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落語百選49

时间: 2019-09-15    进入日语论坛
核心提示:水屋の富江戸時代には、本所、深川あたりでは、ほんのわずかの掘り井戸しかなく、飲み水にはたいへん不自由していた。この時代に
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水屋の富

江戸時代には、本所、深川あたりでは、ほんのわずかの掘り井戸しかなく、飲み水にはたいへん不自由していた。この時代には、水屋という商売があって、多摩川上流の水を、船へ汲《く》みこんで運び、河岸へ着いた水を、この水屋が桶《おけ》へ担いで家々をまわって売り歩いていた。水をあつかう商売のこと、一年じゅう休みなく、朝から晩まで、天びんを肩に担いで、夏の炎天下、ぎしぎし、油汗を流して町内を売り歩くという、ずいぶんつらい稼業で……。
商売を休むには、だれかに代わりを頼む。その代わりの者が不実な者だと、自分の得意客をとってしまう。仲間に客をとられたくないから、少しぐらい身体が悪くても、無理しても出る。もう年はとってるし、もうそろそろ稼業をやめたいとおもっている。その水屋が、あるとき、富の札を一枚買った。
さて、その富の当日は、ぜひ休もうと、どこの町内はだれ、どこの町内はだれと、代わりの者をいれて、客をしくじらないように手配をして、買ったからには、むろん自分が当たる了見で、一所懸命に祈っている。
そのころ、ほうぼうに富があったが、湯島天神の千両富というのが、一番大きく……文政年間の千両というのは大金、当日、水屋が来てみると、境内は、みんな血まなこになって集まってきた連中が、おれが取る、われが取ると、気ちがいのように騒いでいる。
「おう、千両富も、いずれだれかが取るんだが、まあ、どの人に当たるだろうな?」
「ええ、わたくしに当たります」
「え? おまえさんに当たる? どうしてわかってるんだ?」
「へえ、わたしには、ちゃんとわかってるんで……神さまへ願《がん》をかけましたからね。『千両富が当たりますように』ってね。願をかけると、昨晩、枕もとへ神さまが出ましてね、『おまえに千両富、当ててやる』ってね、神さまがにやっと笑った。……ええ……もう当たることになってますから」
「べらぼうめえ。おめえたちに当たってたまるけえ、おれに当たるんだ」
「おいおい、喧嘩《けんか》しちゃあいけない」
「じゃあ、おまえさん、千両当たったら、その金をなにに使う?」
「そうさな。おれに当たりゃあ、あの角の空店《あきだな》を買いとって、質屋でもはじめるな。こうしておきゃあ、おれが質置くときに都合がいいや」
「おやおや、当たっても、まだ質を置きにいく気でいやがる。松つぁん、おめえはどうだね? 当たったらどうするね?」
「おれかい、おれは、その金をにぎって、日本じゅう見物して歩かあ」
「益《ます》さん、おまえは?」
「おらあ、当たったら、江戸じゅうの食いもの屋を一軒ずつ食って歩くね」
「食い意地の張ったやつだな。おい、そっちの人、おまえさんは?」
「あたしゃ、毎日一貫ずつちびちび使って、命が先になくなるか、金が先になくなるか、ためしてみる」
「ちぇっ、そんなけちけちしたことを言うなてんだな。おれなんざあ、金をうけとると、すぐその足で、吉原へくりこんで、大門をしめ切って、小判をまいて、紀国屋文左衛門の向こうを張ってみせらあ。みんな来て拾いねえ、おれもいっしょに拾うから」
「なんだ、だらしがねえ」
わいわい騒いでいるうちに、
「突きどめっ」
という声。口富《くちとみ》、五十両……中富《なかとみ》、二百両……ときてて、あとが突きどめ、千両ということになる。この声を聞くと、さしもの騒ぎも水を打ったようにしィーんとしてしまう。
富の札というのは、小さな札で、それを稚児が出て三尺七寸五分の長い錐《きり》で、箱のまん中にあけた三寸四方ぐらいの穴から、一枚の札を突き出してくる。箱が重いから二人がかりでごうごうと振って突きあげる一枚を、何番何番……と呼びあげる。
すると、当たったのが例の水屋で、当たるつもりで買ったとはいいながら、夢のようで、さっそく社務所へ行って、すぐに金をうけとると何割か引かれるが、とにかく千両足らずの金をもらいうけて、いそいそと家へ帰った。
もとより裏長屋、うちへ入って、どっかり千両の金を積んで、さあ、この金で、さしあたってどうしようという見当はつかない。しばらくは、それをじっとながめていたが、どうしてこの金を使おう、家でも建てようか、それもおかしかろう。ぶらぶら遊んでいるのもむだなはなしだ。やっぱりもとの水屋をやっていよう。けれども、金を背負って、水を担いでも歩けない。さあ、困った。家に置いておくにしろ、戸締まりはろくになし……神棚へのせておけば大丈夫、神さまが番をしてくれるから、金を包んだ風呂敷包みを神棚の上へのせてみたが、棚がやわだからとてものっからない。だいいち、つきあたりが神棚、表からがらり入ってきたやつに気づかれる。弱ったなあ。戸棚のなかへ入れておいて、泥棒が入ってきて……、
