日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

落語百選52

时间: 2019-09-15    进入日语论坛
核心提示:麻のれん「どうも、ひどい降りでござんしたな」「そうだね、まあ、夏の雨は降るがいいや。でも雷がよく鳴ったね」「さいでござい
(单词翻译:双击或拖选)
 
麻のれん

「どうも、ひどい降りでござんしたな」
「そうだね、まあ、夏の雨は降るがいいや。でも雷がよく鳴ったね」
「さいでございます。雷ってえやつが、あたしは見えませんもんで、もうなによりも怖《こわ》ござんす」
「いやあ、雷の怖くないものはいないよ。杢一《もくいち》っつぁん、おかげでとても楽んなったよ、うーん、やっぱりおまえさんでないと按摩《あんま》はだめだね、おまえさん、急所を知ってんだね」
「そりゃどうも、へへ、旦那にそう言われるてえと、わたしは、いちばんうれしゅうございます」
「杢一っつぁん、今夜はもうおそいよ、うちへ泊まっておいきよ」
「ええ、いや、そんなにご厄介になっちゃあ……」
「泊まってもらったって、なんのおかまいもできないが、おまえさん一人ぐらい寝る部屋はある。それともなにかい、だれか待っている人でもあるのかい?」
「いいえ。そんなものはいやあしません、ええ。待ってるのは、天井裏の鼠ぐらいのもんで……」
「それならいいじゃないか。え、泊まっておいき」
「ええ」
「おいおい、……おきよ。今夜、杢一っつぁんが泊まる。ああ、離れの八畳をね、あそこへ布団を敷いてあげとくれ。ああ、布団はね、なるたけやわらかいのを敷いておあげ。それからね、枕もとへ、土瓶《どびん》に番茶のさましたのをいれておいとくれ、あ、それから麻の蚊帳《かや》があったろう。あれを吊《つ》んなさい、いいかい。うん……いま、支度ができるから、杢一っつぁん、目が不自由だと、困ることも多いだろう?」
「いいえ、困りませんとも。あたしに言わせれば、目あきの方のほうが気の毒だとおもいますねえ」
「ほう、どういうわけで?」
「どういうわけったって、旦那、目があいてりゃあ、なんか見えましょ。見えりゃあ欲しくなってくるでしょ。どんなもの見ても欲しいから、買いたくなります。買えればようがすよ、買えないとなると、自分のおもったことが通らねえで、情けないじゃありませんか。目が見えなきゃあ、欲しいものがなにも見えませんからね。ですから、これがいちばんいいんですよ。あははは、目あきは気の毒だ」
「なるほどなあ」
「それにね、旦那の前でございますがね、どうも目あきくらい、そそっかしいものはありませんな」
「そうかい」
「そうですとも、うちのなかで柱にぶつかり、往来で人にぶつかったりするのは、みんな目あきですよ、盲人《めくら》のほうはめったにないですからな」
「なるほど、そう言やあ、目あきは油断があるからなあ」
「あたしなんぞ、療治の帰りにね、よく暗闇で突きあたられるが、みんな目あきですよ。どうも目あきに突きあたられてしょうがないんで、こないだ、目あきよけの提灯《ちようちん》を持って歩きました」
「ほほう、按摩さんが提灯を持って? そんならみんなよけてくだろう」
「ところがそれがまた、おかしい……そそっかしいのがドーンと突きあたりましたから、あたしゃ言ってやったんですよ。『なんだって突きあたるんだっ』すると『しょうがねえ、お互いさまだ』ってえから『なにがお互いだいっ、あたしゃ、目が見えないんだ』『ああ按摩さんか、そりゃ気の毒だったなあ』『気の毒じゃあねえや、こっちはね、おまえさんみたいな、そそっかしい目あきに突きあたられんのがいやだから、こうやって提灯持ってるんだ、この提灯が目にはいんねえか』って言ったら、『按摩さん、灯《あか》りが消えてるよ』って……えへへっへ……」
「なんだ、消えてちゃあ、なんにもならないじゃないか」
「へっへっへ、やっぱり盲人《めくら》はだめですね、あっははは、どうもね」
「ああ、そうか、うん……うん。じゃあ、杢一っつあん、支度ができたそうだ。……あー、手を引いて連れてってもらいな」
「いいえ、手なんぞ引かなくても結構、いりませんよ」
「いや、それがいけないんだよ。おきよ、手を引いてっておあげ」
