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落語百選37

时间: 2019-09-15    进入日语论坛
核心提示:青菜《あおな》「植木屋さん、たいそうご精が出るねえ」「えっ、こりゃあ、どうも、旦那ですか。いえね、そう言っていただくとあ
(单词翻译:双击或拖选)
 
青菜《あおな》

「植木屋さん、たいそうご精が出るねえ」
「えっ、こりゃあ、どうも、旦那ですか。いえね、そう言っていただくとありがてんで……これが、植木屋をめったにお呼びにならねえお宅へまいりますと、植木屋は、しょっちゅう煙草ばかり吸っていて、なんにも仕事をしねえなんて言われますけど、こうやって煙草を吸っておりましてもね、べつにぼんやりしてるわけじゃあねえんで……あの赤松は、池のそばへ移したほうがいいんじゃねえかとか、あの枝は少し短くつめたほうがいいんじゃねえかとか、庭をながめながら考えておりますんで……」
「そりゃあそうだろう。人間は、むやみやたらに動きまわってればいいってもんじゃあない。植木屋さん、どうだな、こっちへきて休みませんか?」
「へえ、ありがとうございます」
「さきほど、おまえさんが水を撒《ま》いてくだすったおかげで、青いものを通してくる風が、ひときわ気持ちがよくなったよ」
「へえ、さようでござんすか。まあ、こちらのお屋敷なんぞは、どこを見ても、青いもんばかりだが、あっしなんざあ、こんな商売をしておりましても、うちへ帰ったら、青いものなんざあ、見るかげもねえんですから……なにしろ、あっしのうちときたら、長屋のいちばん奥だもんですから、風が入《へえ》ってくるったって、あっちの羽目《はめ》へぶつかり、こっちのトタンにぶつかって、すっかりなまあったかくなってからうちへ入《へえ》ってくるんですからね、なんのこたあねえ、化け猫でも出そうな風なんで……」
「化け猫の出そうな風とはおもしろいことを言うな……そうだ、植木屋さん、あなた、ご酒《しゆ》をおあがりかな?」
「ご酒? ああ、酒ですか。酒ならもうなにより……」
「ほう、よほどお好きだな。じゃあ、これから、あなたに、ご酒をごちそうしましょう」
「ありがとうございます。では、台所のほうへまわりまして……」
「いやいや、いま、ここへとりよせるでな、まあ、そこへおかけなさい」
「え? ここへ? そいつぁいけませんや。こんな泥だらけの半纏《はんてん》で、腰なんかかけりゃあ、ご縁先が汚れまさあ」
「まあ、遠慮せずにおかけなさい、なーに、汚れたら、あとでふけばいいんだから……おい、奥や、植木屋さんにな、ご酒を持ってきてあげてください。そうだな、せんだってのやつがいいだろう……ああ、持ってきたら、そこへおいてっておくれ」
「へえ、どうも、奥さま、お手数をおかけいたします」
「さあ、植木屋さん、どうぞおあがり、これが大坂の知りあいからとどいた柳影《やなぎかげ》だ」
「へえ、ありがとうございます。へーえ、柳影ねえ、めずらしい酒でございますねえ」
「上方《かみがた》では、柳影というが、こちらでいえば、直しのことだ」
「へーえ、直しですか……では、さっそくいただきます……いやあ、よく冷えてますねえ」
「いや、さほど冷えてはおらんのだが、あなた、いままで、日なたで仕事をしておって、口のなかが熱くなっておるで、それで、冷えているように感じるのでしょうな」
「さいでござんすかねえ、しかし、おいしゅうございます。結構でござんすねえ」
「いや、あなたのように、うまい、うまいと言ってくださると、まことに気持ちがよい。それから、なにもないが、鯉《こい》のあらいをおあがり」
「へえ? どれが鯉のあらいで?」
「……ここにあるから、おあがり」
「えっ、この白いのが鯉のあらい? ああ、なるほど、鯉をあらって白くしちまうから、それであらいというんで?」
