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落語百選38

时间: 2019-09-15    进入日语论坛
核心提示:一眼国《いちがんこく》昔は、両国橋をはさんで、日本橋のほうの側には、寄席があったり、大道商人《だいどうあきんど》が出たり
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一眼国《いちがんこく》

昔は、両国橋をはさんで、日本橋のほうの側には、寄席があったり、大道商人《だいどうあきんど》が出たりして賑《にぎわ》い、東のほうの向両国《むこうりようごく》、本所のほうには、回向院《えこういん》を中心にして、見世物小屋が並んで賑っていた。その見世物小屋のなかにも、もぎとり[#「もぎとり」に傍点]なんていう木戸銭さえとっちゃえばいいという、いんちきな小屋もずいぶんあって、
「さあ、ごらんよ……世にもめずらしい怪物だあ……目が三つで、歯が二本だよ」
入って見たら、下駄が片っぽ、置いてある。……なるほど、口上のとおりですから、文句が言えない。そうかとおもうと、
「八間《はちけん》の大灯籠《おおどうろう》だよ。八間の大灯籠っ、八間の大灯籠……」
灯籠というものは、石灯籠を除いて、まわり灯籠、きりこ灯籠、牡丹《ぼたん》灯籠……みんなきれいで、それが八間もある。どんな立派なもんだろうと、木戸銭を払うと、
「へい、いらっしゃい、こちらへこちらへ/\/\/\……」
手をひっぱって裏口へとーんと突き出し、
「表のほうから裏のほうへ、とう(通)ろう、とうろう……」
これよりか少々ましな小屋になると、あおり[#「あおり」に傍点]の見世物といって……木戸番が口上を言いながら、片一方の手で緞帳《どんちよう》の綱をひき、場内を半分だけ見えるようにして、
「さあ、ごらん。ご当所、評判の鬼娘《おにむすめ》というのは、この小屋だよ。……親は代々|狩人《かりゆうど》で……この子が生まれ落ちてから、母親の乳房を離れると、世の常の子供さんとは食べるものが変わっていた。麦を食うとか、稗《ひえ》を食うとか、そういうもので育ったんではない……生き餌《え》でなけりゃあ食わない。田圃《たんぼ》にとんでる飛蝗《ばつた》を食う……蝗《いなご》を食う……蛇を食う……蛙を食う、雀を食うで成長をしたね。……ある日のこと隣の赤ん坊をガリガリと食べてしまったので、母親は仰天をしてあの世の人となり、父親が前非後悔して……こういう子供の生まれたというのも、数多《あまた》たび……生きものの命をとった報いだと発心《ほつしん》して……頭を丸めて廻国《かいこく》に出ましたから、子供はこの小屋で引きとることになりましたよ……ほら、ね、あそこに座っているでしょ、あのうしろ向きに座っている……あの娘だよ……さあて、みなさん、一度味をしめたのだから……あわれなことに日にいっぺんは、人間の赤ん坊を食べずにはいられないというあわれな身の上。……見るは法楽《ほうらく》、見らるるは因果《いんが》、功徳《くどく》のためだから見てやってくださいよ……こーれから、日にいっぺんだよ……あの鬼娘が、人間の赤ん坊をガリガリと食べるところをごらんにいれる。……さあ、いらっしゃい、いらっしゃいィ」
これで場内はいっぱいになる。正面へまわって見ると、鬼娘ですからものすごい……口は耳まで裂けていようとおもわれるほどの形相《ぎようそう》で、頭は毛をぼさぼさっとかぶって角《つの》が生えている。……この角というのが、五寸ぐらいの人参《にんじん》を泥のまんまくっつけてある。いま、木戸番の口上どおり、生き餌でなけりゃあ……というとおり、まわりには、鶏のひき裂いたのや、蛇のむしったのや、蛙だの、飛蝗だの、蝗だのが生きたままぴくぴく散らかっている。その中に鬼娘がぎょろっとした目つきで座っている。お客がまわりにつまるだけつまったのを見定めると、小屋の下働きが一人、裏口から出てって、乞食の赤ん坊を借りてくる。……これは、ちゃあんと話がついている。乞食の赤ん坊を鬼娘の前へ差し出すと、カァーッと大きく口を開《あ》けて、
