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私の部屋に水がある理由14

时间: 2019-12-07    进入日语论坛
核心提示:男の子の話は最後の三行かも鈴木清順監督の新作『夢二』を二回も見ちゃった。面白い! 綺麗! 叙情派! 大人のエンタテインメ
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男の子の話は最後の三行かも

鈴木清順監督の新作『夢二』を二回も見ちゃった。面白い! 綺麗! 叙情派! 大人のエンタテインメント。すっかりかぶれて夢二の画集を四冊も買っちゃったわ、あたし。二度目の試写は鉄拳ボクサー・大和武士と行ったんだけど、ヤマト、また試合やるそうだから、みんな見に行ってあげてちょ。と言いながら、生の格闘技をまだ一度も見に行ったことのない私。友だちの格闘技試合って、見てるのすっごくつらいんだってねー。誕生日が同じだとはいえ、えらいのと友だちになっちゃったようん、しくしく。今からなんだか祈るような気持ちだ。しかし、それにしても漫画家野球チーム、『ドーバーズ』(メンバー・とがしやすたか、若林健次、吉田戦車、朝倉世界一、山田芳裕、岩谷テンホー、喜国雅彦、天久聖一、あと、タナカカツキ……を知らない人は私の『僕は月のように・2』を買おう。光文社刊! ほか。敬称略)の連敗記録はなんとかなんないんですかね、とがしセンセ。とがしじゃないの? いちばん野球キャリアの長いのは。
それはともかく私の事務所にイグアナが来た。ビッグヘッドイグアナという。まだ十五センチくらいで、そんなに頭が大きいようにも見えないけど、これからもしかして頭の占める割合が大きくなんのかしら? 茶色くて、首のところにキュートなぶち。薄目を開けて首をかしげて思いを巡らせている様子が良いの。こないだマタマタ(これはカメの名)がまた突然死んじゃってさあ、寂しかったのよね。野生もので紅くてきれいだったのに。マタマタは難しいなあ。カエルはみんな元気で、打ち合わせ中も、
「けっけっけっけ」
ってよく鳴いてるけど。みんな、
「今のは何の声ですか?」
って聞くから、その度、
「カエルに笑われてるんです」
って説明してる。そういえば打ち合わせ中によく鳴くな。ひとけがあると鳴きたくなるのだろうか?
鳴かないベルツノガエルもあいかわらず元気で大きい。あと最近買ったのはレッドテールキャットの幼魚、十センチ大。前にもいたけど、こんなに小さいのは初めて。顔がオバQみたいで可愛い。
「これ一メートル以上になるんだよ」
って言うとみんな驚く。
 そろそろ男の子の話にしようね。
まったく、原稿は超遅れてるくせに、そのことは棚にあげて落ちてこないようにガムテープでぐるぐる巻きにし、少年編集者Fの集めたデータのファクスに、
「こんなの参考になると思ってんの?
編集者向いてないんじゃないのあんた。仕事に手ェ抜くんじゃないわよ」
などと文句つけて、とがしに、
「Fくん可哀そうだよう」
と言われている、そんな今日この頃の私だからさ。ああねえ。ほんと言うと一回会ったっきりで、とっくの昔に顔も忘れてしまった少年F。私は以前彼にそう言った。
「もう君の顔、忘れちゃったわ。一回しか会ってないんだもん。原稿は全部ファクスで送ってるし、打ち合わせもしないし」
すると彼はこう答えた。
「じゃあ僕の写真をファクスで送りましょうか」
少年Fよ。私が、それどういうこと、と責めたら君は、冗談で言ったんですよと言っていたけど、もし、私の会社で、社員が会社のファクスを使って、私の仕事相手の人に自分の写真を送っていたら、社長の私は迷わず後ろから延髄切りだ。言っとくけど私は小井編集長の顔は忘れてないぞ。
 ファクスってそりゃ便利だけどさあ。前にも、某F社の漫画誌Aの担当の編集者が代わったとき、
「私が新しい担当のHです。次のしめきりは○月○日、○ページ」
ってファクスだけが事務所にやってきたことが、あった。そこは、私の仕事の場所中最も私を冷遇しているところだったので、大して驚かなかったけど、あんまりわかりやすくて面白かったし、その頃やってた朝日新聞のコラムにそのことを書いたの。そしたら、どーせ読んでないと思ってたら、前の担当者の人が読んでて、次の担当者と二人で、挨拶にやって来た。私はかえって驚いちゃって、
「なになに、やっぱ朝日新聞とかに書かれると会社で叱られたりするわけ?」
と逆に彼らにインタビュー。まあ、そんなことはありませんがみたいなことを言ってたけど。しかし驚いたのは、そのときの新担当者が、普通の人間同士のうけこたえをせず、じっと黙っていたかと思うといきなり、
「それでは改めて最初からご挨拶させていただきます! 私はこの度新しく担当になりました、Hと申します!」
とやり始めたことだ。
「知ってるよ、そんなの……何なの、それ?」
と言うと、
「いえ、だから、最初っからやりなおそうと思いまして」
不思議な人もいるもんだけどさ、何かね、コンピューターのゲームみたいに、電源を一回切れば、何事もなかったように最初っからやり直せると思っているわけよ。自分が失敗しちゃったことは無かったことにしたいわけ。でも、こういう子、多いみたいよ、最近は。別にいいけどさ、つきあわないから。そこの仕事、もうやめちゃったもん。だいいち、前の担当者の人がもともと、電話もかけずに、
「次のしめきりは○月○日、○ページ」
ってファクスだけを送ってくる人でさ、それでいいと思って真似したわけよ、その子は。割とご機嫌な編集部でしょ? みなさん、お忙しいのよ。
やっぱ、あたしはもっと遊んでくれる人と仕事したいなー、って、なんだか矛盾した言い方かしら。でも、最近の担当の人たちは割とみんな、そうかもしんない。なーんて、仕事の話じゃあんまし色気ないね。
男の子の話、か。そうね、最近、あたしのこと大金持ちに違いないって勘違いしている男の子がたまーにいるのが、ちょっと嫌ね。なんか、たいして親しくもないのに甘えてきたりさ。どっちがおごっても別にいいけどさ、その辺の空気読めない子は男女問わず失敗するよね。
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