「いや、べつにあらって白くするわけじゃない。鯉の身は、もともと白いもんなんだ」
「へえ、鯉の身は白いんですか? あっしはね、鯉てえものは黒いもんだとおもってましたが、ありゃあ皮なんですねえ。あっしゃあ、この年になるまで、あらいなんぞ食ったことがなかったもんですから……へーえ、贅沢《ぜいたく》なもんなんですねえ。では、いただきます。うーん、こりゃあ、しこしこして、よく冷えていてうめえもんでござんすねえ」
「氷が入っておるでな」
「氷が? ああ、なるほど……この盛りあがってるのは、みんなあらいじゃあねえんですね。ああ、下のほうに、氷が入《へえ》ってました。こいつぁ、冷たそうだ。咽喉がかわいておりますからね、この氷をひとついただきます……ひょーっ、ひょーっ、いやあ、この氷は、よく冷えてますねえ」
「氷が冷えてるとは、おもしろいね……ときに、植木屋さん、あなた、菜《な》をおあがりかな?」
「菜? ああ、菜っ葉ですか? ええ、もう、大好物なんで……」
「じゃあ、さっそくご馳走しよう。ああ、奥や、植木屋さんに、菜を出してあげてください」
「旦那さま」
「なんだ?」
「鞍馬山《くらまやま》から牛若丸《うしわかまる》がいでまして、その名を九郎|判官《ほうがん》」
「では、義経《よしつね》にしておきなさい……いやあ、植木屋さん、男というものは、勝手のことがよくわからんでな、わしは、まだ菜があるとおもっていたら、食べてしまって、もうないんだそうだ。いや、まことに失礼したな」
「ええ、菜っ葉がなけりゃあ、よろしゅうござんすがね、奥に、いま、お客さまがお見えになったんじゃありませんか? 鞍馬さまとか、義経さまとか……」
「あはははは……べつに来客があったわけでないから、どうか気になさらんように……いや、あれは、来客の折、わしと家内とで使っている隠し言葉といおうか、洒落《しやれ》といおうか、まあ、そんなものだ。植木屋さんの前だから、種明かしをしてもいいが、いま奥の言ったのは、おまえさんに失礼のないように、『鞍馬山から牛若丸がいでまして、その名を九郎判官』……菜は食べてしまってないから、菜を食ろう、という洒落で、その名を九郎判官……わしが『よしとけ』と言うところを、『義経にしておけ』と、こう言ったのだ」
「へーえ、そうでござんすか……ふーん、こいつァ、恐れ入りました。なるほど……『鞍馬山から牛若丸がいでまして、その名を九郎判官』……食っちまってねえから、九郎判官。旦那が、よしとけてえのを、『義経にしておけ』……こりゃ、旦那さまと奥さまのつづきものの洒落ですね。こうやりゃあ、お屋敷のまずいことは、まるっきり、よその人にわかりませんねえ。なにごともこういきてえもんでござんすねえ。そこへいくてえと、うちのかかあなんぞ……いえ、まあ、うちのかかあと、こちらの奥さまといっしょにしちゃあ申しわけねえんですがね……うちのかかあときたら、黙ってりゃあわかんねえことを、大きな声でふれ歩くんですから、まったくあきれけえったもんで……そこへいくと、こちらさまの奥さまは、じつにどうも、てえしたもんだ……あっ、こりゃあいけねえ。旦那、柳影が義経になりました」
「ほう、そりゃ失礼したな。柳影は、それでもうないが、ほかの酒はいかがかな?」
「いえ、もう十分に頂戴いたしました。どうもごちそうさまで……これ以上いただきますと、もう、すっかり酔っぱらっちゃいますんで……どうもありがとうございました。また、あしたうかがいますから……ごめんください」
「いや、どうもご苦労さまでした」
「へえ、どうも……うーん、えれえもんだねえ。さすがにお屋敷の奥さまだ。言うことにそつがねえや。『鞍馬山から牛若丸がいでまして、その名を九郎判官』……旦那が、よしとけてえやつを、『義経にしておけ』なんて、てえしたもんだ。まったく女らしくていいや。そこへいくと、うちのかかあ、ありゃなんだい? あれでも女かよ。男じゃねえから、しょうがなくって女でいるんじゃあねえか。うーん。まったく、てえしたもんだ」
