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愛人の掟 43

时间: 2019-10-18    进入日语论坛
核心提示:scene 4 女の子グループの怪その日の打ち合わせは、渋谷の東武ホテル一階のラウンジだった。以前は好きな喫茶店のひとつ
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 scene 4 女の子グループの怪

その日の打ち合わせは、渋谷の東武ホテル一階のラウンジだった。以前は好きな喫茶店のひとつだったが、このホテルでつらいカンヅメをした思い出から最近足が遠のいている。
約束の時間にかろうじて遅れずに到着すると先方はまだ来ていなかった。
わたしはどうも、時間にルーズそうな風貌をしているようで、約束の時間ぴったりに登場すると必ず相手が意外そうな顔をする。そのリアクションを見たいがために、特に仕事のアポイントには出来る限り遅れないようにしているのだ。
昼下がりの店は空いていた。騒がしい渋谷の中で、やはりここは変わらずどこか大人の空気を残している。ほっとしていちばん好きな窓際のテーブルに向かおうとすると、何となく見覚えのあるウェイターがわたしに近づいた。
「三十分ほどすると少々騒がしくなりますが、よろしいですか」
よろしくはないが仕方がない。待ち合わせなのだから、勝手に静かな店に場所を変更するわけにはいかないのだ。わたしは席につき、エスプレッソを注文する。
しかし、妙である。三十分後というとちょうど午後三時。団体の予約でもあるというのか。ランチタイムには遅すぎるし、腑に落ちないまま煙草を吸っているとコーヒーが運ばれてきた。苦みのあるいい香りに、わたしは、初めてこの店を訪れ、憧れの人と緊張してランチを食べたことなど思い出す。と、待ち人がやってきた。
「ねえ、三時からこういう店が混み合うって、どういうこと?」
雑誌編集者のリカちゃんはつぶらな瞳をした、親しき仲にも礼儀あり、な女性である。わたしの唐突な問いに一瞬思案の表情を浮かべてから、あ、そうか、といった風に微笑む。
「みかさんが知らないのは仕方ないですよ」
そう言われると、仲間はずれにされたような気持ちになる。小さい頃いじめられっ子だったせいか、自分だけ何も知らされていなかったりするのに未だ過剰反応してしまう。
「だってみかさん、ケーキとか食べないですもん」
まだ意味がわからず首を傾げようとしたわたしの目に、ある光景が飛び込んで来た。若い女性の、大群。皆、目がらんらんと輝き、徒競走のスタートよろしくひとつの標的に向かって駆け出さんばかりになっている。そのとおり、答えはケーキのバイキングサービスであった。話には聞いていたけど、百聞は一見に如かず、とはこのことだったのか。
ショックだった。わたしは学生時代から、街のそこここに出没するこの「女の子グループ」が理解出来なかった。彼女たちはいつも三、四人で行動し、噂のケーキ屋さんに出かけ、これぞこの世の喜びとばかりに小さなケーキをいくつも食べる。もしくは信じられないことに女性ばかりで京都や金沢に旅行し、美味しいもの巡りをしたりもする。
女同士仲がいいのは大変結構なことだ。しかし、問題なのは「女の子グループ」のおしゃべりの中身である。彼女たちの話題の中心は大体ふたつに絞られる。
「ダイエットしなくちゃ」と、「彼氏が欲しい」である。
それは無理な相談だ。美味しいものをお腹一杯食べていれば太るし、女の子ばかりで遊んでいれば男の子には縁遠くなる。これが自然の摂理というものだ。
もしあなたが今より少しでも格好よくなりたかったりするのなら、今すぐ「女の子グループ」のお出かけを半分に減らすこと。そのぶんひとりでコーヒーを飲んで本を読んだり、ひとりで映画を観たりする時間をつくること。
そして何より、美味しい食事も素敵な旅行も、大好きな男性《ひと》が一緒にいてこそ、もっともっと輝き出すのだという人生の基本を思い出してほしい。大人の女性たるもの、いつまでも手を繋いでトイレに行くわけにはいかないのだ。
断言するが、ケーキ食いながら男の子は食えない、のである。
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