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ぼくのコドモ時間06

时间: 2019-12-01    进入日语论坛
核心提示:夏休みに死んだリエのことボクには二人の姉がありました。上の姉がチカコ、下の姉はリエという名で、チカコがぼくの五つ上、リエ
(单词翻译:双击或拖选)
夏休みに死んだリエのこと

ボクには二人の姉がありました。
上の姉がチカコ、下の姉はリエという名で、チカコがぼくの五つ上、リエは三つ上でした。チカコとリエは二つ違いで、ほぼ体格も同じくらいですから、いつもおそろいの(たとえばバンビの絵が大きく入った桃色のセーターだのの)服を着ていて、近所のおばさんに「双子のようだ」と言われたりしていました。
しかし、実際には、二人は顔も性格も、かなり違っていたようです。小学校に上がるようになったころには、着ている服は同じでも、かなり違いが出てきていたらしい。
チカコは学校の成績もよく、美人でした。しかしリエはチカコに比べると、成績も決してよくはないし、顔は……ボクに似ていました。大きくて平べったくて、鼻ペチャで、大口でした。
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「りんごひとくち!」とはやされたりしていました。チカコは、いまとなってはおばさんで、とくに美人というもんではなくなってますが、そのかわり、お人好しの朗らかな下町のオカミさんになりました。
人の一生は劇のようだと言う人がいますが、そうかもしれない。チカコは下町のおばさんの役をするようになって、そういう人になりました。しかし、コドモの時は三人きょうだいのいちばん上のお姉さんで、美人で勝ち気の学級委員タイプの役を振りあてられていたんです。
妹のリエには、そういう姉に対抗意識があったかもしれない。あるいはもともとの性格かもしれないけど、やっぱり、そういう役柄だったんでしょうね、愛嬌《あいきよう》とサービス精神で姉よりも人気者になってました。
「リーボのりんごひとくち!」と男のコが悪口するのも、彼女の人気の故でしょう。大きな口をあけて、よく笑っていましたが、その笑顔も人気のもとだったと思います。ところが、残っている写真を見ると、一様にさみしい表情をしている。口が大きく写らないように、笑わなかったせいかもしれません。
父が入院をしていて、母タカコが働きに出ている時は、チカコがお母さんの役をやりました。ゴハンを炊いて、コロッケにキャベツを刻んで添えたり、おみおつけをつくったりして、ちゃぶ台に並べると、ボクとリーボを呼んで、食べさせます。
コドモばっかりで|ほんとの《ヽヽヽヽ》ゴハンを食べたりするのは、劇をしてるようでとってもおもしろいんですが、チカコは|ほんとに《ヽヽヽヽ》お母さんになってますから、はしゃいでいるボクやリーボが大声で笑ったり、ゴハンツブをこぼしたりすると|ほんとに《ヽヽヽヽ》叱《しか》るんですね。
そんな具合で、ボクはリーボが家族の中でいちばん自分の近くにいる、と感じていたんだと思います。遊びつかれて夕方家へ帰ってくると、井戸端でリーボが足を洗ってくれました。ボクはリーボがやさしく足を洗ってくれるのが好きだった。
薄情なもんで、ボクが姉のリエのことを思い出そうとしても、具体的には、この、足を洗ってくれてるとこ、しか思い出せないの。リーボは小学五年生の時に死人になったんですが、四歳からの記憶としたって五年間はいっしょにいたっていうのに、足を洗ってもらった、だけじゃ、まるで女中のおキヨの話みたいじゃないですか。
「薄情者だね、この子は!」と、リーボが死人になった日に、タカコはボクに言ったんでした。タカコはもちろん泣いています。
夏休みのさ中でした。リーボが腹痛を訴えて入院した。盲腸でした。手術して、回復して、きのう退院してきたんです。リーボの入院していた病室が暗くてこわくて、ボクはあそこからリーボが帰ってきたことを喜んでいました。
リーボが大好きなスイカを、母タカコをせかして切らせ、食べろ食べろ、とボクはすすめたんでした。リーボが、それに静かに笑ってるだけで、いつものように元気にスイカに食らいつかないのがボクには不満だったんですが、ともかくひさしぶりにリーボと会えて、ボクはとってもうれしかったんでした。
夕方になると、リーボが「足洗おう」と言って、ボクを井戸端につれていって、なんだか、とってもていねいに、足を洗ってくれました。夜中、ボクが寝ついてしまってから、姉はまた腹痛を訴えて、再入院をした。
腸|捻転《ねんてん》だか腸|閉塞《へいそく》だったか、姉リエは病院で死人になってしまった。一人で留守番をさせられていた六畳間に、死人は戻ってきて、ふとんに寝かされていたのだったか? あるいは、まだ死体は届いていなかったのだったか、記憶はおぼろげなんですが、家族が泣きくれてる時に、ボクは大声で、
「あしたは登校日だなァ」と言ったんでした。その時に、母タカコが、前述のように言ったんです。薄情者だね、この子は。
「お前のお姉さんのリーボが死んじゃったんだよ、リーボが!」
そうして、タメ息をついてこう言ったんです。人が死ぬっていうことがわからないんだ……このコはまだコドモだから……と。ボクは、その時にひどく反発を感じてたんでした。ボクはコドモなんかじゃないし、人が死ぬことくらい知ってる! バカにするな!
で、ふてくされたように、ボクは押し入れからせんべいぶとんを引き出して、それを一枚だけ乱暴に敷くと、なんだかゴロンとなって、天井をにらみつけていたんでした。大人になったボクには、この時のコドモが「人が死ぬとはどういうことか」わかっていなかった、というのがわかります。そして、プリプリとおこっていたのは、もちろん母タカコに対してでないこともわかっています。
その次の日から、ボクには、足をやさしく洗ってくれる姉がいなくなってしまったわけですが、そのことを本当にわかっていたのか? ボクにはよくわからないんです。そうして、その三年後には、父アキラも死んでしまったんですが、それでも人が死ぬというのがどういうことなのか、本当にはわかっていなかったと思うし、本当のことを言うと、いまでもボクには、人が死ぬってどんなことか、よくわかっていないような気がする。
時々、夢で、父が「実は生きていた」というのをよく見ましたが、リーボが現れることはほとんどなかった。ほら、やっぱり、お父さんは生きていたんだ、何を勘違いしてたんだろ、という夢で、その夢のほうが妙に本当らしい気がするんですね。人が死ぬっていうことは、本当に不思議なことだなァ、とボクは考えています。
ボクは前に、「家庭から死人を出すというのは、たしかに不幸なことではあるが、いいことである。死体を見ておくことはいいことなのだ」と書いたことがありますが、それは、体験すれば死がわかるということではなくて、その逆なんです。身近な人が死ぬと、死が不思議なことだと気がつくからなんですね。
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