□公園
「そういえば三時にここで待ち合わせだっけ。……なんだ、あと十分ないじゃないか」
「そういえば三時にここで待ち合わせだっけ。……なんだ、あと十分ないじゃないか」
【アキラ】
「はい。約束をきっかり守る人ですからもうすぐやってくると思います。ホントはお昼にここで待ち合わせだったんですけど、ちょっと我が侭をいって遅らせてもらったんです」
「え———それは、もしかして俺が誘っちゃったから?」
「え———それは、もしかして俺が誘っちゃったから?」
【アキラ】
「はい。志貴さんがお昼ごはんを買いに行ってくれた時に合流したんですけど、ちょうど先輩も用ができたらしいんです。
だからお互い用件を済ませてまた待ち合わせようって」
だからお互い用件を済ませてまた待ち合わせようって」
「……そうか、なら良かった。けど先輩って、もしかして秋葉とかそういうオチ……?」
恐る恐る訊いてみる。
アキラちゃんは浅上女学院の中等部三年生。
一方、秋葉は浅上女学院高等部二年生。
となるとアキラちゃんにとって先輩というのは高等部の誰かという事になって、それが秋葉だという可能性はとても高かったりするのだ。
なにしろアキラちゃんも秋葉も生徒会の役員で、浅上女学院の生徒会は中高合同で会議をしたりするらしい。
—————って、あれ?
秋葉は、まだ浅上女学院の生徒だったっけ……?
それになんだか歳がおかしいというか、いや、正確にいうんなら今のはあってるんだけど、それだと遠野志貴は何年生になるんだろう……?
秋葉は、まだ浅上女学院の生徒だったっけ……?
それになんだか歳がおかしいというか、いや、正確にいうんなら今のはあってるんだけど、それだと遠野志貴は何年生になるんだろう……?
【アキラ】
「いえ、遠野先輩じゃないですよ。……あ、けど遠野先輩関連っていえば遠野先輩関連なんですけど———」
【蒼香】
「アキラ」
と。割ってはいる形で、見知らぬ少年がアキラちゃんに声をかけた。
と。割ってはいる形で、見知らぬ少年がアキラちゃんに声をかけた。
【アキラ】
「先輩。用はもう済んだんですか?」
「ああ、突発的な思いつきだったからな。別に長引くものでもない」
簡潔に言って、少年はこちらを一瞥する。
「ああ、突発的な思いつきだったからな。別に長引くものでもない」
簡潔に言って、少年はこちらを一瞥する。
【蒼香】
……うわ。なんか、露骨に信用されてないな、俺。
「あんたが遠野志貴か。中学生を連れまわすのは関心しないな」
【アキラ】
「わ、わわわ、先輩ったら何言い出すんですか! 志貴さんをお誘いしたのはわたしの方なんですよぅ!」
【蒼香】
【蒼香】
「———ほう。なんだ、つまりアキラは遠野に宣戦布告をしているワケか」
「わ、わわわわわ……! 先輩、冗談でもそんな物騒なコト言わないでくださーい! 遠野先輩が本気にしたらどうするんですかっ……!」
「わ、わわわわわ……! 先輩、冗談でもそんな物騒なコト言わないでくださーい! 遠野先輩が本気にしたらどうするんですかっ……!」
「そりゃあ命はあるまい。なにしろ屋上から突き落とされてもピンピンしていて、そのまま突き落とした相手の延髄にハイキックをかますようなヤツだからな。加えて、食らわせた相手のタッパがあたし並みだったらその後カカト落としまでセットだっただろう。
お、そういえばアキラとあたしは目線が同じだな」
【アキラ】
お、そういえばアキラとあたしは目線が同じだな」
【アキラ】
「うわあ、どうしてそう容赦無い言い方するんですか先輩はー!」
「これでも忠告してやってるんだがね」
淡々と言って、少年はまたもこちらに流し目を投げかけてきた。
「これでも忠告してやってるんだがね」
淡々と言って、少年はまたもこちらに流し目を投げかけてきた。
【蒼香】
「あんたもだぞ」
「え——あんたもって、俺?」
「そうだ。アキラを可愛がる気持ちも分かるが程々にしておけ。ただでさえアキラはあいつのお気に入りだからな、糸が二重に絡まる事になる」
「え——あんたもって、俺?」
「そうだ。アキラを可愛がる気持ちも分かるが程々にしておけ。ただでさえアキラはあいつのお気に入りだからな、糸が二重に絡まる事になる」
そう言うと少年はアキラちゃんの手を掴んだ。
「ほら、急ぐぞ。今からだと到着が五時だ。せっかくの立ち見なんだからステージ側にいなければつまらない」
「———あ、ちょっと待ってください」
少年の腕から離れてアキラちゃんは寄ってくる。
「———あ、ちょっと待ってください」
少年の腕から離れてアキラちゃんは寄ってくる。
【アキラ】
「志貴さん、これさっき言ってた本です。お貸ししますから、文化祭の時に持ってきてくださいね」
アキラちゃんは鞄から一冊の本を差し出してくる。
……この三時間様々な話をしたけど、その時にマンガの話題になったんだっけ。
アキラちゃんは鞄から一冊の本を差し出してくる。
……この三時間様々な話をしたけど、その時にマンガの話題になったんだっけ。
「ありがと。それじゃ文化祭の時に」
【アキラ】
「はい! 遠野先輩によろしく言っておいてください」
アキラちゃんはぺこりとおじぎをして、見知らぬ少年に付いていった。
「——————————さて」
時刻は午後三時。
もう少しゆっくりしてから屋敷に戻るとしようか。
時刻は午後三時。
もう少しゆっくりしてから屋敷に戻るとしようか。