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「みにくいあひるの子」だった私74

时间: 2019-09-23    进入日语论坛
核心提示:逃 亡三人の夜逃(よに)げ屋本舗(やほんぽ)は、とても手際(てぎわ)がよかった。本当の別れを決意した日、私は父にそれとな
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 逃 亡

三人の“夜逃(よに)げ屋本舗(やほんぽ)”は、とても手際(てぎわ)がよかった。
本当の別れを決意した日、私は父にそれとなく聞いた。
「ねえ、パパ、私が帰っても、うちに私の部屋、もうないよね」
「おまえの部屋なんか、ママが改造して衣装(いしよう)部屋にしちゃったよ」
「パパの書斎(しよさい)、ほとんど使ってないんじゃない?」
「ばか言え。あいてねえよ」
彼には言わなかったけれど、両親にはそれまでに何度も「もう別れたい」と弱音(よわね)を吐(は)いていた。そのたびに父の“期待”を裏切ってきた。私はすっかり 狼 (おおかみ)少年。父にしたら、またいつものヨタ話ぐらいにしか思わなかったのだろう。私が彼と別れて家に戻(もど)るということをほのめかしても、私の話をハナから信用していない様子。
それまでだって、わざと嘘(うそ)をついたわけではない。私の気持ちがグラグラだったため、結果的にだましたことになってしまった。それも、一度や二度ではない。
父に本心を言うと、父の口からマスコミに流れるおそれもあった。そうしたら、カメラとマイクにどっと押し寄(よ)せられて、私の決意もどこかに吹(ふ)き飛んでしまう。
自分の口からテレビで言うまでは、父に黙(だま)っていることにして、友だち三人に手伝ってもらい、部屋から私の荷物だけをそっと持ち出した。夜逃げ同然。
ずっと私のことを心配してくれていた彼らは、ここぞとばかり、協力してくれた。
それから、彼と直接顔をあわせないようにするため、ホテルを転々とする生活が二ヵ月ほど続いた。
カギっ子にはカギっ子なりの楽しみ方がある。おかげで、私は泊(と)まりたくても泊まれないようなあちこちのホテルに泊まることができ、自分がおかれた状況をそれなりに楽しんでいた。
あるホテルに滞在して三日目、外出から戻ったら、部屋に大きなお花が届(とど)いていたことがあった。それは、彼とツーカーのあるマスコミからのもの。あわてて別のホテルへ、必死の逃亡者——。
もっとも、ホテル暮らしは事務所のさしがね、いえ、ご配慮。社長がポケットマネーで宿泊費の一部も負担(ふたん)してくれた。そのほかに友だちからの善意のカンパも。マネージャーがガードマン兼監視役だった。
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