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落語百選34

时间: 2019-09-15    进入日语论坛
核心提示:鹿政談むかしから名物というものは、いろいろに言われているが、その土地土地によって異なり、江戸の名物は、[#この行1字下げ
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鹿政談

むかしから名物というものは、いろいろに言われているが、その土地土地によって異なり、江戸の名物は、
[#この行1字下げ]武士、鰹《かつお》、大名、小路《こうじ》、生鰯《なまいわし》、茶店、紫、火消、錦絵。
これに追加があって、
[#この行1字下げ]火事、喧嘩、伊勢屋、稲荷に犬の糞。
京都の名物は、
[#この行1字下げ]水、壬生菜《みぶな》、女、染め物、針扇、お寺、豆腐に人形、焼き物。
大阪の名物は、
[#この行1字下げ]舟と橋、お城、惣嫁《そうか》に酒、蕪《かぶら》、石屋、揚《あげ》屋に問屋、植木屋。
奈良の名物は、
[#この行1字下げ]大仏に、鹿の巻筆《まきふで》、奈良|晒《ざらし》、春日《かすが》灯籠《とうろう》、町の早起き。
 奈良|三条横町《さんじようよこまち》に住む、豆腐屋の与兵衛……この人は親孝行で、そのうえ人づきあいもよく、評判の働き者……商売柄、いつものように朝暗いうちから起きて、豆腐をこしらえ、また二番目の臼をひいていると、表でどどっとものの倒れる音がした。しらじらと明けてきた表を、戸の隙間《すきま》からのぞいてみると、戸袋のところへ出しておいた雪花菜《きらず》の桶を倒し、大きな犬が桶の中へ頭を突っこんで、むしゃむしゃ食べている。……雪花菜《きらず》とは、豆腐のしぼりかす[#「かす」に傍点]、おから[#「おから」に傍点]のことで、あちらでは雪花菜《きらず》という……なるほど豆腐は切るがあれは切りません、うまく名付けたもので……。朝っぱらから商売ものを食われるのは腹立たしい。
「しッ、しッ」
と、与兵衛が二、三べん追ってみたが、いっこうに動じない。ぽっぽと湯気の立つ雪花菜《きらず》を犬は、あいかわらずうまそうにむしゃむしゃやっている。おどかそうと、そばにある薪《まき》をとって、ぽーんと投げつけると……当たりどころが悪かったものか、ごろっと倒れた。与兵衛が表へ出てみると、それは犬ではなく、鹿が倒れているので、びっくり仰天……家内じゅうの騒ぎになり、手当てをしたり、薬をのませたりしたが、鹿は息を吹き返すことなく死んでしまった。
奈良では、鹿をご神鹿《しんろく》として、たいへんに大切にしている。「鹿を打つものは五貫文の科料に処す」、つまり、ちょっとなぐったところを役人に見られると、五貫文の罰金をとられる。まして殺したとなれば、「鹿をあやまちたりとも打ち殺したものは死罪たるべし」というきびしい掟がある。
そのうちに近所でもこの騒ぎに気づき、
「豆腐屋の前に鹿が死んでる」
「与兵衛が鹿をなぐり殺した」
と、町じゅうへ噂がひろまり……目代《もくだい》屋敷から役人が出頭し、与兵衛はお縄にかかって奉行所へ引かれていった。そして、鹿の守役の塚原|出雲《いずも》、興福寺の番僧良然《ばんそうりようぜん》の両名の連署で、訴えの願書が差し出され、白洲へ一同のものがそろって控えた。ときの奉行は、根岸肥前守《ねぎしひぜんのかみ》という人で、のちに江戸町奉行に栄転をした、慈悲深い方……。
「奈良三条横町、豆腐屋渡世、与兵衛、面《おもて》を上げよ」
縁側の下の両側へ腰をかけている蹲踞《つくばい》の同心。俗に赤鬼青鬼といって、緋房《ひぶさ》の十手をふりあげて……
