□公園前の街路
アキラちゃんはお昼過ぎから予定があるとか言ってたけど、昼食を一緒にする時間はあるかもしれない。
「アキラちゃん、まだ時間ある?」
【アキラ】
「はい、三時ごろまで予定はありません」
「それじゃお昼ごはんとか一緒にどうかな。こっちも予定が空いててさ、しばらく付き合ってくれると嬉しいんだけ———」
「それじゃお昼ごはんとか一緒にどうかな。こっちも予定が空いててさ、しばらく付き合ってくれると嬉しいんだけ———」
【アキラ】
「はい、よろこんでご一緒させていただきます!」
アキラちゃんは即座に笑顔で答える。
「———っと、ありがと。そ、それじゃもうちょっと歩こうか」
アキラちゃんは即座に笑顔で答える。
「———っと、ありがと。そ、それじゃもうちょっと歩こうか」
【アキラ】
「志貴さん? なにか慌ててますけどどうかしましたか?」
「ああ、ちょっとね。アキラちゃんの反応が早かったからさ、まるでこっちの言い分が判っていたみたいだなって」
「ああ、ちょっとね。アキラちゃんの反応が早かったからさ、まるでこっちの言い分が判っていたみたいだなって」
【アキラ】
「あ……えっとですね、実はいうとちょっとだけ視えちゃいました」
「ああ———なるほど、そういえばそうだったね」
アキラちゃんにはちょっとした特技というか、特別な力がある。
未来視、とでも言えばいいのだろうか。
聞いた話だけだからよくは解らないのだけど、なんでも少しだけ先の出来事を映像として“先見”してしまうとかなんとか。
もっともアキラちゃん自身それを自由に扱えるわけではなく、時折、それこそランダムに未来らしきものを視てしまうだけだという。
未来視、とでも言えばいいのだろうか。
聞いた話だけだからよくは解らないのだけど、なんでも少しだけ先の出来事を映像として“先見”してしまうとかなんとか。
もっともアキラちゃん自身それを自由に扱えるわけではなく、時折、それこそランダムに未来らしきものを視てしまうだけだという。
□公園
手作りが売りのハンバーガー店からセットメニューを二人分テイクアウトして、公園で昼食をとった。
天気がいいという事もあったし、アキラちゃんが街に遊びに行くより話がしたいというのでそのまま公園で休む事になった。
陽射しは眩しく暖かく、日向ぼっこには最良の天気である。
手作りが売りのハンバーガー店からセットメニューを二人分テイクアウトして、公園で昼食をとった。
天気がいいという事もあったし、アキラちゃんが街に遊びに行くより話がしたいというのでそのまま公園で休む事になった。
陽射しは眩しく暖かく、日向ぼっこには最良の天気である。
「へえ、アキラちゃんって北国の生まれなんだ。それじゃ寒さには強いほう?」
【アキラ】
「えへ、それがあんまり強くないんです。寒いと朝起きるのも辛くて、そんな事で職人さんに申し訳ないと思わないのかー、ってお父さんからよく叱られてました」
「? 職人さんって、アキラちゃんの家って何をやってるところだっけ?」
「? 職人さんって、アキラちゃんの家って何をやってるところだっけ?」
【アキラ】
「えっと、お酒造ってるんですよー。いいお酒を造れる職人さんは宝物ですから、うちではお父さんより偉いんだそうです」
嬉しそうに言うあたり、アキラちゃんにとって家の仕事は誇れるものなんだろう。
そういうまっすぐさが初々しいというか、このままずっとそのままで成長してほしいなあ、とか。
そういうまっすぐさが初々しいというか、このままずっとそのままで成長してほしいなあ、とか。
【アキラ】
「えっと、そういうわけで寒さには弱いんですけどお酒には強いです。ほんとはいけない事なんですけど、うちにいた頃は新しいお酒が出来たら一番に飲ませてもらったんですよ」
「お。という事は日本酒好きなんだ、アキラちゃんは」
「お。という事は日本酒好きなんだ、アキラちゃんは」
【アキラ】
「あ……えーっと、外国のお酒も好きとか言ったらダメですか?」
誰に遠慮しているのか、照れくさそうに指をもじもじさせている。
誰に遠慮しているのか、照れくさそうに指をもじもじさせている。
「いや、別にどっちも好きならいいんじゃない? どっちもお酒である事にはかわらないんだから」
【アキラ】
「そ、そうですよね! おいしくないお酒なんてないんだから、こだわる必要なんてないと思います!」
……ははあ。ようするに実家のお父さんに日本酒以外のお酒を否定されてるってワケか。
まあ、後継ぎをしっかり教育したいお父さんの気持ちは解らないでもないけど、ここはアキラちゃんの味方をしておこう。
……ははあ。ようするに実家のお父さんに日本酒以外のお酒を否定されてるってワケか。
まあ、後継ぎをしっかり教育したいお父さんの気持ちは解らないでもないけど、ここはアキラちゃんの味方をしておこう。
「あ、けどビールはやめなさい。アレは、よくない」
【アキラ】
【アキラ】
「え……。ビールって、その、麦酒ですよね。あの、わたしはよく知らないんですけど、志貴さんはお嫌いなんですか?」
「いや。味はともかく、太る」
「いや。味はともかく、太る」
【アキラ】
「———ふ、太るんですか」
「うん。もうでぶでぶ」
「———で、でぶでぶなんですか……!」
あわわ、と目に涙を浮かべるアキラちゃん。
……そうか。もう手遅れだったワケか……。
「うん。もうでぶでぶ」
「———で、でぶでぶなんですか……!」
あわわ、と目に涙を浮かべるアキラちゃん。
……そうか。もう手遅れだったワケか……。