□マンションキッチン
……そういえば、アルクェイドのベッドってわりと謎だ。
ここ最近はあいつの方から屋敷にやってくるから、ここのベッドはアルクェイド専用になっている。
アルクェイドも色々と飾り物に凝るようになってきたし、何か新しい変化があるかもしれない。
「……まあベッドを見るぐらいならおかしくないよな……」
頼りない弁明を呟きつつ、足音を忍ばせて奥の部屋へと移動した。
ここ最近はあいつの方から屋敷にやってくるから、ここのベッドはアルクェイド専用になっている。
アルクェイドも色々と飾り物に凝るようになってきたし、何か新しい変化があるかもしれない。
「……まあベッドを見るぐらいならおかしくないよな……」
頼りない弁明を呟きつつ、足音を忍ばせて奥の部屋へと移動した。
□アルクェイドの部屋
ベッドはきちんとメイクされていた。
白いシーツには皺一つなく、さながら風のない砂漠のようだ。
「……う。なんか妙にドキドキするな……」
罪悪感のなせる業か。ふ、この心地よい緊張感、がたまらねえYO!
「っと、バカなモノローグはそこまでにしておいて、と」
いそいそと床に膝をついてベッドの下をチェックする。
……ベッドの下には何もない。埃一つなくてキレイなものだった。
白いシーツには皺一つなく、さながら風のない砂漠のようだ。
「……う。なんか妙にドキドキするな……」
罪悪感のなせる業か。ふ、この心地よい緊張感、がたまらねえYO!
「っと、バカなモノローグはそこまでにしておいて、と」
いそいそと床に膝をついてベッドの下をチェックする。
……ベッドの下には何もない。埃一つなくてキレイなものだった。
ホッとしている反面、なんかガッカリしたようなこの満たされなさはどうしたものか。
「————シーツを剥がしてベッドに転がる……ってのはさすがになあ」
シーツを剥がした後、またここまでキレイにベッドメイクする自信が自分にはないし、なにより。
そんな行動をしてしまうとここまで築いた遠野志貴というイメージを壊しかねない。
「……あとは枕の下ぐらいか」
そうそう、前から怪しいと思ってたんだ、この必要以上にばら撒かれた大量の枕が!
「————シーツを剥がしてベッドに転がる……ってのはさすがになあ」
シーツを剥がした後、またここまでキレイにベッドメイクする自信が自分にはないし、なにより。
そんな行動をしてしまうとここまで築いた遠野志貴というイメージを壊しかねない。
「……あとは枕の下ぐらいか」
そうそう、前から怪しいと思ってたんだ、この必要以上にばら撒かれた大量の枕が!
「—————では失礼」
ひょい、と左端の枕を取る。
「……む」
と、そこには数冊の本が隠されていた。
「あ、これ前に俺が貸した文庫本だ。それと国語辞典と、流行語辞典……?」
文庫本のタイトルは『翡翠ちゃん反転衝動』。
それとは別に国語辞典があるって事は、意味を調べながら読んでいるってコトらしい。
ひょい、と左端の枕を取る。
「……む」
と、そこには数冊の本が隠されていた。
「あ、これ前に俺が貸した文庫本だ。それと国語辞典と、流行語辞典……?」
文庫本のタイトルは『翡翠ちゃん反転衝動』。
それとは別に国語辞典があるって事は、意味を調べながら読んでいるってコトらしい。
「……ヘンだな。あいつってその気になればすぐに必要な知識を覚えられるんじゃなかったっけ……?」
だっていうのにどうして、わざわざこんな時間のかかるコトをしているんだろう。
「……そういえば先輩が言ってたっけ。真祖は環境から情報を汲み上げるられるけど、そうするたびに自我が均等になるとかなんとか」
周りから知識を受け入れれば受け入れるほど、受け入れた知識に流されてしまう、という事だろうか。
アルクェイドが今のままの自己を保つためには、人間のようにコツコツと知識を得るしかない訳だ。
だっていうのにどうして、わざわざこんな時間のかかるコトをしているんだろう。
「……そういえば先輩が言ってたっけ。真祖は環境から情報を汲み上げるられるけど、そうするたびに自我が均等になるとかなんとか」
周りから知識を受け入れれば受け入れるほど、受け入れた知識に流されてしまう、という事だろうか。
アルクェイドが今のままの自己を保つためには、人間のようにコツコツと知識を得るしかない訳だ。
「——————」
不覚にもグッときてしまった。
無言で枕を戻して、真ん中の枕を持ち上げてみる。
—————と。
そこにはゲームセンターでゲットできるような安上がりな人形があった。
黒髪のぬいぐるみは、遠野志貴の普段着とよく似た服装をしている。
くわえて見覚えのありすぎるメガネまでつけていた。
「っ————————!」
ばふ、と枕をベッドに戻す。
不覚にもグッときてしまった。
無言で枕を戻して、真ん中の枕を持ち上げてみる。
—————と。
そこにはゲームセンターでゲットできるような安上がりな人形があった。
黒髪のぬいぐるみは、遠野志貴の普段着とよく似た服装をしている。
くわえて見覚えのありすぎるメガネまでつけていた。
「っ————————!」
ばふ、と枕をベッドに戻す。
なんか、ものすっごく顔が熱い。
それは例えば、あんなぬいぐるみがどうしてあるのかとか、アルクェイドが自分で作ったんだろうかとか、それとも偶々似ているぬいぐるみを見かけて一生懸命になってゲットしたのかとか、誰かに頼んで作ってもらったんだろうかとか、枕の下に忍ばせているって事は抱いて寝ているのかとか、一人きりのときはなんとなくぬいぐるみに話しかけていたりするのかとか———————
それは例えば、あんなぬいぐるみがどうしてあるのかとか、アルクェイドが自分で作ったんだろうかとか、それとも偶々似ているぬいぐるみを見かけて一生懸命になってゲットしたのかとか、誰かに頼んで作ってもらったんだろうかとか、枕の下に忍ばせているって事は抱いて寝ているのかとか、一人きりのときはなんとなくぬいぐるみに話しかけていたりするのかとか———————
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
顔から火が出ているような熱さに囚われながら、一目散に外に飛び出した。
自業自得とはこういうコト。
……ほんと、明日からどんな顔してあいつと会えばいいんだろう————