□校門前
……路地裏に行ってみよう。
□行き止まり
————路地裏に着いた。
————路地裏に着いた。
……ここに来るのも久しぶりだ。
あの事件以来、遠野志貴はこの場所を避けていた。
ここには残留しているものが多すぎる。
血と闇、死と痛み。
数えきれないほど喪われた命と、思いをはせることさえできないほど失われた思い出。
あの事件以来、遠野志貴はこの場所を避けていた。
ここには残留しているものが多すぎる。
血と闇、死と痛み。
数えきれないほど喪われた命と、思いをはせることさえできないほど失われた思い出。
————それともう一つ。
この手で守らなければならなかった、いつかの約束が眠っている。
この手で守らなければならなかった、いつかの約束が眠っている。
「————————」
今、自分は花束を持っている。
手向けの花の色は椿。
どうしてそんな物を持ってきたのか、誰にその花を捧げるのか。
意味が解らず、自分の気持ちも判らないまま、静かに花を供えた。
今、自分は花束を持っている。
手向けの花の色は椿。
どうしてそんな物を持ってきたのか、誰にその花を捧げるのか。
意味が解らず、自分の気持ちも判らないまま、静かに花を供えた。
路地裏を去る。
……夕焼け時に訪れたせいだろうか。
閉じた目蓋の裏。
赤い赤い坂道と、
おぼろな横顔と、
果たせなかった、あるクラスメイトとの約束が思い出された。
赤い赤い坂道と、
おぼろな横顔と、
果たせなかった、あるクラスメイトとの約束が思い出された。