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ムッソリーニの処刑36

时间: 2019-11-21    进入日语论坛
核心提示:「ドゥチェを引き渡せ!」 ヴァレリオがミラノのロンゴと電話をしている時刻、ムッソリーニとクラレッタはデ・マリアの家で目を
(单词翻译:双击或拖选)
 
「ドゥチェを引き渡せ!」
 
 ヴァレリオがミラノのロンゴと電話をしている時刻、ムッソリーニとクラレッタはデ・マリアの家で目を覚ました。午前十一時頃であった。
私が初めてこのデ・マリアの家を訪れたのは、その日から十一年目の五六年初夏であった。場所は正確にはコモ湖西岸のアッツァーノ村字ボンツァニーゴ。そのアッツァーノ村の中心ジュリーノ・ディ・メッツェグラがバス停になっており、そこから三百メートルほど西に山道をたどる。
道幅は二メートル足らずの石のデコボコ道。まわりは段々畑が左にあり、右は藪である。その突き当りの一軒家がデ・マリア家である。日本式にいうと三階建のしっくい塗りのかなり大きな農家であった。その後も変りはない。
ムッソリーニとクラレッタをその日の早朝から世話をした主婦リアに、当時のことを尋ねた。私が会った時のリアは、四十がらみの人のよさそうな農婦であった。主人のジャコモとの間に、二人の息子がいた。話はムッソリーニらが一夜を明かしたその寝室で聞いた。
「あれは二十八日の朝五時を過ぎていました。早朝に戸をたたく音がするので、『何だろう?』と出てみると、知り合いのネーリがいて『この人達を泊めてくれ』とのことでした。
ネーリとは古くからの付き合いがあり、あわてて息子達の寝ている寝室を客人に明け渡したのです。部屋を片付ける間、コーヒーを差し上げました。頭に繃帯を巻いた男と貴婦人らしい二人は黙っていました。ほかに数人の男がいましたが、二人の客人を寝室に入れると、若い衆二人を残して帰りました。
寝室は寒いので、暖炉に火を燃やしてあげますと、『暖かい』ととても喜んでいました。
若い衆のサンドリーノとリーノの二人が寝室のドアの外で寝ずに見張りをしていました。私は中にいる二人の男女が大事な人なんだなと思っていました。
朝十一時頃、朝食を作って持って上がると、二人は起きたばかりらしく、窓を明けてコモ湖の方を眺めて、おしゃべりしていました。男の方は繃帯をはずしていて、よく見たらドゥチェ(統帥)でしたのでびっくりしてしまいました。女の方はクラレッタ・ペタッチとすぐに分りました。若い見張りの二人は、部屋の入口からかなり離れて、やはり外を眺めていました。遠慮していたんでしょうね。
朝食はポレンタ(とうもろこしの粉で作ったおかゆ)、サラミ、牛乳でした。
『ほかになにかいりますか?』と聞くとドゥチェが『いや、ありがとう』と言って、自分でサラミを少し口に運ぶと、自分の牛乳やポレンタ、サラミをクラレッタにまわしました。外はずっと雨が降っていて、うすら寒い朝でした」
リアは次のような話もした。
「ここのベッドは、ずっとあの時のままにしてあるんです(確かにシーツなど起き上がったままらしく、シワも寄っていた)。統帥の枕は二つ重ねられていたんです。統帥は頭を高くしないと眠れないらしかったんです。クラレッタがきっとそうしてやったんでしょう。可愛い女でしたよ」
 私はその寝室やベッドを写真に撮らせてもらおうと、カメラを取り出したら、リアさんは「それはいけない」と遮り、前もって用意してあった絵葉書を買うようにと言ってきた。絵葉書には、自分の家の全景、その寝室などムッソリーニとクラレッタの一日に関係ある場所が写っていた。
リアは農業のかたわら、この「語り」と「絵葉書」売りを内職にしていたのであった。
