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落語百選33

时间: 2019-09-15    进入日语论坛
核心提示:金明竹《きんめいちく》「与太郎や、なぜその、猫の鬚《ひげ》ェ抜くんだい? 鼠をとらなくなっちまうじゃあないかおまえだろう
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金明竹《きんめいちく》

「与太郎や、なぜその、猫の鬚《ひげ》ェ抜くんだい? 鼠をとらなくなっちまうじゃあないか……おまえだろう、猫の爪とったのは。なぜ爪をとっちまうんだ」
「だって、おじさんが爪を伸ばしておいちゃあいけない。爪をとれ、爪をとれって言うから」
「そりゃあ、おまえの爪をとれと言ったんだよ。ごらん、猫がどこへも上がれなくなっちまったじゃあないか。ほらっ、なぜ算盤《そろばん》をまたぐんだよ。大事な商売の道具じゃあないか。わきへ寄せておきな。さあ、表を掃除しなさい。掃除というのは掃くんだよ。箒《ほうき》をもってきて……ああ、ひどいほこりだなあ。水を撒《ま》きな水を……掃除をする前には水も撒くもんだ。おぼえておきなさい。水を撒くったってうまいまずいがあるんだよ。植木屋さんが撒くように、たいらに、水たまりがあって乾いたところがあっちゃいけない……ああッ……どうもあいすいません、とんだご無礼をいたしました。見なさい。おまえのためにあたしがあやまらなくちゃあいけない。撒く先を見ないで手もとばかり見て撒くから、人さまの足へかけてしまうんだ。往来へ行ってこっちへ撒きな……あッあッ……店へ入るよ、もう加減がわからないかなあ、もういいよ。表はいいから二階へ行って二階の掃除をしな……おまえも少し叱言《こごと》を言ってくれなきゃ困りますよ。いくらあたしの身内だからって、朝から晩まであいつにかかりっきりで叱言だ。口がくたびれちゃうよ。あたしがやったほうが早いけど、それじゃ、あいつがなんにもおぼえやしない……おや? 二階から水がたれてきたよ。またなんか粗相したぞ、花瓶でもひっくり返したんじゃねえか……おーい、与太郎、どうかしたか?」
「いま掃除する前だから水を撒いてる」
「ばか野郎……おい、表と座敷といっしょにするやつがあるか……おい、雑巾《ぞうきん》持ってきておくれ、たいへんだ……おまえは店番してなさい。店番を」
「うん……そのほうがこっちは楽でいいや……あれっ、雨が降ってきたぞ。なんだ、水撒いて損しちゃった。もう少し待ってりゃあ天が水撒いてくれたのになあ……ああ、表を歩いていた人がみんなお尻《けつ》をまくって駆け出して行くぞ。おもしろいなあ」
「ごめんください」
「あっ、なんです?」
「通り雨だろうとおもうんですけど、ちょっと、お軒先を拝借したいんですが……」
「軒先なんぞ持ってっちゃあ困るよ」
「……? いいえ、持って行くわけじゃあございません」
「ああ、そうか。傘がなくって困ってるんだな」
「ええ」
「そんなら貸してやろうか?」
「そうですか、急ぎの用があって、助かるんですが……」
「じゃあ、これを持っといでよ」
「これは、どうもありがとうございます」
「与太郎や……どなたかいらっしゃったようだな」
「雨が降ってきた」
「そうかい。なにか濡れるものはなかったかな?」
「地べたが濡れてる」
「干物でも出してないかと聞いてるんだよ……それにいま、どなたかいらっしゃったようだが」
「尻まくった毛むくじゃらの脚の人が入ってきて、軒先を拝借したいって」
「雨宿りだろう。どうぞと言ってあげたかい」
「いやあ、軒先を持ってかれないように、傘貸してやった」
