こないだはく製になったオキシドラスはなかなか人気者だ。「おお、これがそうですか」と取材の人たちは必ず写真を撮る。オキシドラスのほかに、ピラニアの置物やアマゾンエイの細工もの、そしてこれは実在のものではないが、知り合いのプラモデル制作者が造ってくれたチェストバスター(あの、映画のエイリアンの子どもで、人間のおなかを破いてでてくるやつです)の模型なども並べて撮影する人もいる。
今まで気がつかなかったが、それが一挙に集まったところを見て初めて、ああもしかしたらこれは珍しがられるのも無理はないかもしんないなー、なんて思う今日このごろであるが、実は、もしかしたらそれらよりもっと変かもしんないものもあるのだ。
それは、もちろん迂闊《うかつ》に人には見せないが、実は、はく製ではない、ただ乾いてからからになっている魚や亀の死体なのだった。なかなかショップに来ないような珍しい魚で、最初は幼魚だったのが大きくなって死んだりすると、なんだかあきらめきれなくて、捨てられないのだ。亀は亀で、死んだとわかっていても今にも動き出しそうに見えて、ちゃんと死を確認してから捨てようなんて思っているうちに、そのまま乾いてしまった。
内臓抜いてないし生臭いし、ちゃんと頼んで作ったはく製に比べたらほとんど干物だが、魚が好きな人にとっては、そんなに不気味なものではないと思う。
「変に思われるから、捨てなさいよ」と言ってくれる友人もいて、それはそれでもっともだと思うが、まあなんとなくそのままにしてある。そしてたまに、「それ、見たい」という人がいると出して来て見せる。男性でも触ろうとまでする人はほとんどいないが、今までに二人だけ、何のためらいもなく手を出して触った女性たちがいる。何をかくそう、それは杉浦日向子さんと吉本ばななちゃんだ。やっぱり彼女たちはタダモノではなかった。