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笑う茶碗19

时间: 2019-12-05    进入日语论坛
核心提示:初めての断髪式国技館に異様なメンバーが揃っていた。いとうせいこう、泉麻人、安西肇、えのきどいちろう、山田五郎、松尾貴司、
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初めての断髪式

国技館に異様なメンバーが揃っていた。いとうせいこう、泉麻人、安西肇、えのきどいちろう、山田五郎、松尾貴司、ナンシー関、しりあがり寿、久本雅美、柴田理恵。
一人一人が異様というのじゃない。ここが国技館で、これから元・前頭筆頭の敷島関の断髪式が行われようとする、その会場だから異様なのだった。
そこだけ浮いている。
「いま、特攻旅客機が突っ込んできたら、日本のサブカルチャー壊滅だね」
とだれかがいった。
「これでタモリさんがいれば、タモリ倶楽部一〇本分、撮り溜め出来る」
という人もいた。
たしかに、タモリ倶楽部によく出てる顔がズラリだ。
スカパラもいる、スチャダラパーのアニ、ボーズもいる。朝倉世界一もいる。しかし、なんという名前だろう。有限会社さるやまハゲの助・しりあがり寿って、名前が世間をなめきってる。
私より、ひとまわり年代の若い、このへんの人達って、ふざけてていいなァ、こうしてダークスーツや礼服着て、こういう、ふざけた陽気な名前の人々があつまってるっていうのは、とってもたのしい。
みんな、敷島のトモダチなのだった。敷島がおすもうさんには珍しいシブイ趣味で、ワハハ本舗の芝居やスカパラやスチャダラパーのコンサートに足を運んでるうち、トモダチになったらしい。
私は、えのきどいちろうさんの、仲人ということで、おミソみたいに仲間に入れてもらってる。
おすもうさんのトモダチになれた時はすごくカンゲキした。なんといっても、おすもうさんというのはトクベツだ。
トモダチになったおかげで、敷島関には、曙や武蔵丸や琴錦や千代大海を、支度部屋で、すぐそばで見せてもらった。
だけでなく、並んで写真も撮ってもらった。カンゲキした。
以後、東京で場所があると、かならず四人で出かけて、叫んだ。
「シ、キ、シ、マあああ」
何回も大声で叫んで、場内がいぶかるくらいなのだ。敷島は、すごくいいヤツなのだが、みんなはそれをよく知らないのでいぶかるのだった。
いいヤツなだけじゃなく、敷島は横綱・貴乃花に二場所連続で勝つくらいに強かった。強いだけじゃなく、コメントがおもしろいので記者たちには「コメント横綱」と呼ばれていたのである。初めて貴乃花に勝った時、
「勝っっっチャッタア」
といった。コメントがおもしろいのは頭がよくてセンスがいいからだ。ワレワレは敷島のファンだった。
ワレワレは、冒頭にあげた、サブカル勢だ。こんなに偏向したファン層を持つおすもうさんも少ないだろう。
みんな敷島の断髪式にやってきた。むろん、敷島のファンだからだが、断髪式なんて、そうそうできるイベントじゃない、こない手はない。
なんてったって、ほんもののおすもうさんの断髪式なのである。
「あれ、ほんとに切っちゃっちゃダメらしいよ。形だけにしないと、何百人に切らすんだから」
「いや、俺が聞いたんでは、ちゃんと切ったってよ」
「どのへん?」
「マゲはダメなんだよな、あれは親方が切ることになってるから」
「順番どうすんのよ?」
「後援会のエライ人が済んでから、アイウエオ順」
「ってことは、朝倉世界一か」
「泉さん、いとうさん……アッ、えのきどさんも、もう用意しといたほうがいいんじゃないの」
「おじぎは何回かな」
「日本人の大人として、恥ずかしくない程度の常識をはたらかしてだな」
「俵はふむなよ」
「キンチョーするなァ」
「笛の試験みたいだなァ」
「お焼香にも似てる」
「常識が試されるね」
「どこ? どのへん切るの?」
とかいってるうちに、断髪式はトントンと推移していく。
アイウエオ順に名前が呼び出されるけれども、次々に読み上げられるので、土俵上にあって、一礼、二礼、金色のハサミを行司さんにわたされて、マゲの下、タボのあたりにハサミを入れて、土俵上のじゅうたんにそってハケてく人と、名前とが同調しない。
アイウエオ順だから、見当をつけて、土俵下にスタンバってればいいのでそんなにあわてることはないのだナとわかった頃に、どんどん自分の番が近づいてくる。
みんな、ちゃんと常識人として、とどこおりなくやれてるみたいだ。
ハサミを入れ終ると、正面を向いたなりの関取の肩にふれて一言二言、ふつうは何かいうものらしい。
私は結局、キンチョーしてたらしくて、ねぎらいの言葉をかけるのをわすれてしまった。そのかわり髪は一センチくらいの束をバッチリ切った。よ、よかったのかな?
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