私の場合、造りが美しい訳じゃなく、全体のバランスや、顔筋の動かし方その他から、良く言えば親しみやすい、悪く言えばなめてかかってもいいような印象を与える顔。「一発お願いしたい軽薄美女」と言うやつなのよね。
もうとにかくこの顔のおかげで、人に声を掛けられることが多いね。一人で歩けばすぐにナンパされる、道を聞かれる、勧誘される、アンケート取られる、ブティックでは店員と間違えられる、駅では切符の買い方聞かれる。老若男女問わず。黒革ジャン黒革ミニに網タイツに十センチピンヒールのアンクルブーツという、精一杯コワいかっこしたつもりでも、どこかのおばあちゃまに道を聞かれてしまうこの情けなさ。サングラス掛けてるとだいぶ減るけど、それでもあるのよ。今では一人で歩く機会もだいぶ減っちゃって、声掛けられてからそんな自分を思い出して面白がれるけど、昔はやだったなあ。めんどくさいじゃない。駅のホームにいて「ひまだったらどっか行かない」なんて言われるともう頭来ちゃって。用事があるから駅にいるんじゃない? 馬鹿かと思うよ。
もちろん、痴漢にもよく遭った。今でも酒の席では体を触られることもよくある。でもねえ、今は会いたい人にしか会わないで済む状況だから、別に嫌なことはないな。あたしだって、好きな子の体に触れるのはいい気持ちだもの。
それに、声掛けられても、何か面白そうだと、その人をけっこうかまっちゃうんだ、あたし。その頃なんてまだものを書く仕事に就くずっと前だし、別に取材しようなんて思ってなかったんだけど、思い出して書いたものが「街で声を掛けてくる人たちエッセイ」として本になっちゃって。あ、それ『もんもんシティ』っていう本で、今では、文春文庫になってるの。わーい、宣伝までしちゃった。美人のレッテルを貼ってもらえてCMまで出来るとは。いい仕事だ。
そんな訳だから、悩みといってもモトが取れてしまっているのよね。それに、漫画家になる前、クラブ歌手やホステスやってる頃、そっちの業界ではあたしはむしろブスのほうだったのに、漫画家になったら美人に昇格。漫画家の女の子って、顔の造りが悪い訳じゃなくても、あまりにも内気で外に出ないので、出す空気が人をはねつけてしまって結局ブス、みたくなることがよくあったのよ。今はもうそんな人は一部だけどさ。あたしって何だか得ばっかししてるな。これではテーマに添っていないぞ。
そうねえ、悩みに似たものがあるとすれば、最初の印象でなついてきた男の子とかが、えっ漫画家なの、じゃあ俺漫画に描かれちゃうじゃん、やだな、ってあとから緊張してきちゃうことがあるのが、ちょっと残念かも。でもまあ、そんな度胸のない子とつきあってても楽しくないから、いいんだけどね。
それに、声掛けられても、何か面白そうだと、その人をけっこうかまっちゃうんだ、あたし。その頃なんてまだものを書く仕事に就くずっと前だし、別に取材しようなんて思ってなかったんだけど、思い出して書いたものが「街で声を掛けてくる人たちエッセイ」として本になっちゃって。あ、それ『もんもんシティ』っていう本で、今では、文春文庫になってるの。わーい、宣伝までしちゃった。美人のレッテルを貼ってもらえてCMまで出来るとは。いい仕事だ。
そんな訳だから、悩みといってもモトが取れてしまっているのよね。それに、漫画家になる前、クラブ歌手やホステスやってる頃、そっちの業界ではあたしはむしろブスのほうだったのに、漫画家になったら美人に昇格。漫画家の女の子って、顔の造りが悪い訳じゃなくても、あまりにも内気で外に出ないので、出す空気が人をはねつけてしまって結局ブス、みたくなることがよくあったのよ。今はもうそんな人は一部だけどさ。あたしって何だか得ばっかししてるな。これではテーマに添っていないぞ。
そうねえ、悩みに似たものがあるとすれば、最初の印象でなついてきた男の子とかが、えっ漫画家なの、じゃあ俺漫画に描かれちゃうじゃん、やだな、ってあとから緊張してきちゃうことがあるのが、ちょっと残念かも。でもまあ、そんな度胸のない子とつきあってても楽しくないから、いいんだけどね。