————ここが、最後の———!
渾身の力をこめてナイフを撥ね上げる。
体を反らしたままの無理やりな一撃だというのに、それは間違いなく最高の一線と言えた。
針の穴を通す精密さでナイフはヤツの心臓に刺さる。
—————それで終わりだ。
今度ばかりは、俺の方が圧倒的に速い……!
□七夜の森
と。
ずるり、と体が滑った。
もう力が入らなくなっていた左足が泳ぐ。
「な————」
ちょっと、待て。
あとほんの一突き。たったそれだけでナイフはヤツの胸を貫いて、その心臓を打ちぬくというのに————
と。
ずるり、と体が滑った。
もう力が入らなくなっていた左足が泳ぐ。
「な————」
ちょっと、待て。
あとほんの一突き。たったそれだけでナイフはヤツの胸を貫いて、その心臓を打ちぬくというのに————
【コウマ】
「チィ——————!」
叩き込まれる剛腕。
地面に倒れようとする自分に、それを回避する手段はない。
叩き込まれる剛腕。
地面に倒れようとする自分に、それを回避する手段はない。
ゴオン、と。
頭を鷲掴みにされたまま、後頭部を地面に叩きつけられた。
頭を鷲掴みにされたまま、後頭部を地面に叩きつけられた。
—————生き死にの問題であるのならば。
結果は、そこで決定していた。
結果は、そこで決定していた。
すでに後頭部は砕け———さらに、ヤツの五指が握られた。
耳朶に響く、この世でもっとも近い炸裂音。
外界から響く振動ではない。
内界から伝わる振動を聴いて、何もかも粉々に消滅した。
耳朶に響く、この世でもっとも近い炸裂音。
外界から響く振動ではない。
内界から伝わる振動を聴いて、何もかも粉々に消滅した。
後に残ったものは、森に転がる、頭のない死体だけだろう————