□七夜の森
———倒壊する樹木。
落ちてくる枝や欠片は、当たり所が悪ければ俺をたやすく仕留めるだろう。
だが———それは、ヤツにとっても同じコトだ。
だが———それは、ヤツにとっても同じコトだ。
「———————行け!」
自らに言い聞かせ、破片が舞い落ちる渦中へと踏みこんだ。
死の雨が降る。
ザクザクと木の破片が背中に刺さる。
それでもそれは致死ではない。
この程度の傷を代償にしてヤツを仕留められるのであれば、そんなもの———�
ザクザクと木の破片が背中に刺さる。
それでもそれは致死ではない。
この程度の傷を代償にしてヤツを仕留められるのであれば、そんなもの———�
【コウマ】
「な—————」
目を疑った。
倒壊していく大木の下、
容赦なく落ちてくる破片を意にも介さず、俺の首を狙う眼光がそこにある————
「な—————」
目を疑った。
倒壊していく大木の下、
容赦なく落ちてくる破片を意にも介さず、俺の首を狙う眼光がそこにある————
「づぁあああっ………!」
咄嗟にナイフを突きたてるが、憂鬱なまでに遅い。
真実、火花を散らして暴走する列車が衝突するかの如き衝撃をともなって、
咄嗟にナイフを突きたてるが、憂鬱なまでに遅い。
真実、火花を散らして暴走する列車が衝突するかの如き衝撃をともなって、
ヤツの魔手が、
俺の顔を圧壊した。
びしり、とも。
ばきり、とも。
そんな半端な、生易しい葬礼の音などしなかったと思う。
ばきり、とも。
そんな半端な、生易しい葬礼の音などしなかったと思う。
全ては一瞬。
もとから遠野志貴の肉体に硬度などなかったかのような横暴さで、
もとから遠野志貴の肉体に硬度などなかったかのような横暴さで、
ヤツの五指は、俺の命を握りつぶした————