「ああ、どちらの方《かた》だ?」
「あちらの方」
「指さしたってわからないよ。どんな人だ?」
「こういう首がある……こういう……」
「かたちじゃない。知ってる人か?」
「ううん、知らない人」
「ところと名前でも聞いといたか?」
「聞かない」
「そんな人に傘貸しちゃいけないね、番傘か?」
「おじさんの蛇の目」
「行き届いたやつだね……貸してくださいと言われても、知らない人だったらお断わりするものだ。傘なんてえものは、お天気になると、ついつい忘れて返さなくなるもんなんだから……」
「ああ、じゃあ、こんどは断わらあ。おまえは返さないから貸さないよって……」
「そんなことを言うやつがあるもんか……そういうときには、『貸し傘も何本もございましたが、このあいだからの長じけ[#「じけ」に傍点]で、使いつくしまして、骨は骨、紙は紙と、ばらばらになりまして、使いみちになりませんから、焚《たき》つけにでもしようとおもって、物置きに放りこんであります』と、こう言って断われ」
「ああ」
「わかったか?」
「うん、こんどは、そう言って断わるよ」
「ごめんください」
「なんだい?」
「すじむかいの近江屋でございますが、いま押し入れに鼠を追いこんじゃったんですが、ええ? 人間わざじゃあどうにもしょうがねえもんで、お宅の猫が遊んでいたら、ひとつ貸してくださいな」
「うふっ」
「え?」
「うちに貸し猫も何匹もいましたが……」
「へっ?」
「こないだからの長じけでね、使いつくして、骨は骨、紙……紙はねえや……皮は皮で、ばらばらになっちゃって、焚つけにしようとおもって、物置きへ放りこんであります」
「へーえ、猫の焚きつけです? それじゃあまたお願いします」
「おい、与太郎っ」
「え?」
「どなたかいらしったようだな?」
「ああ、すじむかいの近江屋……」
「呼びすてにするやつがあるか」
「さん」
「いまごろ、さんづけにしてどうするんだ。なんのご用だ?」
「押し入れへ鼠が入っちゃって、人間じゃあしょうがないから、猫貸してくれって」
「そうか。猫はそこにいるじゃあないか、貸してあげな」
「断わっちゃった」
「なんだって」
「うちに貸し猫も何匹もいましたが……」
「貸し猫?」
「こないだからの長じけで、骨は骨、皮は皮で、ばらばらになりまして、使いみちになりませんから、焚つけにしようとおもって、物置きへ放りこんであります……」
「それは傘の断わりようだ。猫なら猫のように断わりようがある。『うちにも猫が一匹おりましたが、このあいだからさかり[#「さかり」に傍点]がつきまして、とんとうちへ帰りません。久しぶりで帰ってきたとおもったら、どっかで、海老の尻尾《しつぽ》でも食べたんでしょうか、おなかをくだしまして、お宅へおつれして、もしもお座敷へ粗相するといけません。木天蓼《またたび》なめさして寝かしてあります』と、こう言うんだ」
「ふーん」
「わかったか?」
「こんど来たらそう言うよ」
「ごめんくださいまし」
「なんだい?」
「へえ、横丁の讃岐屋からまいりましたが、うちの旦那ではちょいと目の届かないことがございますので、ご苦労さまでございますが、こちらの旦那さまがいらっしゃいましたらちょっとおいでを願いたいんでございますが……」
「ああ、旦那か……うちに、旦那も一匹いましたがねえ、こないだから、さかり[#「さかり」に傍点]がつきまして……」
「えっ? あの旦那が……」
「ええ、とんとうちへ帰らねえんで。久しぶりに帰ってきたんですけど、海老の尻尾を食べてねえ、おなかをくだしちゃったんで……」
「あらあら……」
