まず、ばななちゃんはお酒が強い。すっごく強い。飲みながら対談してたら、最後のほうではわたしゃ記憶がうっすらしかない。そのとき見てたけど、綺麗な手してるんだよね、指が長くて。ばななちゃん独特のポーズに、両手の手のひらを斜め四十五度に傾けて顔の両側に置くというのがあるんだけど、漫画の中で使っちゃったもん、良くって。
それから、ものおじや屈折という、甘ったれた要素をおかあさんのお腹の中に置いてきて生まれてきたかのような人でもある。好きなものは好き、したいことはしたいと気持ちよく言えるその姿勢に私は感動を覚える。ばななちゃんのエッセイには、ばななちゃんの好きな人のことがたくさん出てくるが、こんなに自分の好きな人のことをきちんと祝福できる人はなかなかいるものではない。また、小説にしろエッセイにしろ、ヴィジュアルセンスと文体のリズム感がすぐれている。私が小説のことをうんぬんするのも何だが、「するりと読めて、目に浮かぶ」これってすごいことだと思う。
ばななちゃんは、ある雑誌のアンケートで一番好きな漫画は、私の「物陰に足拍子」だと答えていた。これは、よく言えば自分に正直に生きるためにはどうすればいいか試行錯誤する女の子、悪く言えば学校や家庭になじめず、眠ったり空想したり男の子と遊んだりして気を紛らわしている女の子の話だ。残念ながらこれを書いている今日、とりあえずの最終回を迎えてしまう。ばななちゃんはこの話を「とても人ごととは思えない、おいてきぼりにしてしまった時期がある人にはぜひ読んで欲しい」というふうに言ってくれるのだが、実際セックスシーンがてんこもりな作品なため、そんなこと言っちゃったらそっちのことばっか考えて下世話な詮索する奴もいるのにばななちゃんたらっ、と私ははらはらしてしまう。でもそういう無防備さも彼女の魅力ね。セクシー&スウィートなばななちゃんと、ぜひまた飲みたい。