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落語百選27

时间: 2019-09-15    进入日语论坛
核心提示:あたま山ごく吝《けち》んぼうな人が、さくらんぼを食べていて、種《たね》ももったいないというので、いっしょに呑みこんだ。こ
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あたま山

ごく吝《けち》んぼうな人が、さくらんぼを食べていて、種《たね》ももったいないというので、いっしょに呑みこんだ。この種が腹の中で、体内の暖かみで、芽を出し、これがだんだんに育って、ついに頭を突き抜けて、立派な木の幹になって、枝をひろげて、春になると、見事な桜の花が咲きはじめた。
「旦那さま、いかがでございます。あたま山の評判をお聞きになりましたか? 一本の桜の木でございますが、それはそれは見事でございますよ。ええ、とんと祇園の夜桜もおんなしで……。ええ? どうです、出かけようじゃございませんか。芸者衆も大勢、揃っております。花奴《はなやつこ》に冷奴《ひややつこ》なんで、みんな勢ぞろいをしておりますから……」
こういう連中がくりこんできて、朝からどんちゃん騒ぎ。なかには酔っぱらいでくだ[#「くだ」に傍点]巻きながら、
「なにをッ、おれの言うことが聞かれねえ? さあッ、矢でも鉄砲でも持ってこい」
これから喧嘩になる。うるさくってしょうがない。頭をひとつ振ると、みんな、
「地震だ、地震だ」
と、逃げていく。
「こんな木があるからいけないんだ」
と、これに手をかけて、えいッと引き抜いた。すると、根が抜けて、頭《あたま》のまん中へ大きな窪《くぼ》みができた。
この人が用足しに行くと、夕立にあって、これにすっかり水が溜まった。ところが、この人はしみったれ[#「しみったれ」に傍点]だから、この水を捨てない。そのままにしておくと、そのうち魚が棲みつき、鮒《ふな》だの鯉だのだぼはぜだの泥鰌《どじよう》だ海老だの、いろんなものが泳いで、朝から晩まで子供が釣りに来て、わめいたりよろこんだり泣いたり、もう、うるさい。これが帰って、やれやれとおもうと、夜になって、舟を漕いでくるのがある。
「兄い、どうだい、ここらでひとつ、いれてみねえかなあ」
「そうだな、じゃ、ひとつここいらで、やるとしようか。舟をうまく、操《あやつ》ってくんなよ。よいしょっと……」
と、投網を打つ。
「おう、もう少しとり舵《かじ》にしてくんなよ。さあ、ここでもっていれっ……と、おやおや、またこの舟、回すね。おい、そう回しちゃあいけないよ、いいかげんにしろよ、しっかり舵をとんなよ、しょうがねえじゃねえか。いいかい? いよ……とッ」
と、投網を打つ。
「え、なにが釣れたい?」
「草鞋《わらじ》が釣れた」
「冗談じゃねえぜ、はは、はっはっはっはっはッ、そいつは大笑いだ、あっはっはっはッ……」
夜までこのありさま……こううるさくっちゃあ、とてもたまらないと、頭の池へ自分で身を投げた。
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