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落語特選04

时间: 2019-09-22    进入日语论坛
核心提示:浮世根問《うきよねどい》「ご隠居、いるかい?」「だれだ?あァ、八《はつ》つァんか」「どうもご無沙汰いたしました」「いや、
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浮世根問《うきよねどい》

「ご隠居、いるかい?」
「だれだ?……あァ、八《はつ》つァんか」
「どうもご無沙汰いたしました」
「いや、久しく見えんであったな、相変わらず、壮健でなによりだ」
「今日《こんにち》は結構なお天気で……」
「今日《こんにち》は結構なお天気って、おまえさんは天文を心得て、そう言うのか?」
「えー、そうじゃありませんが、今日《きよう》は結構な天気で……」
「この天気を今日《きよう》じゅう結構な天気と言うのか?」
「いえいえ、そう先のことまでは……」
「それなら、今日は結構な天気と言わず、今のところでは、ただ今は結構な天気と言い直すべきだな。今日というと一日のことを指して言うのだから、今はよい天気であるが、夕方にどうなるかわからない。わからぬことは言わぬがよい」
「えへっ、言わぬが仏[#「言わぬが仏」に傍点]てんでしょ」
「ほとけじゃあない、言わぬが花だ。いいか……おまえさんにも弱ったもんだな。物の文色《あいろ》がわからぬにもほどがある。まあ、少うし話し相手になってやるからそこに坐んなよ」
「あの、表通りの伊勢屋ですけどもね」
「なんだ、唐突に?」
「今晩、婚礼があります」
「ああそんな話だなあ」
「で、みんな嫁入《よめい》り、嫁入りって騒いでやンだァが、あれはおかしいと思うんだがなあ」
「なぜ?」
「だって女が来るんだから、女入りとか娘入りとか言ったらいいじゃねえか。なんだって、よめいり[#「よめいり」に傍点]ってんです?」
「よめいり[#「よめいり」に傍点]でいいじゃあないか。考えてごらん、男のほうに目が二つあって、女のほうに目が二つある。両方合せると、これ、四目《よめ》入りになる」
「なんだ、目で勘定する」
「ああ、まちがいのないように目の子勘定」
「目の子勘定?……でも、そううまくいかねえのもあるだろう。片っ方は丹下左膳だの森の石松だったら、三目入り[#「三目入り」に傍点]かなんか言わなきゃあならねえ。片っ方が按摩《あんま》さんなら二た目入り[#「二た目入り」に傍点]だあ。両方で按摩さんだとなきねいり[#「なきねいり」に傍点](泣き寝入り)……」
「なきねいりなんてのがあるか」
「十六目入りなんてのがあらァ」
「なんだ?」
「八目鰻《やつめうなぎ》が婚礼すれば……」
「そんなもん婚礼するもんか」
「だぼ鯊《はぜ》かなんか仲人《なこうど》で……」
「ばかなことを言うんじゃない。これはまァ嫁入りに限られたもんだな」
「で、行った日から店の者が奥さんてえますが、あれはどういうわけです?」
「奥さんだろう……? 女の大役は子供を生むことだ。店の入口《はな》やなんかでお産をするか……奥のほうでお産をするから、おくさん[#「おくさん」に傍点]」
「ふッふッふ、つまらねえことを聞いちゃったな。奥でお産をしておくさん[#「おくさん」に傍点]かァ……じゃあ、二階でお産すりゃァにかいさん[#「にかいさん」に傍点]だな。ビルジングの五階でお産をするとごかいさん[#「ごかいさん」に傍点]。厠所《はばかり》でお産をすれば、こうや(厠)さん……ごかいさん[#「ごかいさん」に傍点](御開山)でこうやさん[#「こうやさん」に傍点](高野山)で弘法大師……」
