日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

笑う茶碗16

时间: 2019-12-05    进入日语论坛
核心提示:ホタルがいっぱい「まさか! かぐや姫?」と小学五年生の私は思った。庭の笹の葉の一枚が、ピカーリ、ピカーリと光っていたから
(单词翻译:双击或拖选)
ホタルがいっぱい

「まさか! かぐや姫?」
と小学五年生の私は思った。庭の笹の葉の一枚が、ピカーリ、ピカーリと光っていたからである。
そばに寄って注意深くそおーっと葉の裏をめくってみると、そこにいたのはかぐや姫じゃなく、どうやら「単なる蛍」だった。
しかし、私が単なる蛍の実物を見たのも、その晩が初めてだったのだ。単なる蛍は、まるで息をするようにピカーリ、ピカーリと光っていて、私はその晩のことを鮮やかに記憶した。
「そうかあ、じゃあしんちゃんに蛍のたくさん飛んでるとこ、見せてあげたいねえ」
と、レクリエーション部長はそう言って、もう十数年を経ていた。
それが突然やぶから棒の計画が発表されたのだ。長崎県の五島列島に蛍ツアー、参加人員は計二名。
即座に計画は実行に移されたが現地の蛍情報はスコブル悲観的だ。
「大体がですね、湿気のあってムシムシする夜がいいとですよ、雨の降りよる前とかですね、八時から九時くらいが、よく出るとですばってん、今日みたいに空が晴れよると、あんまり出なかですばってんが……」
「運転手さん、そう言わず……東京からわざわざ来ましたばってんすから……」と私は言った。
「雲もちょっとは出てきたばってん」とツマも言った。
出るときは出るんですよねえ、いっぱい!!
「ハイ、そりゃあ出るときはもう、気持悪かごと出よりますばってんが、今日は、晴れとるばってんね」と運転手さんは、あくまでばってんなのだった。
急にあたりが暗くなって、目的の川のそばへ来たらしい。と、
「あっ、いた! いたいたいた!」
とツマが第一蛍発見!! ただちにワレワレは橋のそばでタクシーを降りた。
まだ八時には、ちょっとあるというくらいな時分だ。九時までここにいるので、その頃にまた迎えに来ていただくことにした。
しばらくすると、はたして、蛍は次々と出て来たのである。
あたりは真っ暗、街灯もなく、廃屋があるばかり、田んぼの向うに工場めいた建物があって、わずかにそこの灯りが見えるくらいだ。
蛍を見るには絶好の条件だが、その晩は妙に気温が低いのだった。浴衣がけで来るつもりで用意もしてきたが、寒くてとてもそんな風流はしてられない。
空はたしかに晴れていて、星が降るようだ。そうして、ほんとに星が降ってきたみたいに山陰の暗がりを、蛍が飛んでいる。二〇匹から三〇匹くらいか、私がいちどきに見る蛍としては、史上最多。十分納得できる数である。
「いいねえ、風流だねえ」
と私は、すこぶるよろこんでいる。
「いいねえ、風流だねえ、でも寒いねえ」
とツマ。たしかに寒い。そろそろ、迎えの車に来てほしい時間になっていた。
ところが、これがいっかな来ないのだ。辺りは真っ暗で、人も車も通らない。いよいよ「ここで一晩野宿になるか?」と決意した頃、約束の車がやって来て、第一夜は無事に終った。
第二夜。実はこっちのほうが「本命」のつもりの隣町。昼間は一日、上五島の教会見物で時間を潰し、腹ごしらえのすし屋で情報収集。ところがどうも思わしくない。
「あそこは河川ば、いじりよったけん、あんまり出なかとですよ」
第二夜の運転手さんも同意見だ。しかも、昨夜我々が見たあたりが運転手さんの地元で、どうも、地元をヒイキしてる様子である。
「あー、全然出とらん、比較にならんとですよ」
とくさすのだ。たしかに、昨夜のところのほうが、蛍の出がいい。急遽、引き返すことにした。
「ホラホラホラ、ホラホラホラ、ホーラホラホラ」
と運転手さんが騒ぐのは、ヒイキの場所についたからだった。いると言うのだ。
たしかにいる。昨夜よりさらに多い。ホラホラ、あすこにも、ホラここにもホラホラホラ、と、たしかにいるのだが、あんまり騒ぐので可笑しくなる。
運転手さんは、地元のほうが蛍が沢山でトクイなのだった。全然比較にならんとですよホラホラホラ。
「あ、コービしよる。アララ、消えたね、電気ば消しましたかね。あはは」
とムチャクチャ陽気だ。楽しい人なのだ。ちょっと楽しすぎるかもしれない。
と、軽自動車がやってきて止まると、バタンとドアの音がする。
地元の人らしいおばあちゃんとその連れ二人。おばあちゃんの大きな声。
「あ、ゼーンゼン出とらん! 見るまでもなか、ゼーンゼン出とらん!!」
そして、またバタンとドアの閉まる音がして、その間二〇秒。軽自動車はとっとと帰ってしまった。
出とらんことはないのだ。一面に蛍である。
「こんなに出てるのにね」
と運転手さんにそう言うと、やや曖昧な間があった。本当はあんまり出とらんと思ってるらしかった。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%