「そいでお宅へおつれしてお座敷へ粗相するといけませんから、木天蓼《またたび》なめさして寝かしてあります」
「ちっとも存じませんでした。では、あらためてお見舞いにうかがいます」
「与太郎」
「ええ?」
「どなたかいらしったら奥へ言わなきゃあいけないよ。どなただい?」
「あのね。横丁のね、讃岐屋……さん」
「なんだって」
「あの、旦那の目の届かない……よっぽど遠くにあるんですねえ、きっと。それでいたらおじさんに来てくれって……」
「ああ、そうかい。なにか目利きをしてくれってんだろう。じゃあ行ってこよう」
「断わっちゃったよ」
「なんだって?」
「うちに、旦那も一匹いましたが……」
「一匹?」
「こないだから、さかり[#「さかり」に傍点]がつきまして……」
「おい、よしてくれ、なんてことを言うんだ」
「とんと家へ帰りません。久しぶりで帰ってきたかとおもったら、どこかで海老の尻尾《しつぽ》を食べておなかをくだしちゃって、お宅へつれてってお座敷へ粗相するといけませんから木天蓼《またたび》なめさせて寝かしてあります」
「それは猫だよっ……あたしゃ面目なくって表へ出られないよ……羽織出しておくれ。まちがえられるといけないから、ちょいと行ってわけを話してくるから……こいつに任しといちゃあだめだよ。おまえ店番しとおくれ……おい、与太郎、お客さまがきたら、なんでもいいからおばさんにそう言うんだよ」
「ああ」
「ああなんていう返事があるか。『はい』って言うんだ」
「ああ」
「あきれかえってものが言えないねえ。じゃあ行ってきますよ」
「行っていらっしゃい。あっはっはっは、とうとう行っちまった。おじさんもいいけど、のべつ叱言ばかり言ってるんだからかなわねえや。爪をとっとけって言うから猫の爪をとったら、あれはいけないと言うし、なんでもきれいにしておけと言うから庭の石灯籠をたわしで磨いたら、あれは磨いちゃあいけねえんだってやがる。……どうしていいかわかりゃあしない」
「ごめんやす、ええ、ごめんやす」
「なんだい?」
「旦那《だな》はん、お在宅《うち》でやすか?」
「ええ、炭団《たどん》屋さん?」
「旦那《だな》はん、お在宅《うち》でやすか? お家《いえ》はんは? あんた丁稚《でつち》はんだっか? なあ、ぼんち[#「ぼんち」に傍点]か? わてなあ、中橋《なかばし》の加賀屋佐吉方から参じましたん。へえ、先度、仲買いの弥市が取り次ぎました道具七品のうち、祐乗《ゆうじよう》、光乗《こうじよう》、宗乗《そうじよう》三作の三所物《みところもの》、ならびに、備前|長船《おさふね》の則光《のりみつ》、四分一《しぶいち》ごしらえ|横谷宗※[#「王+民」、unicode73c9]小柄《よこやそうみんこづか》付きの脇差《わきざし》、柄前《つかまえ》はな、旦那《だな》はんが古《ふる》鉄刀木《たがや》と言やはって、やっぱりありゃ埋木《うもれぎ》じゃそうに、木がちごうておりまっさかいなあ、念のためちょとお断わり申します。つぎは織部の香合、のんこの茶碗、黄檗山金明竹《おうばくさんきんめいちく》、ずんどうの花|活《い》けには遠州|宗甫《そうほ》の銘がござります。古池や蛙《かわず》とびこむ水の音と申します、あれは風羅坊正筆《ふうらぼうしようひつ》の掛け物で、沢庵《たくあん》、木庵《もくあん》、隠元禅師張《いんげんぜんじは》り交《ま》ぜの小屏風《こびようぶ》、あの屏風はなあもし、わての旦那《だんな》の檀那寺《だんなでら》が兵庫におましてなあ。へえ。この兵庫の坊主の好みまする屏風じゃによって、表具にやり、兵庫の坊主の屏風にいたしますと、かようおことづけ願います」
「あっはっは、こりゃあおもしろいや。お銭《あし》をやるからもういっぺんやってごらん」
