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私の部屋に水がある理由68

时间: 2019-12-07    进入日语论坛
核心提示:私の無名時代──今は有名こういうタイトルの仕事を受けたのは私なんだから、今の状態を「有名状態」なのよと思ってしまうことに
(单词翻译:双击或拖选)
私の無名時代──今は有名

こういうタイトルの仕事を受けたのは私なんだから、今の状態を「有名状態」なのよと思ってしまうことにした。確かにパーティーなどで自己紹介すると、「ああ!」とか「知ってますよ」「読んでますよ」とか言われることがあって嬉しい。もちろん「へー、漫画家……」の時も多いけど。でも、珍しがられるのはもう慣れた。最近やなのは、
「何に描いてるの?」
ってやつ。「有名雑誌に毎号連載、それさえ見ればいつでも載ってます方式」じゃなくて、単行本中心に仕事考えてるから(これ、なんだか漫画家では少数派なんでやんす)すげー困る。漫画の単行本なんて買ったことない人って、いっぱいいるらしいしさあ。小説家のかたってそんなこと聞かれますゥ?
たとえば俳優の人に、
「へー、何に出てるの?」
って聞いたら、相当失礼だと思いません? 別にいいけどさ、説明してまでわかってもらおうとは思わないじゃん、普通。ま、いいや。無名時代ね、無名時代。
でも、今を有名状態としたら、名が無いどころか、人間でも無かった時代まであるかもしんないなー。ちょっと大げさ? でもほら、極端なこと言えば、公園とか神社とかで寝てたし。そう、家出して。そんなに長い期間じゃなかったんだけど、その後、歳だの名前だの大嘘ついて、女中として雇ってもらった家で、服貸してもらって、今まで着てた服を洗濯機に放り込んだら中の水が真っ黒になった、あれは驚いた。
このことは、前にも私の一冊目の単行本のあとがきに書いたんだけど、そしたら「この本の中で一番感動的なのはあとがき」なんてひどい評を書かれたことがある、誰が書いたんだか忘れたけど。何だかなーっ。嬉しくないよねそんな評。私のバンドのライブで、アンケート用紙を配るじゃない。そうすると、バンドがわかんない子って、たいてい曲でなくてMC(おしゃべり)について書くのよ。あれと同じかね。別にいいけど。その時、その単行本のことをいろいろアドバイスしてくれた人に、面白いから書けばと言われて書いたわけだから、その点成功したと言えば言えるわけだし。
でもまあ、皮肉でなくほんとにそうだったんだと思う。だってそれで珍しがられて取材とかされたもん。へーなんて思っちゃった。世の中の人にとって家出とか野宿って、すでに死語だったのよ、あたしったら時代おくれ。それに気付くまで結構かかったなー。だって、珍しいから取材されてるってことがわかんなかったの。へー、本出したりすると、こうやって取材されるのかー、て最初思ってたからね。話聞きにくる人の反応とかでだんだんわかってきたの。それとか、漫画の学校みたいなところに呼ばれて、「どうやって漫画家になったか」みたいな話をした時の生徒の反応とかね。あたしが、
「えーまず高校行って半年で家出しちゃいまして、連れ戻されたりして試行錯誤しましたが、結局それきり戻ってないんですけどもー」
まで言ったあたりでみんな、すーと真顔になっちゃう。話が終わってから、
「元気が出ました、頑張ります」
って言ってきてくれる子もいるんだけど、たいがいは、
「漫画家になるってェ、そこまでしなきゃいけないわけェ……」
って、なんか暗い気持ちになっちゃうみたい。それを知ってから、そういう漫画の学校に呼ばれて話をする時は、別の話題にしたり、私とぜんぜん違う方法で漫画家になったゲストに来てもらったりして、話を極端な方に持っていかないように気をつけることにしているの。極端っていうのはそうやって学んだ価値観から言ってるんだけどもね。
でもわかんないなあ。漫画家の世界って今でもなんだかよくわかんない。最近は同業者の友だち増えたけど、前なんかぜんぜんいなかった、話合わなくて。第一、同業者の友だちが欲しくてパーティーに出席しても、誰が誰だかわかんないし、みんな小さなかたまりになってまわりを窺《うかが》ってるだけで声かけあったりしないし、たまに声かけあっても連絡先交換するまで行かないし、もしそこまで行っても、そのそばで同業者のくせに、
「あれ、誰」
「知ってる」
とかつぶやいてるやつらはいるしで一時期ほんとに嫌になった。自分のいる業界の恥を晒《さら》すようだけど、ほんっと、嫌だった。パーティー行けない病にかかった。でもすぐ治ったけど。
時の流れというのは無情のようでありがたいとこもあるもんで、今どきの漫画家はフツーの人も増えた。ああ、やな言い方だ、ほかに無いんだろうか。でも、「知らない人にも挨拶出来るような人」「げ、何こいつ、と思われない程度の身なりをしている人」とか言ったらかえって嫌でしょ、って言ってるじゃねえかっての。まあいいや、ほんと最近は、居心地良くなりましたよ、みんなオトナで。そうでもないかな。どうなんでしょうね。
でもまあ、こうして、こういう無名の頃は、なんて文章の仕事が来るのは嬉しいって思いますよ。そういえば、ホステスやクラブ歌手してた時に、よせばいいのに、自分の名刺の裏に、お客の似顔絵描いてたわ。ほんと、よせばいいのに。途中から止めようとしたんだけど、周りの子たちが、「あの子、似顔絵描くんだよ」とか話題にするから結局描かされたりしてね。駄目だったなあ、どんなに良く描いたつもりでも嫌な顔されたり、破かれたりすんの。破かれた時のシチュエーションって、今でも結構覚えてるような気もするな。破く人に限って、絵描けるんだって? 俺の顔描け、とか自分から言い出した人が多いの。この先、そういう人と会って話す機会なんか出来たら、どうすんだろうなあ、あたし。あるかもしんないな。テレビとか出るような人でも、そういう人、いたし。でも、こういう話は、いかにも「無名の頃」って感じがして、いいよね。
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