 ヴァレリオ大佐とピエトロことミケーレ・モレッティ、グイドことアルド・ランプレディらは、コモで徴用した乗用車一台とトラックに乗り換えて、午後二時にドンゴに着いた。途中、パルティザンの検問にあうたびに、ヴァレリオは「自由通行許可証」をかざして、検問を突破するようにつっ走った。このため検問所からドンゴのパルティザン、ペドロに「不審な車、トラック各一台が向ったから注意」の予告があったほどである。
ドンゴ入りしたヴァレリオらは早速、パルティザンの責任者ペドロと談判に入った。「ムッソリーニの身柄を引き渡すよう」求めたのに対し、ペドロが「何の権限があって要求するのか」と、押問答になってしまったからである。ミラノから事前に何の連絡もなく、突然、身柄を要求されては、ペドロとしても簡単に応じられないのは当然であった。ヴァレリオも一枚の令状をも持たないのが大きな弱味であった。
ペドロの記述によると、一時は決裂どころか、殴り合いにならんばかりの以下のような殺気を帯びた会談内容であった(注1)。
 ペドロ「なぜ彼(ムッソリーニ)を君に引き渡さなければならないのか?」
ヴァレリオ「では君はいったいどうしたいんだ」
ペ「われわれの直属司令部に引き渡したい。それが筋道だ。われわれは第五十二旅団に属している。それが道理というものではないか」
ヴ「そんなことは言うな。私は彼を処刑しにやって来たんだ」
ペ「なんだって? 殺しに? そんなことはできない。処刑の判決もないではないか」
ヴ「なにを言う。解放委員会はちゃんと判決を下しているんだ。解放委員会総司令部の命令もあるんだ。私はその命令の執行人なんだ」
ペ「だけど……」
ヴ「君は私よりも、下級将校だ。私の方が上官だ。君は私に従えばいいんだっ!」
ペ「なにを言う。ここでのことは、ここで決めるんだ!」
ヴ「なにを言う。ここにいる私が、総司令部を代表しているんだ! 捕虜を引き渡すようこの私が命令する。私に従え! いまや議論などしているどころではないのだ。私に従うことだ!」
ペ「…………」
たがいに名誉と誇りを秘めての激烈な言葉のぶつけ合いであった。ペドロは、ミラノの「解放委員会の意志」とあれば、従うしかないと考えた。
「ちょっと、時間をくれよな」と言うと、ペドロは別室でネーリ、モレッティ、女性のジャンナらと話し合った。相談相手となったネーリらはムッソリーニ処刑に猛反対した。ではどうしたらよいかの具体策は誰も持ち合わせなかった。結局、ヴァレリオの主張に従うほかはなかったのである。
ペ「君の指図に従う」
ヴ「分ったか! これは私の命令なんだ。責任は私が持つ。逮捕者リストを見せろ」
ペドロは前夜作ったリストを手渡した。それにはファシスト首脳部らを含め、二十二人の名が番号を付けて連記されてあった。ムッソリーニ、クラレッタのほか閣僚の名も見えた。ヴァレリオがひとり言のように言った。
ヴ「ムッソリーニ死刑、ペタッチ死刑」
ペ「えっ? ペタッチが死刑? 女性を殺すなんて! 何の罪もないではないか!」
ヴ「彼女はムッソリーニの相談役だった、もう何年も。しかも彼の政治を鼓舞してきたんだ。責任は重い」
ペ「クラレッタが相談役だなんて。単なる愛人に過ぎないのに……」
ヴ「別に私が罰したんじゃない。すでに罰せられているんだ。私はただ命令に従ってやっているだけなんだ。君はかまうな。私はやるんだ! やらなければならないと決めているんだ!」
 荒っぽい会話である。ヴァレリオの言葉や態度には、まるでライオンが血のしたたる獲物を食いちぎる獣性さえ感じられた。
解放委員会とダダリオ大尉の発行した二枚の「自由通行許可証」をタテにしたヴァレリオの高圧的な命令に、ペドロも降伏せざるを得なかった。ペドロには、ヴァレリオは所詮(しよせん)、別種の人間のように思えた。
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