ホタルイカは「竜宮の使者」とも呼ばれます。五、六センチの小さなからだいちめんに、数え切れないほどたくさんの発光器を持ち、波にふれ、網にふれて、いっせいに光るさまは、その名のとおり、みごとなものです。
富山湾の滑川と魚津付近の沖合一帯は、「ホタルイカ群游海面」として、特別天然記念物に指定され、四、五月頃の群游期には地元から観光船も出ています。船が現場につくと、待ち受けた漁師の手で網がしぼられ、たぐり寄せられるたびに、海の中が青白く明滅し、網が海面近くに浮き上がってくると、中にいるホタルイカの放つ光で、海が青白く燃えているように見えます。
蛍烏賊みる遊船の灯りけり まつ子
明治三十八年五月二十八日、東郷司令長官の率いる日本海軍が、ロシアのバルチック艦隊と戦い、大勝利をおさめた当夜、東京帝大の渡瀬庄三郎教授は、漁船を滑川沖に漕ぎ出し、青白い光りを放つ小さなイカを見て、「ホタルイカ」と名付け、ボストンで開かれた世界動物学会で発表しました。それまでは、マツイカ、コイカ、ベニイカ、グミイカなどと呼ばれていましたが、ホタルイカの学名を「ワタセニア・シンチルランス」というのは、このためだそうです。
シーズンになると、毎夜八時頃から産卵のためにメスの大群が浜辺に押し寄せ、翌未明まで群游し、この間に一尾で約二千個の卵を、じゅず玉のように海中に産み落しますが、網にかかるホタルイカは、殆どがまだ卵を抱いたままだそうです。この頃が肉づきもよく、味もいいときです。鮮度のよいものなら、刺身にしても結構いけますが、日持ちがわるいので、殆どが塩ゆでされたもの。とうふといっしょに煮ても、また酢みそあえやわさびじょうゆで食べてもおいしい。
富山湾の滑川と魚津付近の沖合一帯は、「ホタルイカ群游海面」として、特別天然記念物に指定され、四、五月頃の群游期には地元から観光船も出ています。船が現場につくと、待ち受けた漁師の手で網がしぼられ、たぐり寄せられるたびに、海の中が青白く明滅し、網が海面近くに浮き上がってくると、中にいるホタルイカの放つ光で、海が青白く燃えているように見えます。
蛍烏賊みる遊船の灯りけり まつ子
明治三十八年五月二十八日、東郷司令長官の率いる日本海軍が、ロシアのバルチック艦隊と戦い、大勝利をおさめた当夜、東京帝大の渡瀬庄三郎教授は、漁船を滑川沖に漕ぎ出し、青白い光りを放つ小さなイカを見て、「ホタルイカ」と名付け、ボストンで開かれた世界動物学会で発表しました。それまでは、マツイカ、コイカ、ベニイカ、グミイカなどと呼ばれていましたが、ホタルイカの学名を「ワタセニア・シンチルランス」というのは、このためだそうです。
シーズンになると、毎夜八時頃から産卵のためにメスの大群が浜辺に押し寄せ、翌未明まで群游し、この間に一尾で約二千個の卵を、じゅず玉のように海中に産み落しますが、網にかかるホタルイカは、殆どがまだ卵を抱いたままだそうです。この頃が肉づきもよく、味もいいときです。鮮度のよいものなら、刺身にしても結構いけますが、日持ちがわるいので、殆どが塩ゆでされたもの。とうふといっしょに煮ても、また酢みそあえやわさびじょうゆで食べてもおいしい。