現在、東京の青果市場で雑柑《ざつかん》というと、扱い量が比較的多く、市場性の強いみかん、夏みかん(ひとによっては、夏みかんも入れている)を除く、柑橘類を総称しています。おなじみのものに、きんかん、鳴門柑《なるとかん》、三宝柑《さんぽうかん》 、日向《ひゆうが》夏《なつ》、八朔《はつさく》があります。名前からすると、原産地は伊予(愛媛県)と思われがちですが、本籍は夏みかんと同じく山口県。明治初年に、阿武郡東分村(現在の田万川町)の中村正路というひとが発見し、穴門《あなと》(長門の古い呼び名)みかんと呼ばれておりました。明治二十二年愛媛県道後温泉の三好保徳という方が、穂木を持ち帰って移植したところ、地味が合うのか、非常によく育ち、その名も「伊予柑」と改められ、本家をしのいで名をなし、今日では愛媛、徳島県の特産物になっています。
仲間のみかんよりは、ぐっと大きく、皮のあざやかな紅味や、甘味と酸味のバランスのとれたトロッとした味わいが身上で、生産量は八朔にちょっと抜かれていますが、他のみかん類が少なくなる頃出回るので、忘れられないみかんです。十二月下旬頃が成熟期で、三、四月頃まで貯蔵され、晩春に多く出荷されます。中身にくらべると、皮が厚く、夏みかんに似て、袋の中の大きな種子が難ですが、それを補って余りあるほど、果汁がたっぷりふくまれています。形の丸く整い、肌のなめらかなもので、紅味が濃く、艶のある、重い感じのものを……。
総じて、柑橘類は、ほかのくだものにくらべビタミンCが多く、冬の間不足しがちのビタミンCの捕給源としては最適です。とりわけ皮には多くふくまれ、伊予柑をはじめ八朔、三宝柑などは皮を捨てずに、皮の表面をうすくはぎ取り、繊《せん》にきざんで、小かぶやキャベツ、だいこんの即席漬けの中に入れたり、すしめしの中に、細かくきざんでまぜ込めば春らしい風味が楽しめます。
仲間のみかんよりは、ぐっと大きく、皮のあざやかな紅味や、甘味と酸味のバランスのとれたトロッとした味わいが身上で、生産量は八朔にちょっと抜かれていますが、他のみかん類が少なくなる頃出回るので、忘れられないみかんです。十二月下旬頃が成熟期で、三、四月頃まで貯蔵され、晩春に多く出荷されます。中身にくらべると、皮が厚く、夏みかんに似て、袋の中の大きな種子が難ですが、それを補って余りあるほど、果汁がたっぷりふくまれています。形の丸く整い、肌のなめらかなもので、紅味が濃く、艶のある、重い感じのものを……。
総じて、柑橘類は、ほかのくだものにくらべビタミンCが多く、冬の間不足しがちのビタミンCの捕給源としては最適です。とりわけ皮には多くふくまれ、伊予柑をはじめ八朔、三宝柑などは皮を捨てずに、皮の表面をうすくはぎ取り、繊《せん》にきざんで、小かぶやキャベツ、だいこんの即席漬けの中に入れたり、すしめしの中に、細かくきざんでまぜ込めば春らしい風味が楽しめます。