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ぼくのコドモ時間07

时间: 2019-12-01    进入日语论坛
核心提示:オトーサンがオトーサンらしかった日の話その日の晩のおかずについては、ボクも、リーボもチカコも知っていました。それにこのコ
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オトーサンがオトーサンらしかった日の話

その日の晩のおかずについては、ボクも、リーボもチカコも知っていました。それにこのコドモたちのオトーサンであるアキラさんも、よく知っていたのでした。どうしてかというと、オトーサンのアキラさんはその日の晩のおかずの「タケノコ」が大好きだったからでした。
コドモたちもタケノコは好きでした。タケノコがおかずの時は、夕方からタケノコの皮をむく手伝いをしたりしたもんです。で、その竹の皮にうめぼしをはさんでしゃぶって竹の皮の色が赤く変わるのを見て遊んだりしました。こないだオトナになってから、これやってみたんですが、
「アレ?」って拍子抜けをするような気分でしたね。コドモの時は、もっとこう、もう少しなんかこうおもしろいことが起こったような気がするんだけど、たしかに竹の皮の色は変わったし、よく見ると、とっても複雑なキレイな色なんですが、こんなもんだったかな、これだけのもんだったかな? って、なんだか違うのね。
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それはそれでいいんですが、その日のタケノコは、たしか皮はもうむいてあったと思います。オカーサンのタカコが「きょうはタケノコだよー」とコドモたちに言って、あっち向いて本かなんか読んでたアキラさんも、ピピッとそれを感じてる……みたいな時間があったわけでしたが、そのすぐあとに「じゃ皮むくよー」と言って�うめぼし皮つつみしゃぶり�に突入しようとしていたコドモたちのアテは、はずされちゃったわけでした。
で、その、あらかじめ皮はむいてありましたのタケノコが、煮つけられて、おかずで出てきたとこを、まず想像してみてください。丸干しの鰯の焼いたのなんかと、おしんこ、みそ汁にごはん、で、タケノコの煮つけです。
「いただきまーす」って家族五人で唱和して、さて、とおもむろに、タケノコをつまんで口にもってったオトーサンのアキラさんが、
「ん!?」と、ちょっと不穏な声色で疑問を呈しました。で、いまかじったタケノコを皿に戻して、もう一つちがうタケノコをかじってみたところで、ガゼン、顔がけわしくなっちゃって、
「な・ん・だ・こ・れ・は」とタカコさんのほうにグイと首を曲げて、にらみつけてます。タカコさんはオヤ? って顔で、
「なんですか?」
「なんですかじゃない!」これが食えるのか、食えるものなら食ってみろってんだよ、とオトーサンはカンカンなんですね。で、ボクはタケノコを食ってみた……ら、これがもう、もんのすごくカタイの。どうしたんだろ? っていうくらいのカタタケノコなんですよ。
「食ってみろ!」とオトーサンはまた少し大きな声になって、命令形であります。タカコさんが食ってみると、これはまァ、誰であってもカタイんですよ。〈イヤイヤー、こりゃ失敗、失敗〉っていう顔になってます。でも、タカコさんも強情なところがありますから、すぐほきだしたりはしないのね。なんか平気なような顔で口ン中モグモグしてます。
「こんなものが食えるわけはないだろう、これは|竹の子《ヽヽヽ》じゃねえ! |竹の親《ヽヽヽ》じゃねえか。いつ俺が竹ざおが食いたいと言ったんだ!」と、アキラさんは、こんな時にもダジャレのようなことを言いながらおこるんでした。そうして、箸《はし》で、一キレ一キレつまむと、ピッ、ピッとそれをはじき出すんですね。お膳を飛び越して、座敷の畳の上にタケノコ(のかたいやつ)が散乱します。三人のコドモたちは箸を持ったまま、タケノコが飛んでいくのを見ているんでした。
アキラさんは、ボクが物心つくころには、もう横になっていました。横になって一家に君臨していたんです。我が家では大黒柱は横たわるものだったんでした。オトーサンはとってもおっかない人で、どうしてかというと、非常に声がでかくて、顔がこわかった。短気でおこりっぽくて、気が強かった。コドモだけでなく、家に訪ねてくる人みんなが、アキラさんのことをこわがっているようなんでした。彼が死んだのはボクが小学五年生になった時だったということもあるんでしょうが、ボクはついに、オトーサンに口答えをしたことがありませんでした。(ボクが中学、高校、社会人になっても、年上の人に反抗的気分を持っていたのは、このことと少しは関係あるのかもしれません。)
ボクの家では、オトーサンは病気なのでいつも寝ています。セビロを着て、中折れ帽をかぶってカバンを持って、朝会社に出かけません。
〈うちはフツーじゃないんだな、残念だな〉とコドモのボクは思ってたんだと思います。それが証拠に、ボクはオトーサンが、絵に描いたようなオトーサンをしてくれた日のことを、ものすごくよく覚えているんです。
その時オトーサンは、セビロを着て帽子をかぶっていた。その上カバンを持っていて、
「じゃあ、行ってくるよ」と言って玄関の戸をあけて、空を見上げたりしたんでした。秋晴れのまっ青な空に、赤トンボがスイ、スイーと、飛んでいて、表札のところにとまったんです。
「あ」トンボだ、オトーサン、トンボだよと言いたかったボクの顔を見て、オトーサンは丸く刈ったつつじの植木の上に、フワリとカバンを置くと、片手に帽子を持って、人差し指をクルクル回しながら、表札にとまったトンボに、そおっと、そおっと近づいていったんです。クルクルクルクルと指を回しながら。パッと赤トンボが飛びすさったかと思うと、スイッスイーッと飛んでいってしまいました。オトーサンは帽子をそのままかぶると、アッサリ、そのまま、じゃ行ってくる、と言って何事もなかったように去っていくんでした。
そうして、コドモのボクもまた、赤トンボに関しては、ごく淡白な気持なんでした。逃げられて残念だとか、オトーサンはトンボ捕りがじょうずでないな、とかといった感想はまるで持っていなくて、ただ、そのあまりにも、モロに典型的のよくあるオトーサンのイメージが、とてもほこらしいくらいな、ハレバレとする思い出になっているんです。
自分のオトーサンには、他所《よそ》んちのオトーサンとは違うカケガエのないよさが、あるはずなのに、お膳をひっくり返すような、トンボを捕ってくれるような、そういう、どこにでもあるような、まるで蚊取り線香のブタのようなオトーサンが好きだなんて、変な話ですよねえ。
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