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落語百選23

时间: 2019-09-15    进入日语论坛
核心提示:豊竹屋《とよたけや》芸事というものは、結構なものだが、それでもひとつの芸に打ち込むというのは、なかなかたいへんでよく芸を
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豊竹屋《とよたけや》

芸事というものは、結構なものだが、それでもひとつの芸に打ち込むというのは、なかなかたいへんで……よく芸をかじる[#「かじる」に傍点]人があります。音曲でも、ちょっと常磐津《ときわず》をやってみたが、これはどうも向かないから、清元にしてみよう……これもおもしろくないから、こんどは小唄を習ってみようか……いや、新内もよさそうだって、あっちを少し、こっちを少々、なにもものにならない。ほうぼうを食いちらす……というので、これを芸をかじる[#「かじる」に傍点]といって、師匠のほうでは、たいへんにいやがるそうで……。
またなかには、一つものにたいへん凝《こ》る人もいて……豊竹屋の節右衛門という方がいて、この人は、義太夫が好きで、といってもまともに段物を語るというのではなく、見たり聞いたりするものをなんでもすぐ節をつけて、義太夫にして語る……。
「ちょいと、おまえさん、お起きなさいよ……ちょいと、おまえさん、目がさめないのかい?」
「あいよ、あいよ」
「起きなさいよ……ちょいと」
アァ……ァ…ァ…ァ…あ…ァ(と、義太夫節)」
「いやだね、あくびに節をつけてるよ、この人ァ……まだ目がさめないの?」
「おとといからの寝続けに、まだ目がさめぬゥ……はァ…はァ…あァくゥ…びィ……かかるところへ春《しゆん》…藤《どう》…玄《げん》…蕃《ば》。首ィ見るゥ役ゥは、松王ゥ丸…病苦を助《たす》ゥくる駕籠《かご》ォ乗ィ物、しずゥしずゥと……舁《か》きィ据《す》ゆゥ…うゥればァ(と、「菅原伝授手習鑑」寺子屋)…そのォ間おそしと駆け入るお染、逢いたかったァと…久…松ゥ…に、すがりィ…ィい、つゥけェば、声荒げェ(と、「新版歌祭文」野崎村)、やァ、武田方《たけだがた》の廻し者、憎い女と、引き抜いてェ……突っ込ォむ、手錬《しゆれん》の槍先に、うわァ…と魂消《たまぎ》る女の泣き声、合点ゆかずと引き出す手負《てお》い(と、「本朝廿四孝」十種香《じゆしゆこう》の場)、真紫にあらで真実の、母の皐月ィがァ…七転八倒ォ…ォお…ッ…いやァッ、ややややややッ…こは母人《ははびと》かァッ、しなァ……したりィッ、残念至極とばかりにて、さすがの武智も仰天しィ…(と、「絵本太功記」十段目)、ただァ茫…ォ…おゥ…おゥ…おゥ…おォォ然たァ…ァるゥッ…ばァかんン、なァ…あァ…あァりィなァ…りィ…(と、納めると、口三味線で「恋飛脚大和往来」新口《にのくち》村の段となり)ちちちちちちちち[#「ちちちちちちちち」に傍点]、ちちちっつん[#「ちちちっつん」に傍点]、つんつな[#「つんつな」に傍点]。巡礼姿の八右衛門、あとにつづいて八幡太郎、かっぽれかっぽれェ…えッ、甘茶でかっぽれェ…ッ」
「なにを言ってるんだねえ、この人はまあ……くだらないことばっかり言ってないで、さっさと顔を洗って、ごはんを食べておくれ、いつまでも片づかないから。さあ、早くおあがんなさいよ」
「して女房、めしの菜《さい》は……」
「お味噌汁《つけ》と納豆だから早く食べておくれよ」
「なに? 今朝はお味噌汁《つけ》に、納豆、納豆ォ(と、義太夫節)」
「さあ早くおあがんなさいてえのに」
「つん[#「つん」に傍点](と、口三味線)箸《はし》取り上げ……て、お椀《わん》の蓋《ふた》ァ…ァッ……ちちん[#「ちちん」に傍点]……あくゥ…れェばァッ……味噌汁《みそしる》八杯豆腐……煮干しの頭の浮いたるは……あやしかりけるゥ…ゥ…ゥ…ゥッ、ぶるるるッ……」
「あ、いやだよ、お膳を引っくる返しちまったよ、この人は……駄々っ子みたいなことをしてないで、しょうがないねえ、手数ばかりかけてさあ……」
「てん[#「てん」に傍点]、ちょっとおたずね申します。(と、義太夫節)豊竹屋節右衛門さん…ン…ンは、こちらかえェ」
「ほら、また変な人が来たよ……まあ、ちょいとおまえさん、出ておくれよ。おまえとおなじような気ちがいが来たよ」
「これこれッ、なんだ気ちがいとは、失礼なことを言うな……おや、これは、ようおたずねを……さあさあ、こっちらへお入りを……。どなたで……?」