「うるさいな、おまえ……」
「あっしンところは、奥さんなんて言わない」
「そりゃそうだろう」
「かかァってんだけど、あれはどういうわけで……」
「これはいちばん理屈に合う。女は家《いえ》から出て家《いえ》へおさまる。つまり、家々《いえいえ》と書いてかか[#「かか」に傍点]だ」
「ああ、ありゃかか[#「かか」に傍点]か……家から家へおさまるって……おさまらねえ女だっているだろう。行って帰って、また行ってまた帰って来るなんてのもあるだろう。そういうのはかかかか[#「かかかか」に傍点]ァかい……」
「烏《からす》だ、それじゃあ。これはみんなおさまるべきものだ」
「あの留公ンとこなんざあ、あっしンとこみてえにやさしくかかァなんて呼ばないよ。……かかァーなんて伸ばすんだがねえ。あれはどういうわけだろう」
「そりゃおまえ、長くいてもらおうと思うからひっぱっておく……」
「そろそろ出てってもらいてえときは、かッ[#「かッ」に傍点]、とこう短く切る……か」
「痰がのどにからんだようで、どうにも汚ないな」
「えへェー、で、婚礼の席へ行くといろんなものが飾ってありますねえ」
「そりゃいろいろあるだろうなあ」
「お爺さんだとかお婆さんとかが、箒《ほうき》を持ったり熊手《くまで》を持ったりした人形がありますよ」
「ああ、あれは蓬莱《ほうらい》の島台《しまだい》。蔚《じよう》に姥《うば》。『おまえ百までわしゃ九十九まで、ともに白髪《しらが》のはえるまで』なんてえ都々逸《どどいつ》があるが、夫婦仲よく共白髪まで添い遂げるというので、あれを飾るなあ」
「ああそうですかねえ、おまえ百までわしゃ九十九までか……じゃあ箒と熊手ェ持って洒落てるわけだ」
「なにが……」
「おまえ掃く[#「掃く」に傍点]までわしゃ始終熊手[#「始終熊手」に傍点]……」
「いやァ、そんな洒落じゃあないな」
「それからほら、松だとか竹だとか梅だとか、あんなものが飾ってありますねえ」
「ああ、それは松竹梅《しようちくばい》と言いなさい」
「しょうちくべえ? なんだってあんなものを飾るんです?」
「梅は女の気持ちを表わしたもんだな。梅の実というものはたくさんになる。それに煮ても焼いても酸《す》いという味が変わらない。夫を好(酸)いて心変わりがございません。『皺《しわ》のよるまであの梅の実は、味も変わらず酸《す》いのまま』という都々逸がある」
「あ、なるほど……じゃ、梅干婆ァなんてえのはこいつから始まった」
「うまいことを言うなあ」
「じゃあ、竹は?」
「あれは男の気性だな。『竹ならば割って見せたいわたしの心、先へ届かぬふし(節)合わせ』という都々逸があるがな、男の気性は竹のように真《ま》っ直《つぐ》なものだ。割ってみると腹ン中はさっぱりしている。しかし締まるところはこのとおり節があって、締まっておりますてえとこだなあ」
「へェえ、だけどそんな了見の真《ま》っ直《つぐ》なやつばかりいねえだろう。なかにゃあこの、了見のひねくれたやつもいるだろうから、そういうのはなんだなあ、同じ竹でも寒竹《かんちく》のほうかな」
「そんなこともあるまい」
「松は……?」
「『松の双葉《ふたば》はあやかりものよ、枯れて落ちても夫婦《みようと》連れ』という都々逸があってな」
「よく都々逸が出てくンなあ。これはみんな都々逸から割り出すのかい」
「なんだ、割り出すてえのは……松の双葉というものは枯れて落ちても離れんものだな。夫婦もそのとおり、枯れて落ちるわけはないが、乞食をしようが貧乏をしようが、けして離れんてえとこだ、情愛にあふれておるなあ」