「なにもねえうちだが、着物の一枚や二枚ぐらいあるだろう」
と、戸棚をあけてひっかきまわしているうちに、どっしり重いものがある。風呂敷をあけてみると、金が出る。そのまま、背負っていかれては、たいへんだ。といって、急に、締まりをすると、
「いままで締まりがなかったのが、錠がおりてるぜ」
と、ふてえ了見のやつは気がつく。おれが富に当たったということもいずれ知れるから、かえってうちに金のあるのをみすかされるようなものだ。女房子はむだなもんだとおもって、ひとり身でいたが、こうなってみると、女房がないのは不自由だなあ。いっそ水屋をよして、どこへも出かけず、この金をぼちぼち使っていようか。いやいや、よしちまってから、泥棒に金でもとられて、得意客はなし、商売なしになってしまったら、あぶはちとらずだ。ああ、金持ちというものは心配なものだ。と……うちのなかをうろうろしていたが、やっと考えついたのが……、六畳の畳を上げ、根太《ねだ》板をはがして、縁《えん》の下に、横に丸太が一本通っていて、そこへ二重に包んだ金包みを結《いわ》いつけてぶらさげて、また上へ根太板を打ちつけて、畳をもと通りにして、表へ出て、いったん戸を締めて、自分で、
「ええ、ごめんください。お留守ですか?」
ああ、見えない、これなら大丈夫……これで安心して稼業に行ける。そのうちに女房をもらい、金の使い道でも考えよう。まあ、それまでは、知らん顔して水屋をしていよう。
翌日、早く起きて、すぐ縁の下をのぞいて見たが、まっ暗でわからない。そこで物干し竿を持ってきて、縁の下をかきまわしてみると、コツンとあたった。
「ああ、あるある、これなら大丈夫」
と、竿をかたづけ、ご飯を食べ、草鞋《わらじ》を履き、水桶を担いで、
「ええ、隣のおかみさん、行ってきます。どうかお頼み申します」
と、表へ出たが、また金が気になってきた。
「ああ、向こうからきた男は目つきがよくない……おや、すれちがっていったが、様子がおかしい、ひょっとするとおれのうちへ行ってなかへ入《へえ》りゃあしねえか。あぶねえ、あぶねえ」
と、家へひき返す。
「ああ、長屋の路地へ入ったな。これだから油断ができねえ。おれが富に当たって、金をうけとったのをたしかに見ていたやつにちがいない……おやっ、筋向こうのうちへ入った。はてな? あそこのうちで心やすい人かな?……ああ、出た、出た。これから、おれのうちへ入るかしら? まさか縁の下には気がつくまい……ああ、出てきた、出てきた、おれんちは素通りだ、ああ、安心だ」
こんな調子だから、水屋の商売に出ていても、心配で、大急ぎで帰ってきて、物干し竿を持ってきて、うちの縁の下をかきまわす。竿の先へ、コツン、コツンと手ごたえがあると、胸をなでおろして、竿をかたづけて、めしを食って寝てしまう。また朝起きると、物干し竿を縁の下へ突っこんで、つっついてみて、
「ああ、あった、あった」
とひと安心して、それから商売に出かける。
毎日毎日やっていると、ちょうどその向かいに住んでいる、これもひとり者で、なにをするという稼業もない遊び人が、
「どうもこのごろ、向かいの水屋のそぶりがおかしい。出ていくときも、帰ってからも、物干し竿を縁の下へ差しこんでは、なにかガチャガチャやっちゃあ、にこにこしているが、なにかあるんだろう。それに、このごろやつの様子がちがっている。なにか縁の下に入ってるにちがいない」
と、水屋が、桶を担いで出て行ったあと……長屋の様子を見ると、出商売の者ばかりで、だれも見ていないのをさいわい、裏口をあけて物干し竿を持ってきて、縁の下へ突っこんでかきまわしてみると、コツン、コツンと、竿の先へあたるものがある。はてな、なんだろう? と、竿の先のあたったあたりを見当つけて上へあがり、畳をあげ、根太《ねだ》板をはがして、のぞいてみると、風呂敷包みがぶらさがっている。とりだしてみると、ずっしり重い。
「こいつは、しめた」
と、そっくり盗んで行方《ゆくえ》をくらましてしまった。
夕方になると、水屋が帰ってきた。
「お隣のおかみさん、ありがとうございました……留守にはだれも来ませんでしたか? ああ、そうですか?」
いつものように物干し竿を持って、いつものようにガチャガチャかきまわしたが、
「おや、ないぞ」
上へ上がって、畳をあげてみると、根太板のはがした跡があって、金の包みは、かげもかたちもない。
「おや、金は盗まれたな……ああ、これで苦労がなくなった」
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