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愛人の掟 67

时间: 2019-10-18    进入日语论坛
核心提示:scene 28 細胞まで愛して映画『パラサイト・イヴ』の完成披露試写会に出かけた。監督の落合正幸氏とは『世にも奇妙な物語
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scene 28 細胞まで愛して

映画『パラサイト・イヴ』の完成披露試写会に出かけた。監督の落合正幸氏とは『世にも奇妙な物語』の仕事で知り合ったのだが、何を撮ってもいつもめちゃめちゃ格好いい映像を見せてくれるので、今回もかなりわくわくしていた。
その多大な期待を裏切らず、よかったですよ、『パラサイト・イヴ』。瀬名秀明さんの原作も、専門知識が何もないわたしが一気に一晩で読んでしまったぐらい面白かったから、それに負けない映像を創り出すのは大変だったと思うけど、全然負けていなかった。細胞とかミトコンドリアとか、女の子が気持ち悪がりそうなアイテムばかり登場するのに、そのどれもが目を背けるようなものではなくて、実に美しいのだ。特にラストの人体発火シーンではさすが落合さんというかんじで、そこへ感動的な久石譲節が流れて、思わず涙がこぼれてしまった。
映像が素晴らしいのはもちろん、わたしが胸を打たれたのはそこに描かれた究極の愛のかたちである。この物語は簡単に言うと、最愛の妻を失った研究者が、脳死した彼女の肝臓を手に入れて細胞を培養する、というショッキングな内容だから、バイオホラーというジャンルづけをされているが、これはホラーというより究極のラブストーリーだ。
わたしはただひたすら怖いだけの映画は苦手なのだが、何らかの愛の在り方を問題提起するようなホラーは大好きだ。これまでも『ザ・フライ』などは当時「恋人がエイズのような病気になったら、あなたはどうするか」というギリギリの愛情を描いていた。
この『パラサイト・イヴ』の場合は「どこまで人を愛せるか」というところにテーマがあるのだと思う。人は誰かを本当に心底愛したとき、その相手を永遠に愛し続けたいと思う。でも現実、なかなかそうはいかない。
情熱のボルテージはそんなに長続きするものではないし、環境の変化や月日の経緯や老いや、様々な問題も次々に襲ってくる。ひとりの人をずっと愛し続けるのがいかに難しいか、これは恋愛における永遠の課題ですよね。そう思うと彼女の細胞の中に永遠の愛を求めてしまう主人公の気持ちもよくわかる。これは現実離れしたお話ではなく、すごく身近な感情なのではないかという気がしてくる。
今つきあっている彼がいる人は、胸に手を当てて考えてみてほしい。自分は本当にその人そのものを好きなのだろうか。彼の肩書きや条件や社会的地位や経済力など、すべてとっぱらってみてもその人が好きなのだろうか。たとえ彼が全財産を失ってしまおうが、事故で半身不随になろうが、リストラでラーメン屋をはじめようが、それでもまだ彼を愛し続けることが出来るのか。
もしその答えがノーだったら、それはやっぱり純粋な恋愛とは言えないんじゃないかな。もちろん、毎回毎回そんな恋が出来るとは思わないし、そんなことしてたら身も心ももたないかもしれない。でも、同じ女に生まれたなら一度は、すべてを通り越して彼の細胞そのものを愛してしまう、そんな恋愛をしてほしいと思う。
わたしも今までたくさんの恋をしてきたけど、本当に純粋な大恋愛なんて一度か二度しかない。そんな恋をしているとき、彼に触れ合う瞬間、細胞が沸き立つような感覚をおぼえることがある。
彼に会えると思っただけで、わたし自身が嬉しいだけじゃなく、細胞のひとつひとつが喜んでいるような……そうそう、前に渡辺満里奈がやっていたCMでおなかの中のビフィズス菌がわあわあきゃあきゃあ狂喜乱舞してるやつがあったけど、あんなかんじ。そういうときは、やっぱり肌とか目とかにまで変化が現れるらしくて、人に会う度にきれいになったと言われたりする。恋愛と細胞って意外に密接な関係にあるのかも。
骨まで愛して、ならぬ細胞まで愛して、これぞ究極の愛。うーん、そんなとこまで考えさせられてしまう『パラサイト・イヴ』の威力、まだ観てない人はぜひ試してみて。
ちなみにこの試写会、わたしは内田有紀と連れだって観に行ったのだが、角川書店の主催だけあって、ものすごい顔ぶれだった。
お隣りは大沢在昌さんと鈴木光司さん、その向こうは景山民夫さん夫妻、赤川次郎さん、京極夏彦さん、阿刀田高さん、内田康夫さん……錚々たる大御所作家先生がたに囲まれて、わたしたちは明らかに浮いていた。でも有紀はともかく、わたしだって、一応作家なんだけどなあ……。
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