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愛人の掟 65

时间: 2019-10-18    进入日语论坛
核心提示:scene 26 ふたりで温泉寒い季節になると、温泉が恋しくなる。特に真冬の雪見露天風呂など、思い浮かべただけでぐっときて
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scene 26 ふたりで温泉

寒い季節になると、温泉が恋しくなる。特に真冬の雪見露天風呂など、思い浮かべただけでぐっときてしまう。この時期「温泉」という言葉には「ハワイ」と同等の威力がある。今ハワイ旅行と温泉旅行が同時に当たったら真剣に悩んでしまいそうだ。
いつ行ってもノーテンキになれるハワイもいいが、飛行機に乗らなきゃいけないと思うと、やはりドライブがてら行ける距離にありながら、束の間の天国を味わえる温泉は魅力的である。末端冷え症のわたしには、あの究極の頭寒足熱状態は何にも代えがたいものがある。
なんだかんだ言って年に二、三度は温泉に出かける。わたしも彼も特に温泉通というわけではないからガイドブックや雑誌の温泉特集なんかを見てはよさそうな宿を探すのだが、温泉ほど当たりはずれのあるものもめずらしい。
何しろ写真と現物が、果たしてどこをどうやって撮るとこういうグラビアが出来上がるんだろうと思うぐらいまるで違うんだから。つまりあれはいちばん上等な部屋だけを、いちばんいい角度から、余計なものは一切写らないよう細心の工夫をこらした作品なのだ。商売なのはわかるけど、こりゃあ詐欺だぜって言いたくなるとこも多いよねえ。まあだからこそ、ここは当たりだ、という温泉に出会ったときの喜びも大きいんだけど。
でも、温泉の旅で唯一残念なのが、メインディッシュであるお風呂に彼と別々に入らなくてはならないこと。いちばん美味しいところで離れ離れにされるのは何とも惜しい。冷たく長い廊下の末、男風呂と女風呂に分かれる瞬間はかなりせつない。たまに混浴、とか書いてあっても、なかなか入りづらいものだしね。
だから小さくてもいいからまともな内風呂があったりするともう、何も言うことはない……と、わたしは常々、温泉に関する原稿やコメントを依頼される度に力説してきたのだが、どうやら世の女性たちがみな同じ思いというわけではないらしい。
なぜって、温泉に行っていつもびっくりするのが、カップルより若い女性のグループのほうが圧倒的に多いこと、なんである。ほんと、異常に多いんだもん。
わたしがいつになくしとやかな面持ちで彼に寄りそう傍らで、華原朋ちゃんばりの高音できゃっきゃっとやられるとちょっと複雑な気持ちになる。中年のオバさん連が多いのは納得出来るけど、どうしてうら若き女性たちがこうも揃って女同士で温泉に行かなきゃならないんでしょう?
そもそもどうして女の子だけで温泉に行こうと思い立つのか不思議である。気心知れた女友だちと夜通しおしゃべりしたりするのが楽しいのかな、とも思うけど、じゃあ何もわざわざ温泉じゃなくても赤プリかなんかでいいじゃないかと首を傾げてしまう。彼女たち全員が全員、彼氏がいないわけでもないだろうし、たぶんここ数年来定着した温泉ブームによるものなんだろうが、どうもしっくりこない。
だって、温泉ほどHっぽいところってほかにあんまりないじゃないですか。どこか隠れ家的な淫靡な雰囲気、部屋で差し向かいでしっとり傾ける熱燗、ふだんあまり見せたことのない白いうなじを露《あらわ》にする湯上がり美人の浴衣姿。そこへ持ってきてぴったりと並べて敷かれた寝具を前に「おやすみなさいませ」なんて言われた暁にはもう、たまんないくらい色っぽい。いつも小洒落たイタリアン・レストランやバーでデートしているからこそ、何かふたりで秘密を共有するような温泉デートはふたりの仲を親密にするのに絶好の場所になるはず。それを女たちだけで占領してしまうのはもったいないよ。
やっぱり、恋人とふたりきりで訪れるのが正しい温泉の利用法。温泉のすべての過程が恋人たちのためにあると言っても過言ではない。
つきあいはじめたばかりのカップルなら、温泉のちょっと大人の雰囲気にドキドキするのもよし、最近倦怠期かなあ、と感じてるふたりなら新鮮な気持ちになれるし、もし不倫してる恋人たちなら人目を気にせずここぞとばかりに思いきりベタベタできる。どんな間柄でもそれぞれの温泉はふたりをあたたかく包んでくれるに違いない。
そろそろ女同士の温泉は卒業してみては。彼との初めての温泉はちょっと勇気がいるかもしれないけど、この冬こそひとつ挑戦してみよう。温泉はお肌を磨くだけじゃなく、恋も磨く場所だということをお忘れなく。
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