「いや、てまえは浅草三筋町三味線堀に住む花林胴八《かりんどうはち》という、でたらめの三味線を弾くのが、なによりの楽しみで、ええ、あなたがでたらめの浄瑠璃を語るということをうかがって、ぜひ、お手合わせを願いたいとおもいましてうかがいました」
「いやあ、これはこれはまあようこそ……さあさ、こっちへお入りを……さっそく、お手合わせを願いたい……が、今日は、三味線はお持ちになりませんので……?」
「いや、あたくしのは三味線といってもな、糸が切れる皮が破れるといううれいのない、口三味線で……」
「あ、口三味線、ああ、こりゃいい。腹さえへらなければいくらでも弾ける……いやあ、さっそくお願いをいたしましょう」
「口はばったいことを言うようですが、あなたがどんなでたらめの浄瑠璃を語ろうとも、あたくしもでたらめの三味線を合わせるつもりで、さ、どうぞ、お語りを……」
「いや、そりゃいけません……あなたの三味線によって先に弾き出さないことには、あたしも語れませんよ。さ、あなたのほうから先に……」
「いや、あなたが太夫なんだから先へお語りを……」
「そっちが先……」
「いや、あんたが先へ……」
「あんたが先へ」
「先へ」
「先、さき、……さきィにィ、旗ァ持ちィ…い(と、節になる)おどォりィつゥつゥ…ゥ、三味ィやァ太ィ鼓ォでェ打ちィはァやァしィ…ッ」
「はッ、ちィん[#「ちィん」に傍点]……ちん[#「ちん」に傍点]……はッ、ちんどん屋[#「ちんどん屋」に傍点]……」
「あ、それが三味線……?」
「さよう」
「ああ、こりゃおもしろい、ちんちん[#「ちんちん」に傍点]とうけて、ちんどんや[#「ちんどんや」に傍点]……はあ、こりゃいい」
「さ、どうぞあとをお語りを……」
「ええ……おいおい、なにをしているんだ、その、水をざあざあ流して、うるさいな」
「隣ですよ、うちじゃありませんよ」
「なに? 隣?」
「隣のおばさんがいま洗濯をしているんですよ」
「なに、隣の婆さん…ン、せん…ンだァ…あ…ァく、うゥ、うううゥ、うゥうゥ…」
「はッ、じゃ[#「じゃ」に傍点]、じゃッじゃッじゃッじゃッじゃッ[#「じゃッじゃッじゃッじゃッじゃッ」に傍点]、しゃぼォん[#「しゃぼォん」に傍点]、しゃぼォん[#「しゃぼォん」に傍点]……」
「あ、こりゃおもしろい三味線だなあ……二十ゥ五にィちィの、ごォえェんンにィち」
「はッ、てんじんさん[#「てんじんさん」に傍点]」
「あ、なるほど、天神さんか」
「さあさ、あとをお語りを」
「りんを振ったァはァ…あ、ごォみィいやァ…かァィえ」
「はッ、ちりちりん[#「ちりちりん」に傍点]……ちんりんちんりんちんりん[#「ちんりんちんりんちんりん」に傍点]……ちりつんでゆく[#「ちりつんでゆく」に傍点]」
「うまいッ……ああ、ちりちりん[#「ちりちりん」に傍点]でりんを聞かして、ちりつんでゆくはいいねえ」
「さあ、あとをお語りを」
「去年の暮のォ…ゥ…お、おォおォみィいそォおォか、米屋と酒屋に責められェ…えてェえ」
「てんてこまァい[#「てんてこまァい」に傍点]、てんてこまい[#「てんてこまい」に傍点]」
「口の悪い三味線だな……障子がらりと縁《えん》ばなに、たおれて泡ァを、吹いたのォ…おは?」
「てんかん[#「てんかん」に傍点]、てんかん[#「てんかん」に傍点]、てんかん[#「てんかん」に傍点]」
「子供の着物を……親が着て」
「はッ、つんつるてェん[#「つんつるてェん」に傍点]、つんつるてェん[#「つんつるてェん」に傍点]」
「襦袢に、袖のないものは?」
「はッ、ちゃん[#「ちゃん」に傍点]、ちゃん[#「ちゃん」に傍点]」
「うまいな、これは……これはァ…あ、夏の売りもので、そばに似れどもそばでなく、うどォんンに似れどもうどんでなく、酢をかけ蜜かけたべェるゥうのォおは?」
「とォころてェん[#「とォころてェん」に傍点]、かァんてん[#「かァんてん」に傍点]」
「それをあんまり食べすぎて、おなかをこォわァしィて、かよ…ォうのォはァッ?」
「せっちん[#「せっちん」に傍点]、せっちんせっちん[#「せっちんせっちん」に傍点]」
「きたない三味線だなあ……あれあれ、むこうの棚に……鼠が三《み》つ出《い》でてェ、また三つ出でてむつましィく、ひとつの供えをォ…ォ…お、引いィ…いィてェ、ゆゥく」
鼠が
「ちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅう」
「いやあ、節右衛門さんところの鼠だけあって、いやあよく弾きますなあ」
「いやあ、なんの、少々、かじる[#「かじる」に傍点]だけで……」
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