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私の部屋に水がある理由45

时间: 2019-12-07    进入日语论坛
核心提示:仕事抜きでそれは、私が漫画家になったばかりの頃だった。テレビの取材が入り、カメラが私の仕事場に持ち込まれた。漫画を描いて
(单词翻译:双击或拖选)
仕事抜きで

それは、私が漫画家になったばかりの頃だった。
テレビの取材が入り、カメラが私の仕事場に持ち込まれた。漫画を描いているところや、部屋の様子(その頃の仕事場はあるアパートの一室であった)などを撮影され、VTRにまとめられた。番組の中では、VTRだけでなく、私もスタジオに行って話をした。
その頃は私の漫画というと、セックスシーンのことばかり取り上げられることが多く、VTRのディレクターの人には、
「ちょっと、おっぱいにペン入れして下さい」
なんて言われたりもしたが(ブゼンとしていたら、あっ、やっぱりいいですということになった)、番組の司会の人は、そんな人ではなかったので、結果としては気持ちのいい仕事だった。
同じようなテレビの仕事がその後もうひとつ続いたので、エッセイを書いていたある雑誌の担当編集者に、
「内田さんの体験したテレビの世界、というテーマにして、今月分を書きませんか」
と提案され、そうすることにした。
そしたら、それからしばらくして、
「読みましたよ」
とVTRのときのディレクターから電話がきたのだった。
「いやあ、ああいうふうに書かれちゃうと、どうやって作ってるかすぐにばれちゃいますねえ」
となんだか嬉しそう。へんな人だと思っていると、
「僕こんど違う番組やることになったんですよ」
という。
「そうなんですか」
「そうなんですよ。今度、仕事抜きにして会いましょうよ」
「はあ」
撮影中、私とその人が個人的に意気投合したということもなかったので、少し不思議な言い方だと思ったが、その時は、まあそういう口ぐせでもある人なのだろうと、たいして気にもしなかった。
ところが、またそのことで、
「どうですか、いつごろ時間ありますか」
と電話をもらい、本気で言っているのがわかった。そのときもなんとなくお茶をにごして電話を切ったが、どうしてこういう誘いを受けるのかわけがわからなかった。他にそういう例がなかったからだ。とこう書きながら、実はもうひとつ似たようなことがあったのを思い出してしまったわ。
それは、Aという週刊誌の取材のとき。夜おそくなってしまったので、どこかへ行って何か飲みましょうと言われ、その取材記者のいきつけの店に、アシスタントの女の子と二人で行って取材を受けた。とてもいい人だったし、記事にも別に文句はないのだが、あとになって、
「僕ね、A新聞の埼玉のほうに異動になったんだよね」
と深夜に、酔った声で電話があったりした。たぶん、どちらの人も、仕事で私に会っているうちに、なんとなく友だちにでもなったような気になってしまったのだろうが、私のほうにそういう気が残っていないのは、一体なぜなのだろう。
 今考えてみると、私の仕事場が会社になり、事務所ビルの一室になり、男子マネージャーや男子社員がいるようになってからは一度もそのようなことが起こっていない。アパートの一室に、女一人あるいは女二人で作業しているところへ入っていっただけで、自宅へ上げてもらったような気になったのだろう。それではまるで私の仕事場はお座敷バーじゃないの。一度しか会ってなくて、話が合ったわけでもないのに、「仕事抜きに」と言うのも、相当な失礼。長いキャリアがあって、たくさんの仕事の場を経験している人ならともかく、まだまだ女はいろんな仕事の場を欲しがっていると思う。心ある男性なら、よほどこっちが性愛方面だけに水を向けない限り、仕事を与えてくれるものだ。それを補って余りある人徳がある場合は別として、だれがそんなに簡単に仕事抜きで会いたいと思ったりするというの。女の労働意欲を甘く見ないで欲しいよね。
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