最近、「女が男に注文をつける」たぐいの企画がすっごく多い。私のとこにもいっぱい来た。そのたびにだれかに会えるし、深く考えないで出かけていたが、あまりにも多い。テーマに使われている言葉はいろいろだが、ひどいときにはそれ自体がすでに差別的な表現になっていたりして、いやんなっちゃう。最初仕事を受けたときは違うテーマだったはずなのに、直前になってその手のものに変わってしまうことも何度かあって、もういいかげん飽きてきちゃった。わたしゃもともと、ちゃんとつきあっていきたいと思う男には、自分の意見は直接言うほうだから、別にそれほど「言えなかった恨み」って、ないのよねー。そのかわり人選をあやまってそうしちゃったときにはひどい言い合いになったり、殴られたりしたけど。でもそうやったほうが、面白いよ、いろいろあって。
女性雑誌によく「あなたの○○度テスト」ってあるでしょう。こないだたまたまそういうのやってみてたら、「二人で食事したら彼のテーブルマナーがとても悪い。あなたはどうしますか?」という質問があった。ところが、「はずかしい」「気にしない」のようなものしか、選べる答えがない。「注意してあげる」とか「教えてあげる」とか、ない。それも恐ろしいことに「女の子と食事するのは、私が初めてなのかな、と嬉《うれ》しく思う」という答えはあるのだ。
おいおい、頼むよー、これじゃ、「みんなで張り切ってだらしないマザコン男をつくりましょう」と暗に言っているのと同じだよう。「マザコン男なら、私が母になってあげたいの」という寛大なお考えもあろうが、そういう男はすぐあなたより若い女に気持ちが移っちゃうよ。拒食症と過食症がお互い裏表で一人の人に起こるように、マザコンとロリコンも裏返しなんだから。そういう男を作る要素が、私たちのなかにもあるんだって事を先に考えてみるのはどうかしら。