少し前に「天気がいいので彼は会社を休んで私と一緒にいてくれた」という内容の何かのCMがあったが、私はあれが大嫌いだった。正面きって「今日は彼女といたいから休みます」と言ってるやつはまさかいないだろうから、良識ある方は「ひえー、うそ」と思うかもしれないが、女と一緒にいたくて会社を休む男って、いる。
まあ知り合ったばかりのころ、部屋に泊まったりすると、朝いきなり「さあ、会社だ現実だ、今日もいやな上司に頭を下げてがんばるぞ」という気になりにくいのもわからないではないが、なんで会社を休んでまで恋愛がしたいのだろう、セックス以外にしたいことはないのか。そういうやつは、君のために会社を休んだよというノリを女が喜ぶとでも思っているんだろうか……思ってっからああいうCMが作れるんだよな、と考えるとやっぱりいやだ。
よく仕事と家庭を両立するのに苦しむ主婦のCMをみて「何よこの、もう今日ご飯つくる元気ないって甘えるシーン! だんながつくればいいじゃないの」とか「あの人が言うように両立は無理? いったいなんなのここのだんなは!」と怒ってる人がいるが、あんなのよりももっと根が深いような気がするのだ。
たとえ、有給休暇やらいろんな保障があったって「不審な欠勤」が何の批判もなくまかりとおるほど、社会人の世界は甘くない。どんなに人のうらやむ大会社であっても、やはり不審な欠勤はイコール社会人として信用をなくす危機の第一歩には変わりないのではないか。それをまるで女への愛のあかしのようにやってしまうということは、「君、とっても愛してるよ。だから僕が社会人として失脚したら養ってね」と言われているのと同じではないか。
仕事と家庭の両立に苦しむ主婦CMの家では、まだ「オレが養ってやるから家にいろってのにもう」という頑張り屋のだんなの影が感じられるだけましじゃないのかなあ。