□遠野家居間
食後のお茶会。
朝食が終わった八時から九時の間、ここでこうして四人でのんびりするのが休日の日課である。
朝食が終わった八時から九時の間、ここでこうして四人でのんびりするのが休日の日課である。
「……とまあそういうわけだから、あんまり南のほうは行きたくないんだ。沖縄にはろくな思い出がない」
【琥珀】
【琥珀】
「はあ。志貴さん、中学校の修学旅行は沖縄だったんですか?」
「まさか、そんな金持ち学校じゃなかったです。中学の修学旅行はお決まりの京都でした。あ、けど次の年からは奥飛騨になってたそうだけど」
「まさか、そんな金持ち学校じゃなかったです。中学の修学旅行はお決まりの京都でした。あ、けど次の年からは奥飛騨になってたそうだけど」
【琥珀】
「京都から奥飛騨に変更ですか。なにか作為的なものを感じますね」
ふふふ、といたずらっ子のような笑みをこぼす琥珀さん。
ふふふ、といたずらっ子のような笑みをこぼす琥珀さん。
【秋葉】
「その話なら乾さんから聞きました。なんでも夜中にホテルから抜け出した男子生徒AとBが文化財を破損してしまって、以後その中学は京都出入り禁止になったとか」
「—————ぶ!」
危ない危ない。思わず口に含んでいた梅昆布茶を吐き出すところだった。
「へ、へえ。そんな話は初耳だったな」
【秋葉】
「あら、ならこんな話も初耳ですか? 男子生徒Bが不注意で折ってしまった仏像の腕を見て、男子生徒Aはバラそう、と即決して解体してしまったのですって。その後、証拠隠滅だったのかふざけていたのかは判りませんがバラバラにした仏像を木刀の籠に放りこんでしまったとか」
「……そっか。きっと何か嫌な事でもあったんじゃないのかな、そいつ」
「あら、ならこんな話も初耳ですか? 男子生徒Bが不注意で折ってしまった仏像の腕を見て、男子生徒Aはバラそう、と即決して解体してしまったのですって。その後、証拠隠滅だったのかふざけていたのかは判りませんがバラバラにした仏像を木刀の籠に放りこんでしまったとか」
「……そっか。きっと何か嫌な事でもあったんじゃないのかな、そいつ」
一応、さりげなく弁解してみたりする。
余談ではあるが、その翌日木刀を買うフリをしてちゃっかり五百十三円で仏像の腕をゲットしたのは有彦にだって秘密である。
【琥珀】
「うわ、ひどいですねー。その子、将来はよっぽど大物になるか女の子泣かせになるかどちらかだと思います」
【秋葉】
「同感ね。男子生徒Aさんは普段は大人しいのに、どうしてか男子生徒Bさんと一緒になると悪巧みに長けるみたい。
———それとも、まさかとは思うんだけどそっちがその男の子の地なんでしょうか、兄さん?」
だから、なんでそんな針のむしろみたいに遠まわしないじめ方をしてくるんだおまえは。
「同感ね。男子生徒Aさんは普段は大人しいのに、どうしてか男子生徒Bさんと一緒になると悪巧みに長けるみたい。
———それとも、まさかとは思うんだけどそっちがその男の子の地なんでしょうか、兄さん?」
だから、なんでそんな針のむしろみたいに遠まわしないじめ方をしてくるんだおまえは。
「あ、いや———別にそんな事はないんじゃないかと、俺は思うけど」
肩身を狭くしてさりげなく返答する。
肩身を狭くしてさりげなく返答する。
【秋葉】
「そう? 同じ男性である兄さんがそう思うなら、まあそういう事にしておきましょう」
「そう? 同じ男性である兄さんがそう思うなら、まあそういう事にしておきましょう」
優雅にティーカップを口に運ぶ秋葉。
なんていうか、満足そうな顔が「今朝は私の勝ちですね」と言っているようで面白くない。