「いま、こんなに食べたんだが……」
と、あたりに食い散らかしたものをぐるり見まわし、
「無理に食おうか、後にしようかあ……」
と、おもわせぶりに、ひとり言を言う。と、とり囲んでいたお客のなかから、
「食いたくなけりゃ、よしなよッ」
「かわいそうだからやめちまえッ」
「わーッ」
これがきっかけになって、
「そんなに言うなら、あとにしよう」
この赤ん坊をまた片づけて、
「えー、先さまはお替わり……」
「まあ、上がってくださいよ。おまえさんは諸国をめぐっている六十六部さん、おまえさんに、お願いがあるんだがね」
「へえへえ、えー、親方のお頼みというのは、仏間《ぶつま》の勤行《ごんぎよう》で……」
「お、おい、ちょっと待ってくださいよ。仏さまを拝んでもらおってんじゃねえんだ。あたしゃね、おまえさんも知ってのとおり、両国に小屋を持っている香具師《やし》なんだが、このごろじゃネタもつきた。人客《じんきやく》も利口になりやがって、やわ[#「やわ」に傍点]なもんじゃ引っかかってこないんだよ……客はこねえんだ。……そこであっしが目をつけたのは……おまえさん方、年がら年じゅう旅を渡っていなさるから、ずいぶんめずらしい話も聞いたろうし、また見もしたろうからね、それをあたしに話をしてもらえたら、とこうおもってね。おまえさんの話をもとにして本物を捜し出して、両国の見世物小屋へ出して、どかり[#「どかり」に傍点]とお客を取りてえんだがねえ。なんかありませんでしょうかねえ。……あったかいめし[#「めし」に傍点]は炊《た》けてるんだから、ごちそうしますよ、ねえ。おまえさんの好きなもの、なんでも言ってごらん。鰻でも、天ぷらでも、刺身でも……。で、また、行くところがなけりゃ幾日《いくか》何十日泊まってったって、けっしていやな顔しないよ、ええ。寝酒の一合ぐらいはごちそうしますよ……なんかありませんかねえ……」
「ありがとうございますが……そうでございますなあ、その……めずらしい……」
「だからさあ、どこそこで子供が生まれたが、男と女と背中合わせになって生まれたとかさ、両頭の蛇を見かけたとかね。……これがでっちもの[#「でっちもの」に傍点]なら、わたしたちはどんなものでもできる、両頭だろうが三頭でもね。でも、生きてなきゃいけねえんだよ、やっぱり……ねえ、なんかねえかなあ……鶏の足が八本あったとか家鴨《あひる》の首が逆にくっついてるなんてえのはねえかい?」
「さようでございますなあ……そのようなことはとんとおもいあたりませんが……」
「考えてみてくださいな。話に聞いたことはあるでしょう」
「いえ、いっこうにおぼえがございませんで……」
「おまえさんは正直だね。ようがすよ、おもいだせねえ、聞いたおぼえがねえ、と言うならしかたがねえ。じゃ、まあ、せっかく連れてきたんだ、めし食っておくんなさい。ねえ、あったけえめしは炊けちゃあいねえよ……お茶漬けだよ。けさきざんだ沢庵《たくあん》があるがね、あれで食っておくれ」
「ありがとうございます、せっかくのおぼしめしでございますので、……では、台所へまいりまして、勝手に頂戴をいたします」
「ああ、たくさん食べなよ。遠慮しないでね……ははは、世の中にはばか正直なやつもいるもんだねえ……そんなものは見たことがねえ、おもいあたらねえ、いっこうにおぼえがねえ……なあ、嘘でもいいから、『こういうことがありましたよ』って言ってくれりゃあ、こっちだって話の継《つ》ぎ穂《ほ》があるってえもんだ。知りません存じませんじゃあしょうがねえ、弱ったもんだ、ほんとうに……」
「えー、ごちそうさまでございました」
「お、……もう食べたのかい?」
「はい、十分に頂戴いたしてございます……ただいま、食事をいただきながら、いろいろと考えてみましたが……かように一飯でもごちそうにあずかりますと、なにかご恩報じをしていかなければ、申しわけないとおもいまして、いろいろとまあおもいだそうといたしました。そして……ひょっとおもいだしたのがございます。あたくしがおそろしい目にあいました。これを置《おき》土産《みやげ》にしていこうと存じますが、お聞きとりくださいますでしょうかなあ……」
