海胆怒る漆黒の刺《とげ》ざらと立ち 鶏二
ウニはまさに海中に棲むハリネズミです。石灰質の骨板で作られた固い殻、群がり生えている鋭いトゲ、細く白い管足を、音もなく動かして、岩の間を這《は》い回ります。ふつう、海胆、海栗などと書きますが、古くは宇爾、宇仁などの漢字をあてていました。一方、雲丹、または海丹と書くウニは、同じウニでも、卵巣と精巣とを塩蔵した製品に付けられた名まえです。
むかしは主に土地のひとたちによって生食されていて、現在のように腐敗をふせぐための加工法が考え出され、広くどこへでも行き渡るようになったのは、そうむかしのことではなく、今から六十四、五年ほど前に、下関の坊さんによって、くふうされたのがはじめといわれています。
卵巣は春から夏にかけて成熟し、この頃がウニのしゅんです。塩辛も、練りウニ、粒ウニもこの時季に作ります。数多いウニ類の中でも、食用になるのは、バフンウニ、アカウニ、ムラサキウニなどで、このうちムラサキウニが全国的にいちばん量の多いものですが、食べておいしいのは、名まえに似ずバフンウニです。
ウニの名産地が下関といわれるのは、加工技術の発祥地のためで、質としてよいのは、越前ウニ(福井、石川あたりのバフンウニ)。ウニはこんぶなどの多い海のほうが育ちがよいので、下関のは痩《や》せていて、まぜものによって、むしろ質がよくなるということもいわれています。
左党なら、ウニはそのままサカナになりますが、ウニ焼き、ウニあえ、ウニみそ、それにわさびのないときの薬味代りに、ウニじょうゆにしても賞美されます。
雲丹さしの昼餉の量を得てもどる 元
ウニはまさに海中に棲むハリネズミです。石灰質の骨板で作られた固い殻、群がり生えている鋭いトゲ、細く白い管足を、音もなく動かして、岩の間を這《は》い回ります。ふつう、海胆、海栗などと書きますが、古くは宇爾、宇仁などの漢字をあてていました。一方、雲丹、または海丹と書くウニは、同じウニでも、卵巣と精巣とを塩蔵した製品に付けられた名まえです。
むかしは主に土地のひとたちによって生食されていて、現在のように腐敗をふせぐための加工法が考え出され、広くどこへでも行き渡るようになったのは、そうむかしのことではなく、今から六十四、五年ほど前に、下関の坊さんによって、くふうされたのがはじめといわれています。
卵巣は春から夏にかけて成熟し、この頃がウニのしゅんです。塩辛も、練りウニ、粒ウニもこの時季に作ります。数多いウニ類の中でも、食用になるのは、バフンウニ、アカウニ、ムラサキウニなどで、このうちムラサキウニが全国的にいちばん量の多いものですが、食べておいしいのは、名まえに似ずバフンウニです。
ウニの名産地が下関といわれるのは、加工技術の発祥地のためで、質としてよいのは、越前ウニ(福井、石川あたりのバフンウニ)。ウニはこんぶなどの多い海のほうが育ちがよいので、下関のは痩《や》せていて、まぜものによって、むしろ質がよくなるということもいわれています。
左党なら、ウニはそのままサカナになりますが、ウニ焼き、ウニあえ、ウニみそ、それにわさびのないときの薬味代りに、ウニじょうゆにしても賞美されます。
雲丹さしの昼餉の量を得てもどる 元