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落語特選13

时间: 2019-09-22    进入日语论坛
核心提示:疝気《せんき》の虫「おや、なんだ、この虫は? 見たことのない虫だなあ。気味がわるいなあ。つぶしちまおうか?え? なんだ、
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疝気《せんき》の虫

「おや、なんだ、この虫は? 見たことのない虫だなあ。気味がわるいなあ。つぶしちまおうか?……え? なんだ、助けてくれ? いったい、おまえ、なんの虫だ?」
「えっへへへ、あたくしは、疝気の虫でございます」
「疝気の虫? へーえ、おまえがかい?……ふーん、こりゃあ驚いた。はじめて見たよ。わたしは医者だが、おまえはどうして男の腹の中にいて、人に痛い思いをさせるんだ。じつにどうも困るな、おまえというものには……」
「いいえ、別に痛い思いをさせてるわけじゃないんです。へえ、あたくしは人間に害なんぞしたくないんですけど。ただ、わたしたちは、蕎麦《そば》が大好物ですから、人間が蕎麦を食べますと、それをお腹ン中でいただくんでございます」
「それでどうするんだい?」
「へえ、なにしろ好きな蕎麦をいただいたんでございますからな、すっかり元気が出まして、お腹ン中で運動をはじめます。それで、つい筋《すじ》やなんかを引っぱって遊んだりするもんですから……人間が痛がって、苦しむんでございます」
「そんなわるい悪戯《いたずら》をするなよ。よせよ、筋なんか引っぱるのは……そんなにおまえ、蕎麦が好きか?」
「ええ、大好物で……」
「じゃあ、嫌いなものはなんだい? いちばん嫌いなものは?」
「弱りましたな。それは秘密になっておりますが……」
「秘密? 言えないのかい? どうしても……」
「へえ」
「言えないとなると、よけいに聞きたくなるな。よォし、言わないと、おまえを捻《ひね》りつぶすよ」
「そりゃあ困ります」
「困るんなら、ありてえに白状しな」
「へえ、じつは嫌いなものは唐辛子《とンがらし》なんでございます。唐辛子が体にちょっとでもつきますと、そこから腐っちゃうんで、唐辛子ほど怖いものはありませんよ」
「ははあ、それで、蕎麦を食べるときに薬味を入れるのかな? それでだねえ、もし唐辛子と蕎麦といっしょに入ってきたときはどうする?」
「え? そのときはもう怖いから、別荘のほうへ、すっと、みな逃げるんですよ。そこにいれば、なにが来ても驚かないですからな」
「……なんだ、別荘てえなあ?」
「えェ、男の睾丸《きんたま》の袋……その中へ入っちまいます。ここをあたしたちァ別荘と言いましてな。なんか怖いなっと思うと、別荘へすゥと逃げるんです。あそこは安心ですから……」
「ははあ、わかった。それで疝気の病人はあそこがあんなにふくれてるんだな。うん、そりゃ無理もないな……そいでどうするんだ?」
「そいで様子を見てんです。蕎麦と唐辛子じゃあ、唐辛子が早くなくなっちゃいますから、唐辛子がなくなったって時分にゃァ、別荘から出て、蕎麦を食べに行って、あとで、こう運動しながら筋を引っぱる」
「悪いことをするものだ。え? おまえはその人間の体の中に入れば、そこが家《うち》みたいなもんだ。その家主《いえぬし》を苦しめるとは言語道断。これからは、そんな悪戯をするんじゃあないぞっ……おぅい、疝気の虫のやつ、どっかへ行っちまいやがった。なんだな、これからこんこんと説教してしぼりあげてやろうと思ったのに……。おーい、疝気の虫ィ……」
「もし先生、先生」
「ウーン……、ああ、ああ、何だ」
「たいそう、うなされておいでで……」
「なに、すると今のは夢か。あんまり疝気の病人のことを気にかけたせいかもしれんな」
「先生、ご病家からのお使いで、また疝気のご病人が……」
「なんとも奇妙な符合だわい……うむ、薬籠《やくろう》を持ってまいれ」
「今日は」
「まあ、先生、お忙しいところをおいでくださいまして、ありがとう存じます」
「どうかな、ご主人のぐあいは?」
「それが、なんだか、さっきからたいそう苦しんでおりまして……」