「なんだい、おっそろしいおもいをしたって言うのかい……そりゃ、人間はいつなんどきおっそろしいおもいをするかわからねえ。……四つ角でもって、ひょいと曲がるとたんに人にぶつかったって『あッつ』とおもっておっかねえや、なあ、そうだろう? 山ン中、通りぬけて……首っつりにぶつかったって……おっかねえし。渡し場でもって舟がひっくり返ったっておっかねえや。そんなくだらねえこっちゃねえかい」
「いえ、あたくしのこれから申し上げようとおもいまする話は、あたくしが……じつは、一つ目に会ったことがございますので……」
「一つ目? なんだいその……一つ目ってえのは。あの、絵に描いてある一つ目、あれにおまえさん、会ったって? へえー、こいつはめずらしい話だね。どこで会いなすったい?」
「はい、巡錫《じゆんしやく》のみぎりでございますが、国ところははっきりとはおぼえておりません。……この江戸から方角は北にあたります。およそ百里あまりもまいりましたか……大きな原がございまして、そこへさしかかりましたときには、ひと足ごとにあたりが暗くなりますのに人家がございません。心細くなりましてなあ……こりゃ今夜は野宿をするんだなと、こうおもってその原をよぎってまいりますと、原のまん中にたった一本……大きな榎《えのき》がございました。その前を通り過ぎますと、どこで打ちましたか、鐘の音《ね》が、ゴォーン……と聞こえまして、なまあったかい風がさあーっと吹いてまいりました。うしろで『おじさん、おじさん』って子供の声がしました。いやあ、ありがたいなあ……いまのはたしかに子供の声。子供がいるからには人家もあろう。そこを頼って一夜の無心をしようと、ふり返って見ますと、いつ現われましたか榎のもとにおりましたのが……さよう、ようやく四つ五つになりますかなあ……女の子と見えまして頭に赤い布《きれ》をのせて、帯を胸高にしめまして……。顔を見ると、のべら[#「のべら」に傍点]でございます。額のところに目が一つ、この一つ目《まなこ》をカッと見ひらいて……あたくしのほうを手で……こうやって手招きをしていたときには……もう、いけませんでした。……ええ、水を浴びたようにぞっ[#「ぞっ」に傍点]といたしまして……あとをも向かずに逃げだしましたが、……まあ、あのくらい、おそろしいとおもったことはございません」
「……ちょいと待ってください、ちょいと待ってくださいよ。へーえ……忘れないうちに書きとめさせてもらいますからねえ。そんなことがあるのかねえ、世間は狭いっていうが、あっしにいわせると広すぎるね。……ええと、江戸から方角は北だね。百里あまり行って大きな原がある。ひと足ごとに暗くなるかね……まん中に大きな榎がたった一本、その前を通ると鐘がゴォーンだね。なまあったかい風が吹く。……『おじさん、おじさん』て子供の声がする。これが四つか五つになる一つ目で女の子だ、生きてるんだあ……ありがてえねえ、よーく教えておくんなすったねえ。……これを、おまえさん、生け捕って、あっしの小屋へ出してごらんなさい。江戸じゅうの人気は一人でかっつぁらっちまうよ。小屋はぶちこわれるほど客は来る。あっしはお大尽《だいじん》になっちまあ……いやどうも、ありがとうございます。ああ、どうもすいません。ええと、ところでさっそくだがね、あったけえめし[#「めし」に傍点]は炊けてたんだよ。なんかそ言ってくるから、もう一杯食わないかい」
「いやもう、そうはごちそうになれませんで……」
「なぜ、それをさきへ言ってくれねんだな、ほんとうに。冷やめし食わしちまって勘弁しておくんなさいよ……ところでね、いまあっしゃ懐中《ふところ》が苦しいんでお礼ができねえんですがね。またおまえさんが、ご修行の道すがら……江戸へ入《へえ》ってくるようなことがあったらば、貸したものを催促にくるつもりで、もういっぺん訪ねてくださいよ……それまでにあっしゃあ、たんまり儲けて、木綿ものでもおまえさんの寝道具はちゃんと新しくして待ってますぜ、ねえ。この家でもね、太神楽《だいかぐら》でも二階をおっ建ってね、けして不自由はかけませんよ。おまえさんの部屋はちゃんとこしらいておくから……ようがすか、もういっぺん訪ねてくださいよ……じゃ、まことにおかまいもしませんでしたが、お急ぎの様子ですから、じゃこれでごめんなすっておくんなさいまし……あの、どぶ板がはねてますからね、気をつけて……」
