目が覚めて軽い眩暈。
いつものコトだと深呼吸をしたら、窓の外には真っ黒いカラスの姿。
気を取り直して学校に向かったら、いつもの道を霊柩車が通りすぎた。
いつものコトだと深呼吸をしたら、窓の外には真っ黒いカラスの姿。
気を取り直して学校に向かったら、いつもの道を霊柩車が通りすぎた。
————空は、目が霞むほどの晴天だった。
肌を焼く強い陽射し。
汗ばむ体を薙ぐ乾いた風。
アスファルトから立ち上る白い熱気と、
路面に張りつく豊かに育った木々の影ぼうし。
そういった様々な事柄が、もうすぐそこまで夏がやってきている事を告げていた。
汗ばむ体を薙ぐ乾いた風。
アスファルトから立ち上る白い熱気と、
路面に張りつく豊かに育った木々の影ぼうし。
そういった様々な事柄が、もうすぐそこまで夏がやってきている事を告げていた。
のんびりと背中をせっつく夏の予兆。
去年の猛暑を思い出してうんざりする反面、なにか楽しげなコトが起きるかな、と期待しているのも例年通りだ。
去年の猛暑を思い出してうんざりする反面、なにか楽しげなコトが起きるかな、と期待しているのも例年通りだ。
額の汗を拭って空を見上げる。
空には眩いばかりの太陽が燃えている。
空には眩いばかりの太陽が燃えている。
学校も休みに入る事だし、夏に備えて色々予定を考えとおかないといけないだろう。
月日が経つのなんてあっという間だし、一度きりの夏を楽しみたいのなら今から用意を周到にしておかなければ。
月日が経つのなんてあっという間だし、一度きりの夏を楽しみたいのなら今から用意を周到にしておかなければ。
—————さあ。
息苦しいぐらい暑い夏が、今年もすぐそこまでやってきている————
□分岐路
「などと格好いいコトを思いつつ、夏の予定なんて何一つ考えていない遠野志貴なのであった、まる」
「などと格好いいコトを思いつつ、夏の予定なんて何一つ考えていない遠野志貴なのであった、まる」
うーん、と背筋を伸ばしながら益体のないことを呟いた。
夏バテには早すぎると思うのだが、ここのところどうも心も体もやる気というものが欠けていて気合がまったく入らない。
「夏休みかあ……今年も暑そうだなあ」
あくびをかみ殺していつもの通学路を歩く。
とりあえず考えつく事といったら、今日の天気なら布団を干せばさぞ気持ちいいだろう、なんて事ぐらいだ。
……まったく、学生の一大イベントを前にしてこのたるみよう。連日の試験勉強で遊び心というものが根こそぎ削られている証拠だった。
「———ま、それも今日でラストだし!」
期末試験最終日、しかも残った科目は二つだけ。
この最後の波を乗り越えれば、明日からは何の気がねもなく布団を干せるというものなのだ。
あくびをかみ殺していつもの通学路を歩く。
とりあえず考えつく事といったら、今日の天気なら布団を干せばさぞ気持ちいいだろう、なんて事ぐらいだ。
……まったく、学生の一大イベントを前にしてこのたるみよう。連日の試験勉強で遊び心というものが根こそぎ削られている証拠だった。
「———ま、それも今日でラストだし!」
期末試験最終日、しかも残った科目は二つだけ。
この最後の波を乗り越えれば、明日からは何の気がねもなく布団を干せるというものなのだ。
□交差点
いつもの交差点に着く。
と、ブレーキ音をあげて道を滑っていくダンプカーが目に入った。
「——————————」
別段、ダンプカーの先に人間が居るわけではない。
信号も何もない所でダンプカーはフルブレーキングし、スピードを殺そうと努力していた。
「—————————」
なんだろう、と思うより先に、危ない、と体が反応していた。
と、ブレーキ音をあげて道を滑っていくダンプカーが目に入った。
「——————————」
別段、ダンプカーの先に人間が居るわけではない。
信号も何もない所でダンプカーはフルブレーキングし、スピードを殺そうと努力していた。
「—————————」
なんだろう、と思うより先に、危ない、と体が反応していた。
足が動く。
相変わらずの考えなしでダンプカーの前へ飛び出そうとした矢先。
「おっはよう、志貴—————!」
なんて、場にそぐわない元気のいい挨拶をかまされてしまった。