私の会社には、業界特有のというか、夢見がちで飽きっぽい子どもたちが入社してくることが結構多く、そういう子たちは「思ってたより大変だ」とすぐ辞めてしまう。最初は驚いたがそういう子どもたちはどこにでもたくさんいるらしいの。「最近の風潮」というようなものなのでしょう。中には私の知り合いのところから流れてきたりする子もいて、以前どういう仕事ぶりだったかがすぐばれてしまったりして、困ったもんです。業界広いようで狭いもんね。
そんなわけで、ときどき求人広告を出します。この出し方が難しいの。私の会社なんてありていに言えば、安定はないが雑用は山ほどある零細。こちら側の仕事がほんとに好きな人ならいいけど、それも、やってみなくちゃわからない。だから、なるべくなら、さりげなく求人したい。そしてそうしているつもりなんだけど、ほんと、難しいわ。
いろいろやってみてわかったんだけど、どんな出し方をしても、自分に都合のいいようにしか物事が見えないイージーな心の若者たちは、必ずやってくるの、もうだいぶ慣れたけど。一番おかしかったのは、おかあさんが電話してきたやつかな。「息子が、どんな会社だろうと気にしておりましたので、ご質問しようと思いまして」だって。電話切ってから事務所中で大笑い。あのおかあさんは、自分のかわいい息子が傷つかないように、いつでもああして、先回りして助けてあげてたんだろうな。それがどういう人間をつくってしまうことなのか考えもせずに。
まあいろいろあるから面白いんだけど、最近、何度か続けて広告を出した求人誌の担当の人が、妙に押しが強くなっちゃってね。普通なら「そろそろいかがですか」かなんか言うところを「木曜日に締め切りの号があるんですけど」。これじゃあ、まるきり仕事の催促とおんなじじゃないの、ねえ。