世界広しといえども、タイの姿や味を、日本人ほど好む民族は、ほかにはありません。色どりが美しく、姿、形が優美で、その上、味もよく万人に向き、季節により場所こそちがえ、むかしは日本の近海で一年中獲れたため、殆ど信仰に近いほど、ありがたがられ、喜ばれて来ました。
こうしたタイに対する親しみや、あこがれのせいか、タイと名の付く魚は百以上もあります。そのうち、分類学上、タイ科に属し、一般に赤いタイとして通用するのは、わずかにマダイ、チダイ、ヒレコダイ、キダイ(別名レンコダイ)、インドダイ(別名タイワンダイ、タカサゴダイ)くらいのもので、最近これに似たものが、オーストラリア沖や西アフリカから冷凍品として、わが国の市場へ出回るようになっています。海魚の王、タイの中でも、その名にふさわしいのはマダイで、ブリやスズキと同じように育つにつれ、たとえば東京市場ではベンカスゴ(近頃ではベン、体長十センチくらい)、カスゴ(十五センチくらい)、それから体重一キロくらいまでのものをマコ、二キロ前後のものを中ダイ、三キロくらいから上のものをオオダイの名で呼んでいます。
青竹の筏めでたし花見鯛 春宵女
しゅんは「さくらダイ」といって、花見どきで、この頃は脂が乗っておいしく、俗に目の下一尺(全長四十センチ)ぐらいの大きさのものが、とくに味も形もよい。
ほかの魚のように魚臭さやクセがなく、それに小骨もなく、さらに青もの(背の青い魚、サバのようなもの)のように中毒の恐れもないので、あらゆる人に向き、塩焼き、刺身、酢のもの、蒸しものと、用途は実にさまざまです。
こうしたタイに対する親しみや、あこがれのせいか、タイと名の付く魚は百以上もあります。そのうち、分類学上、タイ科に属し、一般に赤いタイとして通用するのは、わずかにマダイ、チダイ、ヒレコダイ、キダイ(別名レンコダイ)、インドダイ(別名タイワンダイ、タカサゴダイ)くらいのもので、最近これに似たものが、オーストラリア沖や西アフリカから冷凍品として、わが国の市場へ出回るようになっています。海魚の王、タイの中でも、その名にふさわしいのはマダイで、ブリやスズキと同じように育つにつれ、たとえば東京市場ではベンカスゴ(近頃ではベン、体長十センチくらい)、カスゴ(十五センチくらい)、それから体重一キロくらいまでのものをマコ、二キロ前後のものを中ダイ、三キロくらいから上のものをオオダイの名で呼んでいます。
青竹の筏めでたし花見鯛 春宵女
しゅんは「さくらダイ」といって、花見どきで、この頃は脂が乗っておいしく、俗に目の下一尺(全長四十センチ)ぐらいの大きさのものが、とくに味も形もよい。
ほかの魚のように魚臭さやクセがなく、それに小骨もなく、さらに青もの(背の青い魚、サバのようなもの)のように中毒の恐れもないので、あらゆる人に向き、塩焼き、刺身、酢のもの、蒸しものと、用途は実にさまざまです。