□志貴の部屋
「よし、午後の行動けってーい」
そうと決まればさっそく移動する事にしよう。
そうと決まればさっそく移動する事にしよう。
□遠野家1階ロビー
てくてくてくてく。
目的地に向かって一目散、陽気にロビーを横切る遠野志貴。文法が間違っている気がするけどあまり気にしてはいけません。
目的地に向かって一目散、陽気にロビーを横切る遠野志貴。文法が間違っている気がするけどあまり気にしてはいけません。
“翡翠ちゃん、いま西館の方を走っていきましたよー!”
と。屋敷の外から琥珀さんの声が聞こえてきた。
“あ、窓から飛び降りて一階に下りちゃった。翡翠ちゃん、負けずに飛びおりなくちゃ!”
外から聞こえてくる琥珀さんの声は常軌を逸している。
「……なにごと?」
ロビーから外に顔を出そうとしたその時。
「あー、あぶなーいっ! 退いて志貴さまー!」
なんて叫びながら、何者かが東館の廊下を爆走してきた。
「……なにごと?」
ロビーから外に顔を出そうとしたその時。
「あー、あぶなーいっ! 退いて志貴さまー!」
なんて叫びながら、何者かが東館の廊下を爆走してきた。
【アルクェイド】
「ぶっ………!」
さっき食べたお昼ごはんが喉元まで戻ってくるようなこのショック!
「お、お、おまえ———」
何してるの、なんてとてもじゃないけど訊けない。訊いたが最後、とうぶんは魘されそうな呪詛をかけられそうな気がする。
さっき食べたお昼ごはんが喉元まで戻ってくるようなこのショック!
「お、お、おまえ———」
何してるの、なんてとてもじゃないけど訊けない。訊いたが最後、とうぶんは魘されそうな呪詛をかけられそうな気がする。
「こんにちは志貴さま。ご機嫌はいかかですか?」
ネコなで声でいって、つい、とスカートの裾を指でつまむアルクェイド。
「——————————」
「あら。志貴さま、この格好はお気に召さないのですか? 翡翠にはさせて喜んでくるくせに、このー」
「……おまえ。部屋で、寝てるんじゃ、なかったのか」
「んー、目が覚めちゃったから遊びに来た。そしたら翡翠が着替えててね、ちょうどいいから服借りちゃったのよ。うん、前から着てみたいなーって思ってたんだ」
アルクェイドはご機嫌な様子でメイド服を見下ろしている。
ネコなで声でいって、つい、とスカートの裾を指でつまむアルクェイド。
「——————————」
「あら。志貴さま、この格好はお気に召さないのですか? 翡翠にはさせて喜んでくるくせに、このー」
「……おまえ。部屋で、寝てるんじゃ、なかったのか」
「んー、目が覚めちゃったから遊びに来た。そしたら翡翠が着替えててね、ちょうどいいから服借りちゃったのよ。うん、前から着てみたいなーって思ってたんだ」
アルクェイドはご機嫌な様子でメイド服を見下ろしている。
————と。
アルクェイドが爆走してきた廊下から、今度は控え目な足音が近づいてくる。
「志貴さま、その方を捕まえてください……!」
「あ、もう追いつくんだ。それでは志貴さま、ご用がおありでしたらお呼びくださいね」
「志貴さま、その方を捕まえてください……!」
「あ、もう追いつくんだ。それでは志貴さま、ご用がおありでしたらお呼びくださいね」
ぺこりとおじぎをして階段を駆け上っていくアルクェイド。
……スカートの裾は派手に舞いあがって、ああ、翡翠だと絶対にこんな光景は拝めないなあ、とか思ってしまう。
【翡翠】
「志貴さまっ……! あの方は何処に行かれましたか!?」
息を切らしてロビーに駆け込んでくる翡翠。
「—————————」
翡翠が着ているのはアルクェイドの服だ。
翡翠には大きすぎるのか、白いハイネックはぶかぶか。が、それが逆にこの上なく可愛かったりする。
「あ、あの、翡翠、それ……」
思わず声をかける。
と。
息を切らしてロビーに駆け込んでくる翡翠。
「—————————」
翡翠が着ているのはアルクェイドの服だ。
翡翠には大きすぎるのか、白いハイネックはぶかぶか。が、それが逆にこの上なく可愛かったりする。
「あ、あの、翡翠、それ……」
思わず声をかける。
と。
“翡翠ちゃーん! 姿が見えなくなったけど何処にいったんですかー”
スピーカーを使った、琥珀さんの大声が聞こえてきた。
そこへ。
そこへ。
“ああもう、見ていられないっ! 指示は私が出すから琥珀も中に入りなさいっ! 二人であの泥棒猫を追い詰めるんですっ……!”
なんて、殺る気満万の秋葉の声が加わった。
「志貴さま、お答えくださいっ。アルクェイドさんは何処に行かれたのですかっ……!」
「え……あいつなら上に行ったけど。それより翡翠、これから———」
「っ! 志貴さま、申し訳ありません。あの方を捕まえるまでわたしと姉さんはお役に立てません!」
「え……あいつなら上に行ったけど。それより翡翠、これから———」
「っ! 志貴さま、申し訳ありません。あの方を捕まえるまでわたしと姉さんはお役に立てません!」
キッ!と鋭い視線を二階に向けて、翡翠は階段を駆けあがっていった。
“なにやってるの翡翠、琥珀! 屋根裏にお父様が使われていた散弾銃があるでしょう!? かまわないから発砲なさい! この機会を逃したら承知しないわよ!”
……いつのまにか外では秋葉が完全に場を仕切っている。
屋敷の中は一転して遊園地じみた騒々しさに包まれた。
屋敷の中は一転して遊園地じみた騒々しさに包まれた。
「で———なにごと?」
一人ロビーに残されて、呆然と呟いた。