「わて、ものもらいとちがいまんがな……なあ、よう聞いとくれなはれや。わて、中橋の加賀屋佐吉方から参じました。先度、仲買いの弥市が取り次ぎました道具七品のうち、祐乗、光乗、宗乗三作の三所物、ならびに備前長船の則光、四分一ごしらえ横谷宗※[#「王+民」、unicode73c9]小柄付きの脇差、柄前はな、旦那はんが古鉄刀木と言やはって、やっぱりありゃ埋木じゃそうに、木がちごうておりまっさかいなあ、念のためちょとお断わり申します。つぎは織部の香合、のんこの茶碗、黄檗山金明竹、ずんどうの花活けには遠州宗甫の銘がござります。古池や蛙とびこむ水の音と申します。あれは風羅坊正筆の掛け物で、沢庵、木庵、隠元禅師張り交ぜの小屏風、あの屏風はなあもし、わての旦那の檀那寺が兵庫におましてなあ、この兵庫の坊主の好みまする屏風じゃによって、表具にやり、兵庫の坊主の屏風にいたしますと、かようおことづけ願います」
「うわあ、こりゃあおもしれえや。なんべん聞いてもわからねえ。ひょごのひょうごのって……おばさん、来てごらん、よくしゃべる乞食が来たよ」
「まあ、なんですねえ。失礼なことを言うんじゃありませんよ……いらっしゃいまし。これは、親戚から預かりました愚か者でございまして、たいへん失礼いたしました……あのう、どちらからおいででございます?」
「ああ、お家《いえ》はんだっか?」
「はい」
「あのう、旦那はん、お留守でやすか? それではなあ、ちょとおことづけ願います。わて、中橋の加賀屋佐吉方から参じましたん。先度、仲買いの弥市の取り次ぎました道具七品のうち、祐乗、光乗、宗乗三作の三所物、ならびに備前長船の則光、四分一ごしらえ横谷宗※[#「王+民」、unicode73c9]小柄付きの脇差、柄前はな、旦那はんが古《ふる》鉄刀木《たがや》と言やはって、やっぱりありゃ埋木《うもれぎ》じゃそうに、木がちごうておりまっさかいなあ、念のためちょとお断わり申します。つぎは織部の香合、のんこの茶碗、黄檗山金明竹、ずんどうの花活けには遠州宗甫の銘がござります。古池や蛙とびこむ水の音と申します。あれは風羅坊正筆の掛け物で、沢庵、木庵、隠元禅師張り交ぜの小屏風、あの屏風はなあ、もし、わての旦那の檀那寺が兵庫におましてなあ、この兵庫の坊主の好みまする屏風じゃによって、表具にやり、兵庫の坊主の屏風にいたしますと、かようおことづけ願います」
「あの、お茶をもってらっしゃい、お茶をもってらっしゃい……」
「もうもう、構《かも》うとくんなはんな、茶《ぶぶ》結構だす。おことづけのほうわかりましたか?」
「あのう、これに叱言いっておりまして、ちょっと聞きとれなかったもんですから、申しわけございませんが、もう一度おっしゃっていただきたいんで……」
「ああさよかあ……わて、丁稚はんに二度、あんたはんに一度だっせ、もう口が酸《す》うなってまんねん。よう聞いとくんなはれや。わて、中橋の加賀屋佐吉方から参じましたん。先度、仲買いの弥市が取り次ぎました道具七品のうち、祐乗、光乗、宗乗三作の三所物、ならびに備前長船の則光、四分一ごしらえ、横谷宗※[#「王+民」、unicode73c9]小柄付き脇差、柄前はなあ、旦那はんが古鉄刀木と言やはってやった、あれ、埋木じゃそうになあ、木ィがちごう……よく聞いとくんなはれや、木ィがちごうとりますさかい、念のため、ちょとお断わり申します。つぎは織部の香合、のんこの茶碗、黄檗山金明竹、ずんどうの花活けには遠州宗甫の銘がござります。古池や蛙とびこむ水の音……ありゃ風羅坊正筆の掛け物、沢庵、木庵、隠元禅師張り交ぜの小屏風、あの屏風はなあ、わての旦那の檀那寺が兵庫におましてな、この兵庫の坊主の好みまする屏風じゃによって表具にやり、兵庫の坊主の屏風にいたしますと、かようおことづけ願います。ごめんやす」