「いいえ、いいえ、結構、わかります、わかります。……いえ、わたしは、この家はもうなんどもうかがってますから、よくわかっておりますから。結構、結構……こう廊下へ出て、お隣がお嬢さんのお部屋……こっちに厠所《はばかり》があって……ここが階段……ここがずーっと縁側になっていて、こっち、こっちがお庭で……ね、わかっておりますから……おやすみなさい……と、ねえ、おきよさんに手を引いてもらえば、ありがたいけど、ね。杢一っつぁんが泊まると手数がかかる、なんて嫌《きら》われちゃあつまらねえ……いいんですよ……おっと、このつきあたりが離れ、さあーと、これが蚊帳……えっ? なんだいこりゃ、蚊帳が吊ってあるのに、布団が敷いてねえじゃあねえか。いったい、どこへ寝るんだい? 枕もとだってなんにもありゃあしねえ。……なんだい、こりゃ、また、ずいぶんせまい蚊帳だね、こうやって両方へ手がとどくよ。どうでもいいけど、蚊が入ってきたよ。しょうがねえ、どうも、あっ、また入ってきた、畜生めっ、う、うーん、うわッ、えらい蚊だ。う、うーん……」
一晩じゅう、ピシャピシャ蚊にくわれながら夜が明けた。
「え、お早うございます」
「あ、お早う、早いね」
「え、お早うございます」
「あたしも朝早いほうだけどもね、おまえさんも早いな。なにかい、床が変わったんで寝られなかったのかい?」
「いえ、寝られないってわけじゃないんですけどもね……。ちょっと旦那にうかがいますけどね、あのゥ、お宅の蚊帳は天井がないんですか」
「天井のない蚊帳ってのはありませんよ」
「そうですか。いやもうひどい蚊でござんしてね、へえ、こんなにくわれました」
「おやっ、なんだい、頭が金平糖《こんぺえとう》みたくなっちゃった、しょうがないなあ、きよ[#「きよ」に傍点]は?」
「ええ、そいで布団もなにも敷いてないんですよ」
「しょうがないな、奉公人てえものは……おきよ、おまえかい、離れの八畳の蚊帳を吊ったのは? えー、見てごらん、気の毒に……杢一っつぁんの頭が、こんな、金平糖みたいになっちゃったじゃないか。ほんとうに、しょうがない、蚊帳というものは、吊ったからいいってえもんじゃない。よく、ほうぼうに気をつけて……あのね、この人は、目が不自由なんだから……おいっ、なにがおかしいんだ。笑う人がありますか」
「ほほほ……だって、旦那、今朝早く、見に行ったら、杢一っつぁんは、麻のれんと蚊帳のあいだに寝ているんですよ」
「うぷっ……おい、杢一っつぁん、おまえさんは、ゆうべ、麻のれんと蚊帳のあいだにいたんだって、もうひとつまくらなきゃ、蚊帳の中入れないよ」
「さようでございますか、どうりでひどい蚊だとおもいました。いやあ、あっははは、これはめんぼくない」
と、帰って……それからまた後日、旦那の療治にやってきて、夜おそくなった。
「杢一っつぁん、泊まっといで」
「いやあ、泊まれっと言われると、そこいらが、かゆくなってきます、旦那、よします」
「そりゃ、こないだはおまえさんが悪いんだよ。だから、手を引いて連れてってもらいなって言っただろう? そうすりゃあ、あんな目にあわずにすんだんだから、おまえさんは少し強情だから……今夜はそういうことのないように」
「いや、おいとまをします」
と言っているうちに、雷がゴロゴロはじめて、ザーッという雨……。
「ほら、帰れやあしないっ、雷が鳴り出したよ、泊まっていきなさい」
「へえ……あたくしは、この雷が大嫌いで、じゃあ旦那、やすましていただきます」
「そうしなさい、そうしなさい……ああ、支度はできてる? そうか……支度はできてるそうだ。こないだのところだ。手を引いてってもらいなさい」
「いや、もう大丈夫でございます」
「またはじまった、それがいけないんだよ、おまえさんは」
「いや、いや、大丈夫ですよ、……ええ、こんどはまちがいっこありません、ええ大丈夫、旦那、おやすみなさい。……ええーお隣がお嬢さんの部屋、こちらが厠所《はばかり》……ここが階段……ここが、ずーっと縁側で、こっちがお庭……」
女中が、離れの入口の麻のれんを、按摩さんが蚊帳とまちがえないようにと、その晩は気をきかしてはずしておいた。
「おっと、このつきあたりが離れ、さあー、これが、麻のれん、……これじゃあ蚊帳とだれだってまちがえるよ、……これが、麻のれんで、(と、まくり)、これが蚊帳だ」
こんどは、蚊帳の向こうがわに出た。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%