『俳句歳時記』は、つまみ菜を秋の部に入れ、間引菜《まびきな》をトップに、抜菜《ぬきな》、つまみ菜、中抜葉《なかぬきな》、虚抜菜《うろぬきな》、貝割菜《かいわりな》、殻割菜《かいわりな》、小菜《こな》、二葉菜《ふたばな》……と、さまざまな異称を挙げております。
つまみ菜の露まみれなる一とつまみ 浜子
つまみ菜は、秋だいこんを蒔《ま》いて、間引いた貝割菜(ふた葉)が、つまみ菜として出荷されることもありますが、つまみ菜用に、だいこんや菜類の種子を床に、びっしり蒔いて、ふた葉のときに出荷する栽培も行なわれています。これは|たい菜《ヽヽヽ》(杓子菜《しやくしな》)が多く用いられます。このつまみ菜類の中で、品質最上と評価されているのは、京都地方で栽培されている白上り京だいこんの貝割菜です。肉が厚く、幼茎は色あざやかに白く、歯切れがよいと、評価に違《たが》わぬよいものです。
鮮度のよさがつまみ菜の身上ですから、葉がしおれていたり、黄味がかっているものは、避けましょう。葉が青々として小さ目のものが、おいしい。ごまあえ、ケズリブシをかけたおひたしが代表的なものですが、ごくやわらかな野菜だけに、つまみ菜を調理するときは、火のとおしかげんに気を配ることがたいせつ。やわらかくなりすぎると、いちじるしく風味を損います。油で炒《いた》めるときなど、ゆでたりせずに、炒めたほうが、歯当りも心地よくて、おいしい。
おひたしにするときなど、熱湯に入れ、沸騰後、一〜二分ゆで、すぐ冷水で冷やしてのち絞ります。ひたしものは、水気の絞りかげんがコツ——といわれるように、あまり強く絞りすぎると、パサパサになって味がありません。生の目方に対して三分の二までにとどめること。このほか、スープやみそ汁の色どりに使うのも気がきいています。
籠の目にからまり残る貝割菜 風生
つまみ菜の露まみれなる一とつまみ 浜子
つまみ菜は、秋だいこんを蒔《ま》いて、間引いた貝割菜(ふた葉)が、つまみ菜として出荷されることもありますが、つまみ菜用に、だいこんや菜類の種子を床に、びっしり蒔いて、ふた葉のときに出荷する栽培も行なわれています。これは|たい菜《ヽヽヽ》(杓子菜《しやくしな》)が多く用いられます。このつまみ菜類の中で、品質最上と評価されているのは、京都地方で栽培されている白上り京だいこんの貝割菜です。肉が厚く、幼茎は色あざやかに白く、歯切れがよいと、評価に違《たが》わぬよいものです。
鮮度のよさがつまみ菜の身上ですから、葉がしおれていたり、黄味がかっているものは、避けましょう。葉が青々として小さ目のものが、おいしい。ごまあえ、ケズリブシをかけたおひたしが代表的なものですが、ごくやわらかな野菜だけに、つまみ菜を調理するときは、火のとおしかげんに気を配ることがたいせつ。やわらかくなりすぎると、いちじるしく風味を損います。油で炒《いた》めるときなど、ゆでたりせずに、炒めたほうが、歯当りも心地よくて、おいしい。
おひたしにするときなど、熱湯に入れ、沸騰後、一〜二分ゆで、すぐ冷水で冷やしてのち絞ります。ひたしものは、水気の絞りかげんがコツ——といわれるように、あまり強く絞りすぎると、パサパサになって味がありません。生の目方に対して三分の二までにとどめること。このほか、スープやみそ汁の色どりに使うのも気がきいています。
籠の目にからまり残る貝割菜 風生