「面《つら》を上げろっ」
この声を聞いただけでだれでもぶるぶるっとふるえあがる。
「そのほう、何歳にあいなる?」
「四十二でござりまする」
「そのほうの生まれは、いずれである?」
「わたくしは奈良三条横町に……」
「これ、そちの住まいではない、生まれはいずくじゃ?」
「奈良三条……」
「これこれ、そのほう、お上をおそれて顛倒《てんとう》いたしておる。いつわりを申してはあいならんぞ……そのほう、奈良|出生《しゆつしよう》の者ではあるまい。いずれの生まれであるか? よく前後をわきまえ答えをいたせ。どうじゃ、定めし奈良出生の者ではあるまいの」
「はい……お慈悲のお言葉、ありがたいことでござります。わたくしは嘘をつくことはきらいでござりまして、じじいの代から三代、奈良三条横町に豆腐屋をいとなんでおります。奈良出生の者に相違ござりません」
 「しからばそのほうは、おのれでいたしたことがわからんようにあいなる、なにか病《やまい》でもあるか?」
「鼻風邪ひとつひいたこともない、丈夫なものでござります」
「しからばいかなる趣意をもって鹿を打ち殺したか、ありていに申せ、意趣遺恨でもあるか? どうじゃ?」
「はい、もとより鹿のこと意趣遺恨のあろう道理もござりません。いつものとおり早う起きまして豆腐をこしらえ、また二番目の臼《うす》をひいておりますと、表でどどっとものの倒れるえらい音がいたしましたので、ひょっとのぞいてみると、表へ出しておきました雪花菜の桶を倒して、大きな犬がむしゃむしゃ食べております。商売ものを食べられるのは縁起《げん》の悪いこと、しッしッと、二、三べん追うてみたが、いっこう退《の》こうといたしませんので、つい腹立ちまぎれ、そばにありました割木をとって打ちつけましたところ、たしかに手ごたえ……、近寄りみれば、犬にはあらであれなる鹿。な、な、南無三宝……ゥ、薬はなきやと懐中を……」
「控えろ……それは忠臣蔵六段目である」
「いろいろ介抱いたしましても甦《よみがえ》りませんで、大事な鹿を打ち殺しましたる咎《とが》、どのような重いお咎めも覚悟の上でござりまする。あとに残りました母親や女房子は、ご憐憫《れんびん》のご沙汰《さた》を願わしゅう存じます」
「さようか。ざんじ控えおれ……これ、鹿の死骸をこれへ持て……薦《こも》をはねよ……ふーん、これは鹿ではない。犬じゃ。毛並みは似ておるが奉行の見るところ犬とおもうが、一人《いちにん》にてあやまちがあってはあいならんが……そちはどうじゃ?」
「はっ、てまえも拝見いたしましたるところ、毛並みは似ておりますが、これは犬のように心得ます」
「さようか……そちはどうじゃ?」
「てまえも犬と心得ます」
「町役たちもよく死骸をあらため、犬であるか鹿であるか申してみよ、どうじゃ?」
「ええ、わたくしどもはもうどっちゃでもよろしいことでござりまするので……」
「これ、どっちゃでもと曖昧なことを申さず、よくあらためよ」
「なるべくのことなら犬のほうに願いたいのでござりまして……」
「控えろ……願わくばなぞと申さずよく死骸をあらためよ」
「もう拝見いたしませんでも犬に相違ござりません……なあ、源兵衛さん、新吉っつぁん、八左衛門さん、こりゃなんや、犬やな」
「へええ、もう犬に相違ござりませんで、犬の証拠には、いまわんわんとなきまして……」
「これこれ、いかに犬であればとて死んだものがなくか」
「ついうれしまぎれになきましたわけで……」
「たわけたやつである……しからば一同も犬と見る。奉行もこれは犬とおもう。さて、……守役、塚原出雲、取り調べたるところ、これは毛並みの似た犬である。そのほうも役目たいせつと心得、とりちがえ、訴え出でしものに相違あるまい。これは、役目たいせつと心得てのあやまり、上《かみ》において咎めはいたさん。願書は差し戻すによって、これは願い下げにいたしてはどうじゃ」
