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愛人の掟 47

时间: 2019-10-18    进入日语论坛
核心提示:scene 8 春うらら今わたしは、秋に出版予定の書き下ろし長編小説執筆のための「自主カンヅメ」の日々。都心からちょっと
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scene 8 春うらら

今わたしは、秋に出版予定の書き下ろし長編小説執筆のための「自主カンヅメ」の日々。都心からちょっと離れた某ホテルの窓からは、海が見渡せる……なんて書くといかにも格好よさ気だけど、そもそも「自主カンヅメ」というのは、意志がもろく誘惑に弱い作家が取る最終手段である。ちゃんと毎日少しずつ計画的に書けばいいものを、目先の締切りと自堕落な性格が災いして一向に進まない。かといって今回は長編小説だから一晩や二晩の力技ではどうにもならず、ああ! もう駄目だ……と、崖っぷちに立ったとき、人は思うのです、「そうだ、環境を変えてみよう」。
わたしの場合、いくらカンヅメでも都心のホテルではよなよな遊びに行ってしまって効果がないからわざわざこんな遠くまでやってくる。夏になれば海水浴客でにぎわう海辺も、今はオフシーズンで本当に静か。思えばここに来た日は雪が降っていたのに、一日、一日、春の海が色濃くなってくるのがわかる。春というのは、ぼんやりしているといつの間にか通り過ぎてしまう夢のような季節だ。こと恋愛に関しても、クリスマスにバレンタインデーも無事終了、ホワイトデーのお返しももらったし。今年度のイベントもほぼ一巡、ほっとしている人も多い今日この頃、なのでは。
でも実は、ほっと一息、してる場合じゃあないんです。この恋愛イベント終了時というのは、カップルにとってけっこう微妙な時期なんだから。
イベント前というのはお互い気合いが入っていることもあるし、ちょっとマンネリかなあ、と思う相手でも「クリスマス前に別れちゃもったいない」とか思ったりするじゃないですか。それがふっと気が抜けてしまうのがちょうど今頃。そして、あたりを見まわせば季節は春、春。これからが本当の恋の季節スタート、なのである。
本来、生き物というのは春、暖かくなってから活発に動きはじめるように出来ている。その証拠に動物は冬眠するか、じいっと身を隠しているし、真冬に満開になる花だって少ない。クリスマスやニューイヤーで冬にイベントを集中させて、無理やり盛り上がったりするのは人間だけなのだ。だから毎年、どうも運悪くクリスマス時期に彼がいない、という人、安心して。クリスマスにブルーなのは全然不思議なことじゃないんだから。
一年中で恋が芽生えるのがいちばん多いのは、春から初夏にかけて。統計的にも、将来の伴侶を見つける確率が最も高いのは、三月から風薫る五月にかけて、なんだそう。よく「春は出会いの季節」と言うのも、この自然の摂理に適ったことなのかもしれないね。
ブルーな冬を過ごした人はこの春のチャンスを逃す手はない。春眠暁を……なんて言ってないで、えさを探すリスのようにマメになるべし。片想いの相手にはもちろん、好きな人に彼や彼女がいる場合も思いきってアプローチしてみよう。わたしもそんな経験があるけど、大体、梅雨明けまでもってしまえば、夏は海やプールで遊んだり旅行へ出かけたりして何となく「安定期」に入っちゃうかんじってあるでしょう。だから、つきあっているふたりの間に割り込めるとしたら、今ここしかないと思う。
だけど、出会いの季節ということは、意地悪な言いかたをすれば別れの季節でもあるということだ。だって出会いというのは都合よく独り者にのみ訪れるわけじゃない。恋人の有無にかかわらず、出会いは均等にやってくるもの。だから人が一年中で最も「目移り」しやすいのもこの時期ということになる。調子よく冬を越したカップルは、あらためて手綱を握りしめる必要大、です。
と、力説してきたのはいいけど、じゃあわたしは春うららの恋の季節に、発情期の彼をひとり、二週間も野放しにしているということか。ここぞとばかりに目移りしまくっているかもしれず……ああ、これもふだんのナマケモノな生活の罰。今しばらく春返上で頑張るから、新刊を期待しててね。
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