「あっはっは、あっしの見たのは、五葉《ごよう》の松だからなあ、枯れて落ちても五人連れかなあ。夫婦の間に両親がいて、子供がいて、五人で乞食をしたら、ずいぶん賑やかだ。やかましさにあふれておる、とくらあ」
「おお、冗談言っちゃいけない」
「しかし、こうやってあれこれ伺って見ると、ご隠居とあっしら無学文盲《むがくもんもう》とは、すべて雲でん万《ばん》でんのちげえだあ」
「なんだい……?」
「雲でん万でんの違い……」
「なんだい……雲でん万でんてえのは?」
「雲でんてえのは……」
「なんだい?」
「蕎麦の太いのでしょう」
「そりゃあ、饂飩《うどん》だ……万でんと言うのはなんだい?」
「着物の上へ着る……」
「そりゃ、半纏《はんてん》だ」
「それでも、雲でん万でんとよく人がもののちがっていることに言うじゃありませんか……雲でん万でん……ってえ」
「そりゃ、雲泥万里《うんでいばんり》……雲《うん》は雲《くも》、泥《でい》はどろ。天と地ほどちがう、雲泥万里の相違だな」
「へえー、ご隠居はなんでも知ってますね」
「おまえさんが、ものを知らなすぎるんだ。わからないことがあったら、なんでもお聞き……」
「じゃあ、あのめでてえって、鶴だとか亀だとか飾ってありますけど、どういうわけです?」
「鶴は千年、亀は万年の齢《よわい》を保つ、長生きするめでたい生き物だ」
「あの鶴なんてのは、千年も生きますか?」
「生きるそうだな」
「亀は万年も生きるんですかねえ」
「そういうことだなあ」
「万年生きたのを見たことありますか?」
「いや、別に見たことはないが、昔からそういう譬《たとえ》だ」
「隣りの金坊がこのあいだ縁日で亀の子を買って来たが、その晩に死んじまいましたよ」
「じゃ、それがちょうど万年目に当たった」
「そんなばかなことがあるもんかい……でも、なんだってあんなものを飾ンのかね?」
「鶴は夫婦仲がよい。子供をかわいがる。それに亀。これはまた辛抱強い、我慢強い生き物だな。よく子供が玩具《おもちや》にしてぶらさげるだろう。足を引っぱれば足を縮める、頭を突っつきゃ頭を縮める。ま、女も嫁に行ったら亀のように辛抱強く、けして口を先ィ出すんじゃない。頭を低くしておとなしくしてなくちゃいけない。髪に飾る鼈甲《べつこう》の櫛《くし》は、玳瑁《たいまい》という亀の甲羅《こうら》でもって拵《こしら》いたもんだ。それを頭に載《の》せて、このとおり亀にあやかりますてえとこだな」
「へえーっ、じゃあ家《うち》の婆あなんざ、亀にあやからねえや。酒ばかり飲んで赤い顔してごろごろ寝てばかりいやがンだからなあ。正覚坊《しようがくぼう》かなんかにあやかりやがったかなあ。……留公ンとこのかみさんなんざ、喧嘩ァして『なにィ言ってやんでえ』って、向う脛《ずね》食いついたら最後、放しっこねえからね、あいつァ同じ亀でも鼈《すつぽん》のほうだ」
「いろんなことを言うな」
「で、鶴亀も千年万年経ちゃあやっぱり死んじゃうんでしょう?」
「そりゃおまえ、生《せい》あるものは死ななくちゃあなるまい。それが世の理《ことわり》だ」
「畜生の分際《ぶんぜえ》で律儀なもんだ、ひとこと断《ことわ》っておっ死《ち》ぬなんざあ」
「まぜっかえすな。だがな、ああいうものは死ぬとは言わない」
「なんて言うんです?」
「魚類があがる[#「あがる」に傍点]、鳥類が落ちる[#「落ちる」に傍点]と言うなあ。人間もそれぞれ身分によって違うもの。……釈迦《しやか》の死を涅槃《ねはん》、偉い坊さんが死ぬと遷化《せんげ》、高貴なかたがお亡くなりになるとご崩御《ほうぎよ》ご他界、その下へきてご逝去《せいきよ》、ご死去《しきよ》なぞと言う……」
「いやァ、あっしが死んだら……?」