「おまえさん、なにをぶつぶつ言いながら歩いているんだよう。おまえさんが帰ってくるころだとおもうから、鰯《いわし》を焼いて待ってたんだよっ、鰯がさめちゃうよ、鰯がっ」
「あれっ、こん畜生、おれの面《つら》みりゃ、鰯だ、鰯だって……長屋じゅうに聞こえるよ、この野郎」
「なに言ってんだ。鰯じゃないものを鰯だって言ってるんじゃあないんだ。鰯のなにが悪いんだ。早く入って、食べちまいな」
「ああ、わかったよ、わかったよ。よせやい……おうおう、鰯を焼くんならなんでこう頭ごと焼くんだ。頭なんぞ食えねえじゃねえか」
「おまえさん、知らないのかい? 頭は栄養になるんだよ、まるごと食べたほうが。犬をごらんよ、丈夫なこと」
「あれっ、おれと犬といっしょにしてやがら、あきれたなあどうも……いや、そんなことよりも、今日は、おれ、感心しちまった」
「また、はじまった。おまえさんぐらい感心する人はないねえ。猫があくびをしたって感心して……今日は、なんに感心したんだい?」
「お屋敷でそりゃあ感心したんだ。おれがな、仕事の区切りがついたんで、お庭で一服やってたんだ。すると、旦那がお見えになって、柳影てえ酒をごちそうになった。さかなは、鯉のあらいてえやつだ。鯉のあらいなんぞ、おめえは知るめえ。ありゃあ、あらって白くするんじゃあねえぞ」
「なに言ってんだよ。鯉のあらいぐらい、あたしだって知ってるさ」
「へーえ、知ってたのか……で、旦那が、『植木屋さん、菜をおあがりかな?』とお聞きなすった。おれが、『大好物なんで』と答えると、旦那が、ぽんぽんと手をたたいて、『ああ、奥や』とお呼びになった。呼ばれて出てきた奥さまの行儀のいいこと……つぎの間に控えてな、旦那の前で、こんな具合いに両手をついて……おい、こっちを見ろよ。おめえに行儀を教えてやるから……こっちを見ろよ。旦那の前に、こんなぐあいに両手をついて……」
「そういう蛙《かえる》が出てくると、雨が降るよ」
「蛙の真似してんじゃねえや……なんてまあ、口のへらねえやつなんだ。言葉だって、そりゃあていねいなもんだぞ。『旦那さま、旦那さま』」
「右や左の旦那さま」
「ふざけるなっ、なぐるよ、こいつは……いいか。奥さまが、『鞍馬山から牛若丸がいでまして、その名を九郎判官』……旦那が、よしとけてえやつを、『義経にしておけ』……このわけが、おめえにわかるかよ」
「わかるさ、やけどのまじないだろ?」
「ちえっ、なんてことをぬかすんだ。情けねえなあ。らくらい[#「らくらい」に傍点]の折……」
「どこかに、雷《かみなり》さまが落ちたのかい?」
「雷なんか落ちるもんか。お客が来たんだよ」
「じゃあ、来客だろう?」
「そう、それよ。そのらいらい[#「らいらい」に傍点]の折、『おまえさんに失礼のないように、鞍馬山から牛若丸がいでまして、その名を九郎判官』……菜を食っちまってねえから、九郎判官だ。旦那が、『よしとけ』てえのを、洒落《しやれ》て、『義経にしておけ』と、こうおっしゃったんだ。こういう結構なことは、てめえに言えめえ」
「言えるよ、それくらいは……」
「言えるなら、言ってみろ」
「鯉のあらいを買ってごらんよ」
「あれっ、畜生め、人の急所をついてきやがる……おっ、向こうから熊の野郎が来た。あいつに一杯《いつぺえ》飲ましてやってくれ。いまの、鞍馬山をやるんだから……」
「およしよ。酒なんか飲ますこたあないよ」
「けちけちすんねえ。いいか、やるんだぞ。鞍馬山から牛若丸がいでましてだぞ。そのときになって、言わねえでみやがれ、おっぺしょって鼻かんじまうぞ。さあ、お屋敷の奥さまみてえに、つぎの間にさがってろ……あっそうか。つぎの間なんかなかったっけ、一間きりなんだからなあ……じゃあ、しかたがねえから、この押し入れに入《へえ》ってろ」
