、蟇の油をひとつけつければ、痛みが去って、血がぴたりと……とまらないな……うん、ひとつけでいけないときは、ふたつけつける。こうつければこんどはぴたりと……あれっ、まだとまらないね。切りすぎたかな……こりゃ弱ったな。かくなる上は、しかたがないから、またつける。まだとまらないな。とまらなければ、いくらでもつける。こんどこそ、血がぴたりと……あれあれ、血がとまらないぞ、お立ちあい……」
「どうするんだ?」
「お立ちあいのうちに、どなたか血どめをお持ちの方はござらぬか?」
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%