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落語百選35

时间: 2019-09-15    进入日语论坛
核心提示:しわい屋吝《けち》ん坊、吝《しわ》いしみったれ、ケチ、赤螺屋《あかにしや》、吝嗇《りんしよく》、ガリガリ亡者、六日知らず
(单词翻译:双击或拖选)
 
しわい屋

吝《けち》ん坊、吝《しわ》い……しみったれ、ケチ、赤螺屋《あかにしや》、吝嗇《りんしよく》、ガリガリ亡者、六日知らず……等々、いろいろ悪口があるが、この、六日知らず、というのは、日を勘定するとき、指を一日、二日、三日、四日、五日と数えてにぎったら、六日……と、いったんにぎったものを、はなすのはいやだ、そこで六日知らずという、世の中にはずいぶん吝《けち》な人がありまして……。
「小僧や」
「へえ」
「雨戸を修繕するんだから、お向こうへ行って、金槌《かなづち》を借りておいで」
「へーい……こんちは、すいませんが、金槌をお借りしたいんですが……」
「金槌を? なにを打つんだい、鉄《かね》の釘《くぎ》か、竹の釘か、どっちだ?」
「鉄《かね》の釘を打つんで……」
「それじゃお貸しできません。鉄《かね》と鉄《かね》とぶっつかれば、金槌がへっちゃうから……」
「ああ、そうですか……へい、行ってまいりました」
「どうした?」
「へえ、お向こうで、鉄《かね》の釘を打つのか、竹の釘を打つのかと聞きますから、鉄の釘を打つんだって言ったら、鉄と鉄とぶっつかれば、金槌がへっちまうから貸せないって……」
「ちぇッ、しみったれた野郎だあ。じゃあ、うちのを出して使おう」
「どうもありがとうございました。一時はこっちもひとなめになってしまうかとおもいましたが、いいぐあいに風向きが変わりまして、こちらだけはまったく難をのがれました。どうぞまあ一服なすって……小僧や、火がないよ。なーに、起こすことはないよ。おまえも気がきかないな。向こうがあんなに焼けたんだ、十能を持って行っておき[#「おき」に傍点]を一杯もらってきな」
「へえ、承知しました……えー、お向かいの旦那さん、すみませんがおき[#「おき」に傍点]を一杯ください」
「なにを言ってやがるんだい、てめえの側は残ったが、おれのほうの側は焼けちまったんだ」
「お骨折りさま」
「なにを言ってやがる。骨を折って焼くやつがあるかい、おき[#「おき」に傍点]なんか一片もやれねえよ」
「やらないと言ったって、これをこのままうっちゃっておけば、みんな灰になってしまうでしょう」
「なにを言うんでえ。みんな灰になったって、やることはできねえ、持っていきやがったら、むこう脛《ずね》をぶっ払うから……」
「そんなに怒らなくてもいいじゃありませんか、もらいませんよ……へえ、旦那、行ってまいりました」
「なんだ? どうして火をもらって来ないんだ」
「へえ、お向かいの旦那の言うには、てめえの側は残って、おれのほうの側だけ焼けたんだからやることはできねえというんで……」
「えー、なんてケチな野郎だ。もらうな、もらうな。見てやがれ。こんどこっちが焼けたって火の粉もやるもんか」
「えー、あなたの持っている扇子《せんす》は、どのくらいお使いになりますか?」
「この扇子は十年は使います」
「ほー、十年……で、どんなぐあいに?」
「半分開きまして、最初五年使います」
「ははあ」
「それがだめになったら、残りの半分を開いて、これを五年使います。都合、十年」
「ふーん、しかし、どうも扇子の半開《はんびら》きというのはおもしろくないね、あたしなら威勢よく全部開いちゃう」
「へえ」
「みんな開いて、扇子を動かすと、扇子のいたみがはやいから、自分で首のほうを振る」
 たいそうケチな人が鰻《うなぎ》屋の隣に引っ越した、こういう人はケチですから、ご飯のお菜《かず》を買いません。食事どきになると、隣で焼く鰻の匂いをお菜にご飯を食べるという徹底したケチでして、すると、ある日、隣の鰻屋がやって来た。
「ええ、ごめんください」
「だれだい?」
「ええ、隣の鰻屋で……」
「隣の鰻屋? なんの用だい?」
「ええ、お勘定をいただきにまいりました」
「なに? 鰻の勘定? おい、おかしなことを言うなよ。おれんとこじゃあ鰻なんか食ったおぼえはねえぞ」