「なにかわるいもんでも食べさせやしないか?」
「いいえ、別にわるいものなんか……さっきお昼にお蕎麦を少し食べました。そうしたら、急に苦しみ出しまして……」
「なに、蕎麦を食べて苦しみ出した? こりゃあ虫のやつ筋を引っぱってるな」
「なんのことです、先生。さあ奥へどうぞ……」
「ご主人、いかがですな、ぐあいは?」
「ああ、先生、どうにも痛くて……なんだかこう、きゅゥと引っぱられるような……」
「やってるんだ、あいつが。こりゃいけない、今日は治療の方法を変えましょう。……では、奥さん、蕎麦をな、そう、もり[#「もり」に傍点]を五つばかり、そう言ってください」
「だって、先生、お蕎麦はいけないんでございましょ?」
「いや、ちょっと都合があるんでな……それから、奥さん、唐辛子水をどんぶりに一杯|拵《こしら》えといてください」
「はあ、では、早速そのように……」
「で、蕎麦が来たら、それをご主人にあげてはいけませんよ。奥さん、あなたが召し上がってくださいよ。よござんすか。ご主人の口ンところへ持ってっちゃア、奥さんの口ン中へ蕎麦を入れてください。すると、その匂いがお腹ン中へすゥッといきますからな、するてえと、別荘のほうにいる疝気の虫が出て来ます」
「なんでございます。別荘というのは?」
「別荘ってのは、奥さんに関係のないこと……それで、食べようと思うと、その蕎麦がない、匂いばかりするから、疝気の虫は匂いをかぎながら、だんだん上のほうへ出てくる、えっ? 口のほうへ出てきたなっ、と思ったとたんに唐辛子水の中へ放り込んじまえば、もう根断《ねだ》やしになります」
「あァそうなんですか……あっ、お蕎麦が来た? じゃあ、こっちへ持ってきて……先生、よろしいんですか、なんだかよくわけがわかりませんが、とにかくあたしがお蕎麦を食べればよろしいんですね」
「ああ、さ、召し上がってください」
「では……あなた、こっちへ寄って……匂いだけ嗅ぐんですよ」
奥さんが、ご主人のまえで、うまそうに音を立てて蕎麦を食べると、ご主人は鼻を寄せて、さかんにその匂いを嗅ぐ……これを繰り返しているうちに、ご主人の別荘にいる疝気の虫とこまで蕎麦の匂いが漂《ただよ》ってきた……。
「おや、いい匂いがするよ、え? また蕎麦ですよ。今日は蕎麦日和だよ。出かけよう……いつものところですよ。さっきの腹ごなしにちょいと暴れてよう。おや、だけど、ないよ。おかしいな、どっか引っかかってんじゃねえか、え? 肋骨《あばら》にでも引っかかってんじゃねえか……もっと上へあがろう。こんなに匂いがしてんだから……そんな筈は?……なんだい、来ないわけだよ。蕎麦はみんな向うへ入っていくんだよ。さあ、向うへ行こう……」
疝気の虫は、奥さんの口ン中へいっせいに飛び込んで、蕎麦といっしょに腹の中へすっと入った。
「うまいね、こいつァ、うまいね。たまんねえ。どうも……驚いたねえ。でも蕎麦を食うと、体に元気が出てくるんだから……じっとしていられなくなるね。ここの筋を引っぱって遊ぼうじゃねえか。ほれ、引っぱれ、引っぱれ、どっこいさ、どっこいさ、こりゃさ。うれしいねえ、どうも……どっこいさのこりゃさ(と筋をひっぱる)、どっこいさのこりゃさ……」
「ああ、ああ、痛い、痛いっ」
「どうしました、奥さん?」
「なんですか、急に痛くなりまして……ああ痛い、痛い……苦しいっ」
「奥さんが痛い? そんな筈はありませんよ。おかしいな、どうも……ところで、ご主人のほうはいかがです、ぐあいは?」
「ええ、もうすっかり痛みがなくなりました。へッ、このとおり……」
「なんだ、踊ったりして……おかしいな? あっ、こりゃ奥さんのお腹に疝気の虫が入っちまったんだ」
「あーら、どうしましょう?」
「奥さん、その唐辛子の水をおあがんなさい」
「とんでもない、先生、金魚が目を回したんじゃありませんよ……ああ、痛い痛いっ」
「そりゃ、あなた、この水を飲まなけりゃ治りませんよ」
しかたなく奥さんが唐辛子水を、ぐうッと飲んだ。
腹の中で浮かれていた疝気の虫は、
「わあーっ、たいへんだ。……別荘へ、別荘へ……あァー、別荘がない!」
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