「冗談じゃあないよ。この暑いのに……」
「ぐずぐず言わねえで、おとなしく入《へえ》ってろい」
「おう、いるかい?」
「野郎、来やがったな……あなた、たいそう、ご精がでるねえ」
「なーに、精なんかでるもんか。今日は、仕事をやすんで、朝から昼寝してたんだ」
「えっ、昼寝を?……いや、昼寝をするとは、ご精がでるねえ」
「なに言ってんだ。昼寝して精がでるわけがねえじゃねえか」
「まあ、いいから、こっちへお上がり。遠慮なくおかけなさい。汚れたら、あとでふけばいいんだから……」
「それほどきれいなうちじゃあねえじゃねえか。ともかく上がらしてもらうよ」
「青いものを通してくる風が、ひときわ気持ちがいいな」
「おい、しっかりしろよ。おめえ、青いものったって、なんにもありゃあしねえじゃねえか。向こうにごみ溜《た》めがあるだけだあな」
「あのごみ溜めを通してくる風が、ひときわ気持ちがいい」
「おかしなことを言うぜ、おめえは……」
「ところで、あなた、ご酒をおあがりかな?」
「ご酒? 酒かい? えっ、ごちそうしてくれるかい? へーえ、うれしいねえ。いただこうじゃあねえか」
「じゃあ、これから酒をごちそうしよう。大坂の知りあいからとどいた柳影だ。さあ、おあがり」
「ああ、ありがとう。へーえ、これ、柳影てえのかい?……うーん……なんだい、これ、ただの酒じゃあねえか」
「柳影だとおもっておあがり。さほどは冷えておらんが、あなた、いままで、日なたで仕事をしておって……」
「冷えちゃあいないよ。なまあったけえ。燗《かん》ざましじゃあねえか」
「なにもないが、鯉のあらいをおあがり」
「おいおい、おめえ、職人のくせに、鯉のあらいなんぞ食ってんのかい? 贅沢じゃあねえか。おい、どこにあるんだ? 鯉のあらいが?」
「そこにあるから、おあがり」
「こりゃあ、鰯の塩焼きじゃあねえか」
「それを鯉のあらいだとおもって、おあがり」
「いちいち言うことが変だなあ。まあ、いいや。とにかく食わしてもらうぜ……うん、てめえ。おらあ、へたな魚よりも、この塩焼きのほうが、ずーっと好きなんだ。うん、うめえ、うめえよ」
「あなたのように、そう、うまい、うまいと言ってくれると、まことに気持ちがいい……ときに、植木屋さん……」
「なに言ってんだ。植木屋はおめえじゃあねえか。おらあ、大工だよ」
「うん、そう……大工さん、あなた、菜をおあがりか?」
「おらあ、きれえだ」
「あのう、菜を……」
「菜はきれえなんだ、がき[#「がき」に傍点]のときから食え食えって言われるが、どうもでえきれえだ」
「あの、菜を……」
「きれえだよ、おれは。ああいうもんは、江戸っ子の食うもんじゃあねえ」
「でも……」
「でもも蜂の頭もねえ、きれえだ」
「おい、酒飲んじまって、鰯を食って、いまさら菜がきれえだなんて、ひでえじゃねえか……なあ、おめえがきれえなら食わせやしねえから、食うと言っとくれ」
「なんだ、泣いてやがら……おかしな野郎だな。じゃあ、食うよ」
「食う? しめたな……では、しばらくお待ちを……」
「なんだ、手なんかたたいて、なに拝んでんだ?」
「拝んでやしねえや。人を呼ぶときに、手を打つじゃあねえか……おい、奥や」
「なに言ってやんでえ。奥にも、台所にも、一間しかねえじゃあねえか」
「黙ってろい……おい、奥や」
「旦那さまっ」
「わあ、びっくりした……おい、なんだい? どうしたんだい? かみさん、押し入れからとび出したりして……この暑いのに、汗びっしょりじゃあねえか……どうしたい?」
「旦那さま……鞍馬山から、牛若丸がいでまして、その名を、九郎判官、義経」
「えっ、義経? うーん、じゃあ、弁慶にしておけ」
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