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笑う茶碗22

时间: 2019-12-05    进入日语论坛
核心提示:日比谷公園のカエル「やっぱりいたよ」とツマが言った。やっぱりいたのである。「去年とおんなしトコにいたりしてね」と話してい
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日比谷公園のカエル

「やっぱりいたよ」とツマが言った。やっぱりいたのである。
「去年とおんなしトコにいたりしてね」と話していたトコだったのだ。
去年、われわれは同じ頃、同じように有楽町のレバンテでカキを食べて、梅の香を聞きに日比谷公園まで足を延ばしたのだった。
入口を入ってすぐ、ちょうど池を回り込むように左に折れると、道のまん中にそれはいた。いたというよりコンモリあった。
だから初めは、コンモリあったりするようなモノに見えたのである。が、近づいてよく見てみると、それはウンコではなくカエルだった。
まったく動かない。まったく動かないくせに道のまん中である。
「こんなところで、動かないでいたら、ダレかに踏みつぶされちゃうよ」
とツマはカエルに話しかけた。カエルは日本語を解さないのか、目をつむって、口はへの字に閉じたままだ。
ツマはそれを、ヤッとつかむと、カエルが向かおうとしていたらしい草むらのあたりまで連れていって、そこで放した。
そんなことが去年あったのだ。同じように、カキを食べて、腹ごなしと梅見をかねて、日比谷公園までやってきた。
「そういやさ、去年もこんなことがあったな」
「うん、で、カエルがいた」
「あー、カエル、ぜんぜん動かない置物みたいなカエルな、去年とおんなしトコにいたりしてな」
と話しながら、入口を入って、左へ曲がったのである。まるで、去年にタイムスリップしたように、そこに動かぬカエルがあったのだ。
「あ、どうも」とわたしはいった。
「どーも、どーも」とツマはいった。カエルにアイサツしたのである。
カエルはまるでカエルのツラにションベンかけたように、無反応なままである。
「どうなんですかァ」と、私はカエルの背中に手をまわした。っていうか指をそえた。
「どう」っていうのは、まァ今年の陽気の具合とか、体調とか、そういうことだ。そんなに深く考えなくてもスグ答えられる、そういう質問である。
カエルの表情をのぞき込むと、不機嫌そうにも見え、ゴキゲンそうにも見える。まったく無関心というのがいちばんピッタリなのだが。
カエルの背中は、とてもチベタイのだった。たとえていうなら、冷蔵庫から出してきたコンニャクを触っているようだった。といって私は冷蔵庫からコンニャクを出してきて触ってみたことはない。
カエルも、そんなに触ってみたことはないのだが、ツマが平気でつかんだり、つかまえたりするのに影響されて、カエルの背中に手をそえながら、どうかね? とねぎらうくらいのことはできるようになった。
ツマはカエルが好きらしい。カエルの置物とか、カエルのぬいぐるみとか、カエルの絵のついた便箋とかを買ってきたりする。
「しかし、まったく動かないね、意地でも動かないつもりらしい」
「冬眠からさめて、まだ半分眠ってるんじゃない」
「じゃ、なんだってこんなとこまで出張ってくるのかね」
「だから、まだちょっとネボケてんのよ」
と、ツマはあくまで、カエルの身になって答えるのだった。ハッとしてツマをよく見てみたが、別段変化はなかった。あんまりカエルに同化しているので、カエルになったかと思った。
カエルが無反応なので、私はカエルのあちこち、を触ってみた。頭とか、脇の下とか、うなじ(ってどこだかわからないが)とか、どこを触っても無反応なのだが、案に相違して脚にちょっと触れると、
「もうー、やめてくださいよお」
といった風情でカエルは動くのである。脚を触った時だけ、カエルは身じろぎをする。
ところが、その時、片足だけひきずったような形になると、その形ナリに動かなくなるのだ。
あたかも……えーと、あたかも、ダルマサンガコロンダをやってるような具合にだ。
そんなふうにして、いいオトナが二人、しゃがんでカエルを見ながら、長時間、ああでもないこうでもないと話している。
「いいねえ、のんびりして……」
「来年また、くるかもしれないね」
こんな時間を、けっこう憶えてたりするんだよな、など話しながら、梅見に行く。梅はまだ一分か二分といったところ、しかも、風流なホームレスが、ダンボールでヤシキをつくって占拠していた。
日比谷公園を一巡してみると、カエルが道に出てじっとしてるケースは、この晩三件であった。
うち一件は、なんと水銀灯の下でセックス中であったけれども、かといって、二名の者、じっと動かない。いったんやりすごして、つまりダルマサンガコロぶ要領で振り返って見たのだが、二名の者はじっと身じろぎもしないでその体勢なのだった。
「いい晩だったねえ」
とわたしはいった。ツマもそう思っているらしかった。月も出ていた。
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