「おそれながら塚原出雲申しあげます。てまえ年来守役を勤むるもの、毛並みの似たる犬を鹿ととりちがえる愚かはござりません。いま一応お調べを願わしゅう存じます」
「ふーん、しかし鹿ならば角《つの》がのうてはかなわん。これには、角がない。それでも鹿と申すのか?」
「お奉行さまのお言葉とも存じません。鹿というものは、春、若葉を食し、それがため弱るものか、角を落とします。これを鹿のこぼれ角《づの》、ないし落とし角《づの》とも申し、俳諧の手提灯、木の葉籠などにも見受けます。角の落ちましたあとを袋角《ふくろづの》、ないしこれを鹿茸《ろくじよう》ともとなえ……」
「だまれッ、鹿の落とし角、俳諧の手提灯の講釈はそのほうに聞かんでも奉行心得おるわ……たってそのほうこれを鹿と言いはるなら、汝《なんじ》ら両名を取り調べんければあいならん。鹿には上《かみ》より三千石の餌料《えりよう》をくだしおかれる。しかるに近ごろその餌料のうちを、金子《きんす》に替え、これを奈良町人に高利をもって貸し付け、役人の権柄《けんぺい》をもってきびしく取り立てをいたす、それがため町人ども、ことのほか難儀いたすということ、奉行の耳に入りおる。百頭内外の鹿に三千石の餌料ならば、鹿の腹が満《み》たんければあいならん。しかるに餌もろくに与えず、ひもじきまま、畜生のことゆえ町家に出《い》でて雪花菜なぞを盗み喰《くろ》うに相違ない。たとえ畜類たりとも町人のものを盗み喰《くろ》うは、これ賊類にて、神慮《しんりよ》にかなわず。打ち殺しても苦しゅうないと心得る。たってそのほう鹿と言いはるなら、当調べはあとまわしにいたし、鹿の餌料横領から取り調べつかわそうか、どうじゃ」
「はッ」
「どうじゃッ」
「いや、それは……まったくその……」
「なんじゃッ」
「まったくもって……いささか……さればすなわち……かるがゆえ……いずくんぞいわゆる……いかにせん……かつまた……よんどころなく……すべからく……」
「控えろッ……よってそのほう、役目たいせつと心得、とりちがえたるものならば、上《かみ》においても咎めはないと申しておる。いま一応とくとあらため、犬であるか鹿であるか上《かみ》にむかって返答いたせ。どうじゃ……鹿か」
「はッ」
「犬かッ」
「……はッ」
「犬か鹿かッ」
「犬鹿(猪鹿《いのしか》)蝶かと……」
「控えろッ」
「恐れ入りまして……われら両名、粗忽のいたり、毛並みの似ましたる犬を鹿ととりちがえ、お訴えをいたしましたる段、なんとも恐れ入りましたること、なにとぞお許しを願わしゅう存じます」
「しからばこれは犬じゃと申すのか?」
「はッ」
「犬に相違ないな?」
「犬に相違ござりません」
「ふーん。よくあらためてみると、角の落ちたような……跡もある。これでも犬か?」
「……はッ」
「これ、よくうけたまわれ……鹿というものは、春、若葉を食す。それがために弱るものか角《つの》を落とす。それがため角の落ちたるあとを落とし角、ないし、鹿茸と申す。それでも犬か」
「はッ……それは腫物《しゆもつ》が並んで出ました跡かと心得ます」
「犬であればそのほうたちに用はない。願書は差し戻しつかわす……両名ともさがれッ」
「へッ……」
「一同のもの、犬を殺した者に咎はない。当調べはあいすんだ。一同立て……ああ、待て、与兵衛待て……そのほうの商売は豆腐屋じゃの」
「はい」
「……斬らず(雪花菜)にやるぞ」
「健在《まめ》(豆)で帰ります」
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