「あの、もし、あなた……ほら、ごらんよ。おまえが、げらげら笑うから、なにを言ってたか、ちっともわからないじゃないか……お茶をもってらっしゃいってえのに。お茶をもってくればもういっぺんぐらい聞かれたのに。旦那が帰ってきたら、なんて言ったらいいか、困っちまう……」
「あたい知らないよ。おばさんが聞いてたんだもの……ひょうごの、ひょうごのって……」
「ただいま帰りました」
「お帰んなさいまし」
「与太郎にまた叱言かい?」
「はい……あの……いま、お客さまが見えました」
「そうかい……で、与太郎がどうした?」
「お茶を持っといでと申しますのに、お客さまのうしろへ棒立ちに突っ立って、大きな口をあいて、げらげら笑ってます」
「こういうやつだからしかたがない。で、どちらの方がおいでになったんだい?」
「いま、お帰りになったばかりですが、途中で、お会いになりませんでしたか?」
「いいや、会わなかった。どちらの方だ?」
「あちらの……」
「どういう方だ?」
「ええ、羽織を着て、着物を着て、帯をしめて……」
「おまえにまで与太郎がうつったんじゃないか? どこの、なんという方が、なんのご用でお見えになったんだい?」
「あのう……それが、上方《かみがた》のお方らしゅうございまして、言葉も早口でよくわからないところがありましたので……」
「じゃあ、ゆっくり聞くから……どこの方が、なんの用で、お見えになったんだい?」
「その……いまお帰りになりました」
「そんなことばかり言ってる? じゃあ……なんだってえの?」
「中橋の加賀屋佐吉さんとかいう……?」
「おうおう、会いたかった、佐吉さんかい?」
「いいえ、そこからお使いで……仲買いの弥市さん」
「ああ、弥市ならいつか家《うち》へ来たことがある。その弥市が来たのか?」
「いいえ、その人が、気がちがったんです」
「えっ、気がちがった?」
「ええ、気がちがいましたからお断わりにまいりました」
「おかしいな……それから、どうした?」
「なんでも、……遊女を買ったんです……それが孝女なんです……」
「へえっ」
「掃除が好きで……千艘《せんぞ》や万艘《まんぞ》って遊んでて、しまいに、ずん胴斬りにしちゃったんです」
「気ちがいだから、なにをするかわからない。それからどうした?」
「それから、あの……つかまえようとしたんですが……小づか……小づかいがないとかいって……つかまんなかったんです」
「なんだか、さっぱりわからないな」
「で、隠元豆に沢庵ばっかり食べて、いくら食べても、のんこのしゃあ……」
「なんだいそりゃ?」
「それで、あの、備前の国へ親舟で行こうとおもったら、兵庫へ行っちゃったんです。で、兵庫にお寺があって、そこに坊さんがいて、まわりに屏風を立てまわして、なかで、坊さんと寝たんですって……」
「ああ、そりゃ色気ちがいだ……しかし、どうもよくわからないなあ。話てえものは十《とお》のところを五つわかればあとは察することもできるが、これじゃ、子供のなぞなぞだよ、いやだよ、あたしゃあ。どこか一か所ぐらい、はっきりおぼえてないかい?」
「ああ、そういえばおもいだしました。たしか、古池へとびこんだとか……」
「えっ、古池へとびこんだ。……早く言いなさいそういうことは……あの人には、道具七品ってものが預けてあるんだが、買ってかなあ?」
「いいえ、買わず(蛙)でございます」
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