返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

愛人の掟 44

时间: 2019-10-18    进入日语论坛
核心提示:scene 5 好きなタイプわたしの物書きとしての初仕事は、ニッポン放送の朝の情報番組『お早よう! 中年探偵団』の構成作
(单词翻译:双击或拖选)
 
scene 5 好きなタイプ

わたしの物書きとしての初仕事は、ニッポン放送の朝の情報番組『お早よう! 中年探偵団』の構成作家であった(聴いたことありますか? ない人はぜひ)。もう八年前のことだが、今でもこの番組にはお世話になっていて、コーナーの原稿など書かせていただいている。「中探」のサブパーソナリティーを務めるフリーアナウンサーのミユキさんとは、公私ともにとても仲良しだ。彼女とは年に一度、バカンスをかねた取材旅行に出かける。ただでさえ女嫌いのわたしが一緒に旅行まで出来る女性は数少ない。
ミユキさんは美人で気立てがよく、さすが喋り手、明るくて話し上手。その上本当によく気のつく人で、わたしなどいつも彼女の横で、あらまあ、よくこんなところまで気がつくのねえ、なんて思いながらぼうっとしている。
だからそんなミユキさんがただ今恋人募集中、なのはまさに不可思議。ミユキさんはもてないわけでは決してなく、わたしの目の前だけでも何人もの男性が彼女にアプローチしている。でも、なかなかどうして、浮いた話に発展しないのだ。わたしが首を傾げていたある日、番組の会議中、「好きな男性のタイプは?」という話題が出た。今どき、こんな世にもくだらない質問をする人がいるものだ、とわたしがため息をついた瞬間、ミユキさんは満面の笑顔でにっこり、きっぱり、こう答えたのである。
「真田広之さん! あと布施博さんもいいなー」
断っておくが、この発言は彼らの不倫報道以前、のことであるから今では彼女の気持ちは変わっているかもしれません……が、しかしそんなワイドショーネタは関係ない。問題は「好きなタイプ」を聞かれて即座に芸能人の名前を挙げてしまうミユキさんのオトメゴコロ、なのである。もちろんそこが彼女の可愛らしいところでもあるのだが、ミユキさんにオトコが出来ない原因もまた、ここにあったのだ。
ミユキさんはこの、「好きなタイプ」への幻想が非常に強固なのである。世間ではこれを理想が高い、と言ったりするが、わたしは少し違うんじゃないかと思う。
そもそもこの「好きなタイプ」って一体何なんでしょう? わたしも雑誌のインタビューやトーク番組などでかなりの頻度で受ける質問なのだが、わたしには「好きなタイプ」というものがまるでないのでいつも理解に苦しむ。だからっていつまでも「好きになった人がタイプです」なんておニャン子クラブの富川春美みたいなこと言ってられないから、その日の気分で適当に答えている。「好きなタイプ」なんて、よく無自覚なティーンエイジャーが「優しくて、背が高くてえ」と言ってるようなレベルのこと、いい大人が話題の中心にすることじゃありませんよ。「好きなタイプ」を言い換えれば「理想の男性」ということになるのだろうが、恋愛に、理想という文字はない。「理想の恋」「理想の相手」「理想の結婚」……これらはすべて幻想の世界にのみ存在するものである。
恋愛は、頭の先から爪の先まで全部、現実で出来ている。仕事や生活だってそうでしょう。それなのに、こと恋愛に関してのみ、長いことかかって幻想の壁をつくりあげてしまう女性が大変多いのである。特にミユキさんのように、容姿端麗、仕事も出来るいい女に限ってそうなんだから、世の中、こんなに面倒臭いのだ。
恋愛の実践に入る前から好きなタイプを決めるなんて、野球はじめる前から「ショートしか守りません」て言ってるようなものでしょ? せっかく女に生まれたなら、ピッチャーからライトまでソツなくこなすぐらいの恋愛守備範囲を持ってほしい。二十歳を過ぎて「好きなタイプ」なんて言ってたら、彼氏いない歴を無駄に伸ばすだけ。若いうちの恋愛は質より量、守備範囲広げて積極的にいきましょう。
そんなわけで今日もわたしはミユキさんに最高の恋人が出来る日を待ち望んでいる。「好きなタイプ」の鎧《よろい》を脱ぎ捨てたら、幸せな恋はもうすぐそこ、だよ。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

[查看全部]  相关评论