「いいえ、めしあがった代金ではございません。鰻の匂いのかぎ賃[#「かぎ賃」に傍点]をいただきに……」
「ええっ? かぎ賃[#「かぎ賃」に傍点]ッ……うーん、やりゃあがったな。……うん、よし、よし。いま払ってやるから待ってろよ」
と、懐中から金を出して、ちゃぶ台の上へチャリン、
「さあ、かぎ賃だから、音だけ聞いて帰れ」
「おい、向こうからしわい屋の吝兵衛《けちべえ》さんが来るよ。たいへんな野郎だ、あいつは。他人《ひと》の顔を見ると『こんにちは』って言わないよ、いきなり『なんかください』って言いやがる」
「うん、だからあたしはあいつにやろうとおもって、いま持ってるものがある」
「よせよ。あんな野郎にやるくらいなら、掃溜《はきだめ》へ捨てちゃうほうがましだ」
「まあまあ、そう言うな。じつは、いまおならの出そうなのを、ぐっと我慢してるんだ。これをやろうとおもってな……吝兵衛さん」
「おっ、なんかくださいますか?」
「おまえさんにあげようとおもって持ってるもンがあるんだがね」
「それは、ありがとうございます」
「だが少し持って行きにくいよ」
「ええ、なんでも結構ですよ。品物は?」
「屁《へ》だよ」
「え? へ?」
「おならだけど、どうだい?」
「おなら、結構……どうぞ、へい、おやりください」
股間に両手をまるめておさえ、つかまえると吝兵衛さん、一目散に飛んでって、自分の家の裏の菜畑へ行って、両手をあけ、
「ただの風よりましだろう」
「久しぶりだね、どうしてたね」
「いや、別に患ってたってわけじゃないんです、あたしゃこのごろ表へ出ません」
「どうして?」
「下駄が減りますから」
「ほほう、えらいな、いい心がけだ」
「なんです。頭の上に吊してある石は?」
「いや、涼んでいるんだ、きょうは蒸《む》すんでな」
「へーえっ」
「こうしていると、冷や汗が出るんでな、扇子もいらないよ」
「あぶないですね。さすがは吝兵衛さん」
「金を残したければ人と同じことをしていてはだめだ。ところで、あなたはどんなお菜《かず》でご飯を食べますか?」
「あたくしは、梅ぼしをやっています」
「梅ぼしを? どんなふうにして?」
「日に一つ」
「日に一つ?」
「まず朝めしのときに半分、いただきます」
「ふん、ふん」
「お昼に残りの半分をいただきます」
「それでは晩のお菜《かず》がなくなるだろう」
「いえ、晩には種をしゃぶって、それだけでは足りませんから、なかを割って中味もみんないただきます……どうです?」
「いや、それはぜいたくだ。梅ぼしが日に一つ、というのはおだやかでないよ。一年には三百六十五粒だ。少し食いすぎるな。おなじ梅ぼしをお菜にするにしても、もっといい方法がある」
「へえ、どんなふうに?」
「ご飯をよそったら、梅ぼしを食べずにじっとにらむ」
「梅ぼしをにらむ?」
「ああ、にらむ……けっして口にしてはいけない。そうすれば、相手が梅ぼしだ。だんだん口のなかがすっぱくなってくるだろう。そのすっぱい水がたまったところで、ご飯を食べてしまう。梅ぼしは少しも減らない、どうだ」
「恐れ入りました。なるほど、あなたにはかなわないな……ところで、お金を貯める極意はありませんかねえ」
「あるよ」
「それをわたしに教えてくれませんか?」
「うん、おまえだけは見どころがある。金を貯める極意を教えてやろう……じゃ、こっちへ、いっしょにおいで……さあ、この梯子《はしご》で松の木へ登って、枝に両手を伸ばして、枝をつかんだら、ぶら下がるんだ。やってごらん」
「へい、……」
「よし、じゃあ梯子を取るよ」
「ああ、梯子を取っちゃあぶないッ」
「お金を貯める極意だ、命がけで覚えなくてはいかん」
「へい」
「じゃ、まず左の手を放してごらん」
「へい、ははは……放しました」
「次に、右の手の小指を放せ」
「右の手の小指、……放しました」
「次は薬指を、放すんだ」
「薬指……放しました」
「中指を放せ」
「中指……はは、放しました」
「人差し指を放せ」
「人差し指……冗談言っちゃあいけねえ、これ、放しゃあ落っこっちゃいますよ」
「だからさ、わかったかい。どんなことがあってもこれだけは(人差し指と拇指《おやゆび》で丸の形を示し)放しちゃあいけない」
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