お世辞たらたらで送り出した。こりゃいいことを聞いたと……その日のうちに支度をして、夜を日に継いでやって来たのが、北をさして百里あまり、大きな原……。
「ここんとこだな……ここんとこに一つ目が…出るかねえ……こりゃ。一つ目の出るような原じゃねえぞ、こりゃあ。まんべんなくだだっぴれえだけのもんだい。こんなところに一つ目……出ないよ。あの六部のやつは、てめえが茶漬け食わされたんで、おれにも一杯食わしやがったんじゃあねえかねえ……こりゃ弱ったね。あいつとちがってこっちは、路銀《ろぎん》を使ってここまで来てんだからね。これで一つ目に会わなけりゃ、元も子もすっちまうってえやつだ……ばかな話。だが待てよ、原のまん中に榎がたった一本てやがったなあ……そこに木が立ってるんだよ、ねえ。ちょうど誂えどおり……あたりは暗くなってきやがったなあ。よーし、ものはためしだ、あの前まで行ってみよう」
足を速めてさっさっさっさっと行きすぎると、鐘がゴォーン……風が……さーッ……
「『おじさん、おじさん』って……どこかで声がしたよ……あっ……出たあ……へええ、いたよ。へえへへ、いつの間に現われやがったかねえ……ありがてえ、ありがてえ……こりゃありがてえや。坊や、坊や、おじちゃんね、いいものあげるからね……おいで、おいで……」
子供は無邪気だ、そばへちょこちょこって来たのを、
「よォッ、太夫さん、待ってましたっ」
と、小脇に抱《か》いこんだ。子供がびっくりして、「きゃッ」と声をあげたので、口を押さえたがもう遅い……竹法螺《たけぼら》がブゥゥゥゥ、早鐘がゴーン、ゴーン、ゴンゴンゴン、ブゥゥゥゥゥゥ……ふり返ってみると、見通しのつかないようなまっ平らな原、どこから出てくるのか、まるで地面から涌くようにぴょこぴょこ/\/\/\だんだんだんだん人数がふえて追ってくる。
「えれえことになっちゃった……こりゃ、子供も欲しいが命もおしい」
あきらめて子供をおっぽり出して逃げにかかると、馴れない道、なにかにつまずいて、どたっとのめったところを、
「この野郎、とんでもねえ野郎だ、おらんところの娘かどわかそうとしやがった……それっ、おっ縛《ちば》ってしめえ、代官所へしょっぴいていくんだ……こん野郎《にやろう》、歩《あゆ》べっ、歩《あゆ》ばねえか」
「これこれ、……大勢して打擲《ちようちやく》をいたして、打ち殺してしまっては調べがつかん。それへ引きすえろ」
「この野郎、下にいろ」
足を払うとたんに膝をついて、がくりっと首が上を向いた。縁ばなに煌々《こうこう》と灯《あか》りをつけて居並んでいる役人の顔をひょいと見ると、額のところに目が一つ……、
「あッ」
と、おどろいてあたりの様子をうかがうと、いままでは無我夢中、自分を追っかけてきて、打ったり縛ったりした百姓|体《てい》の者が、残らず額に一《ひと》つしか目がない。
「あっ、こりゃおどろいたねえ、一つ目はこんなにいなくたっていいんだよ、少しこりゃ……いすぎるね。待ってくれよ、こりゃことによったらおいら、一つ目の国へまぎれこんできたかな……こりゃえらいことになっちゃったなあ……食い殺されるね。命ばかりはお助けを願います。南無阿弥陀仏/\/\/\」
「これこれ、そのほうの生国はいずこだ?……生まれはどこだ? なに? 江戸だ?……江戸の者か。かどわかしの罪は重いぞ、面《おもて》を上げい……面を上げいっ」
「この野郎……面《つら》ァ上げろッ」
「あっ、御同役、御同役……ごらんなさい、こいつ不思議だねえ……目が二《ふた》つある」
「調べはあとまわしだ。さっそく見世物へ出せ」
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