「おまえならば、ごねた[#「ごねた」に傍点]、くたばった[#「くたばった」に傍点]のくちだ」
「ごねた[#「ごねた」に傍点]、くたばった[#「くたばった」に傍点]?……酷《しで》えことを言やァんなあ。まあ、そうだろうなあ。煙草屋が死ぬと、お煙《けむ》ンなっちゃったなんてえかなあ。氷屋さんがお融《と》けンなっちゃったなんて……自動車屋が行き着いたなんて……郵便屋がとうとう届いちゃったなんて……材木屋が折ッぴしょれたなんて……木挽《こびき》屋がいま息ひききったなんて……安来節《やすぎぶし》の女があァらいっちゃったァ〜い」
「うるさいなどうも、おまえは」
「鶴亀も千年万年経って、あがったり落ちたり[#「あがったり落ちたり」に傍点]したら、どうなりますかねえ」
「おまえは鶴亀の死んだ先をしつこく聞くが、なにかい、鶴亀にお身寄りでもおあンなさるか」
「いえ、別に心やすくつきあってるわけじゃあねえンですが……。いま暇なもんですから聞いてますがね、死んだらどうなりますかねえ」
「それは八つァん、おまえさんの前だが、まあわるいことをするんでもなけりゃあ、極楽へでも行くとするか」
「そうですか。そいつはありがてえ……でもいったい極楽ってえのはどこにあるんです?」
「十万億土にある」
「十万億土ってえますと……?」
「西方弥陀《さいほうみだ》の浄土《じようど》だ」
「せえほうみだらのちょうどってえますと?」
「これ、罰《ばち》があたるぞ。西方というから、つまり西の方だなあ」
「小田原から箱根のあたり……?」
「とんでもない、ずっと西だ」
「ずっと西てえと……どのあたり……?」
「まあ、あるから心配するな」
「だから、どこにあるか聞いてるン」
「ちゃんとあるよ」
「だから、どこかってェ……」
「いやなやつだな、どうも……おまえみたいに突きあたりまでものを聞きたがるやつは、とても極楽なんぞ行けない。ひとの言うことを素直にきけないやつは、地獄のほうだな」
「へえ、地獄ねえ……その地獄ってのァ、どこにあるんです?」
「ちゃんとある」
「どこに?」
「それはおまえ、つまりその……極楽の隣りにある」
「極楽は?……」
「地獄の隣りさ」
「地獄は?……」
「うるさいな、おまえは……根掘り葉掘り聞こうてえのはよくないよ。少しは相手の身にもなれ」
「あは、まいったか」
「まいりゃあしない……よしよし、そこまでおまえが言うんなら、じゃあ極楽を見せてやるから、こっちへ来なさい」
「へえー、見られますか?」
「ああ、さあさあ、ずっと奥へ来なさい……ここが極楽だ」
「これ?……お仏壇じゃァありませんか」
「その仏壇がこれが極楽だ」
「へえ、極楽ってえと、これは仏さまが大勢いるってえますが……」
「ああ、ご位牌《いはい》がある。これが仏さまだ」
「ああそうですかァ。この位牌が仏さまですかねえ……で、音楽が聞こえて、紫の雲がたなびいて、蓮《はす》の花が咲いて、きれいなとこだってえますがねえ」
「ごらんよ、拵《こしら》えもんだがちゃんと蓮の花がこれであがっている。それに紫の雲、これは香を焚《た》けば、それが雲の代りになる。音楽、これはまた鉦《かね》もある、木魚もある、いろいろのものがこれが音楽となる」
「はァ、そうすかねえ……するとなんですか、みんな死ぬとここへ来る……」
「ああ、みんな死ねば、ここへ来て仏ンなれる」
「ああ、そうすかねえ、鶴亀も死んだらやっぱりここへ来て仏ンなりますか?」
「いや、ああいうものは畜生だから仏にはなれない」
「なンになります?」
「鶴亀はごらん、このとおり蝋燭《ろうそく》立てンなっている」
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