□志貴の部屋
「———————世界の果て、か」
呟いてみてあまりの馬鹿らしさにため息がこぼれた。
世界の果て、なんて非現実にも程がある。
子供の頃は世界の広がりなど知らず、少年になって知恵をつけた頃には世界には果てなどないと知らされた。
道はどこまでいっても道で、道の終わりとはすなわち旅を始めたスタート地点である。
メビウスの輪だ。
進んでも進んでも道がなくなる事はなく、思う存分歩き続ける事ができる。
世界の果て、なんて非現実にも程がある。
子供の頃は世界の広がりなど知らず、少年になって知恵をつけた頃には世界には果てなどないと知らされた。
道はどこまでいっても道で、道の終わりとはすなわち旅を始めたスタート地点である。
メビウスの輪だ。
進んでも進んでも道がなくなる事はなく、思う存分歩き続ける事ができる。
世界に果てなどない。
地球は丸くて、終わりまで進めば始まりに戻るだけ。
ちょうど今のこの世界のように、端まで行けば端に出るのと似ている。
地球は丸くて、終わりまで進めば始まりに戻るだけ。
ちょうど今のこの世界のように、端まで行けば端に出るのと似ている。
———————それは、つまり。
規模こそ違えど、自分たちは一つの輪の中で暮らしているという事ではないのか。
……ではアレはなんなのか。
時折、世界の隙をつく形で何処かに出ようとすると出現する腐食。
あの先には進めない。
先がないのだから進みようがない。
そして、あの腐食はこの街を覆い尽くそうとしているように思える。
そこまで行けば世界が終わっていそうな日没。
所々穴の空いている世界。
零れないようにと密閉されている自分。
既知感に支配されたあやふやな一日。
過去のない世界は、それこそ自由に描き変えられる。
所々穴の空いている世界。
零れないようにと密閉されている自分。
既知感に支配されたあやふやな一日。
過去のない世界は、それこそ自由に描き変えられる。
「——————まるで箱庭だ」
それも幸福な結晶だけで形成された人工楽園。
おそらくは朝になればこんな感傷も忘れて、またいつも通りの目覚めをする。
おそらくは朝になればこんな感傷も忘れて、またいつも通りの目覚めをする。
「——————————」
なら眠らなければいいのだろうけど、こう思っている時点ですでに眠っているのだから仕方がない。
こうして眠った時だけが、世界の形に迫れる真世界。
こうして眠った時だけが、世界の形に迫れる真世界。
【レン】
だが、いつからこうだったんだろう。
必死に思い出してみるが記憶は曖昧だ。
ずっと昔からだったのか、それとも今日からだったのか。
ともかく証明できない以上すべてが不確かで、この一日は“ある”が“ない”になりさがる。
何故なら昨日を思い出せない以上、今日と同じ明日もまた、新しい一日として始まるのだから———