筍《たけ》赭し都心に土の香を放ち 斌雄
土のかおりをただよわせて、早生種のたけのこが、|わんさ《ヽヽヽ》と出回ってきました。「雨後の筍」と、たとえにもいわれるように、たけのこほど、生長のスピードの目につく植物はありません。
たけのこは、なんといっても鮮度がたいせつ。できれば掘りたてのものを。市販のものなら、太く短いずんぐり型で、切り口のやわらかいもの、根もとの表皮が淡黄色のものがいい。根もとまで黒褐色になっているものや、すらっと長くて先のほうが黒いものは、陽に当り過ぎたもので、固く、味も落ちます。朝掘りのものなら、ゆでずにそのまま料理に使えますが、市販のものは、時間が経っているので、どうしてもアク抜きしないと食べられません。土を洗い流し、先のほうを身にかからぬくらいの位置で、斜めに切り落し、タテに身にとおさぬように、一本包丁目を入れ、皮つきのまま、ゆでるのがコツ。皮を剥《む》くと赤味を帯びたり、味も落ちます。
深なべに、米のとぎ汁か、ぬかを入れて、水をかぶるくらいにし、沸騰後、約一時間以上中火でゆで、金串が根元に楽にとおるくらいが、ゆでかげんです。先の部分は吸いものダネに、また酢のもの、揚げものの添えに。先端を包んでいる姫皮は、甘酢に漬けておくと、薄焼き卵の細切りと、ごまあえに使えます。中ほどは、カツオブシをきかせたダシで、わかめとの炊き合わせに、またおすし用に。根は固いものですが、たけのこ好きのひとは、この部分こそ、たけのこのいちばんおいしいところといいます。輪切りか、らせん切りにして、カツオブシ、ごま、しょうゆで煮て、朝の小付《こづ》け用に。
竹の子や児《ちご》の歯くきのうつくしき 嵐雪
土のかおりをただよわせて、早生種のたけのこが、|わんさ《ヽヽヽ》と出回ってきました。「雨後の筍」と、たとえにもいわれるように、たけのこほど、生長のスピードの目につく植物はありません。
たけのこは、なんといっても鮮度がたいせつ。できれば掘りたてのものを。市販のものなら、太く短いずんぐり型で、切り口のやわらかいもの、根もとの表皮が淡黄色のものがいい。根もとまで黒褐色になっているものや、すらっと長くて先のほうが黒いものは、陽に当り過ぎたもので、固く、味も落ちます。朝掘りのものなら、ゆでずにそのまま料理に使えますが、市販のものは、時間が経っているので、どうしてもアク抜きしないと食べられません。土を洗い流し、先のほうを身にかからぬくらいの位置で、斜めに切り落し、タテに身にとおさぬように、一本包丁目を入れ、皮つきのまま、ゆでるのがコツ。皮を剥《む》くと赤味を帯びたり、味も落ちます。
深なべに、米のとぎ汁か、ぬかを入れて、水をかぶるくらいにし、沸騰後、約一時間以上中火でゆで、金串が根元に楽にとおるくらいが、ゆでかげんです。先の部分は吸いものダネに、また酢のもの、揚げものの添えに。先端を包んでいる姫皮は、甘酢に漬けておくと、薄焼き卵の細切りと、ごまあえに使えます。中ほどは、カツオブシをきかせたダシで、わかめとの炊き合わせに、またおすし用に。根は固いものですが、たけのこ好きのひとは、この部分こそ、たけのこのいちばんおいしいところといいます。輪切りか、らせん切りにして、カツオブシ、ごま、しょうゆで煮て、朝の小付《こづ》け用に。
竹の子や児《ちご》の歯くきのうつくしき 嵐雪